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第15回 因縁の上司・伴善男(よしお)

いつまでも芦屋にいる訳にもいかず、だいたい「ただ人」ですから仕事につかねばなりません。
業平は21歳の時、左近衛将監(しょうげん)、そして23歳の時、仁明(にんみょう:38歳)天皇の蔵人(くろうど:秘書官のようなもの)となります。
上司である蔵人頭には37歳の伴善男がなっています。
この善男と業平には家系に因縁があります。
長岡京の時、藤原種継を暗殺した中心人物が善男の祖父・大伴継人(つぐと)。継人は斬首され、息子の国道は連座で佐渡へ流されます。そこで生まれたのが善男でした。
一方、種継暗殺で皇太子を辞めさせられたのが早良(さわら)親王で、その後に皇太子になったのが、業平の祖父である平城天皇という訳です。

善男はそんな過去をものともせず勤勉でした。仁明天皇が本好きで、善男は図書(ずしょ)寮の本の場所を全部分かっていました。そして仁明天皇の覚えよく昇進していきます。
業平の方はどうも仕事は精励とは言い難く、「ずぼら」だった様です。業平らしいと言えばそうですが。
恐らく、上司である善男からは小言を言われていたのではないでしょうか。まもなく辞してしまいます。
業平はもう一人、気楽に生きている公卿を発見します。権力者良房の兄長良(ながら)でした。「愚兄」と陰口を叩かれてもマイペースでのんびりタイプで二人は気が合ったでしょうか。長良の娘高子と駆け落ちするのも運命でした。


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