見出し画像

第139回 爆縮方式の発明

プルトニウムは、両端に分けてぶつける方法では爆発しませんでした。
ロスアラモスの天才的な科学者たちは熟考しました。そして一つの過程に仮定に辿り着きました。プルトニウムを球状にして回りから圧力をかければ爆発するのではないかと。オレンジを握りつぶすことから爆縮方式が考え出されました。
プルトニウムを周囲から圧縮して爆発させる「爆縮」の理論を説明するタックスやフックスは、他の科学者を魅了しました。
ロスアラモスの連中はうんと若い二十代前半の者が多く、平均年齢は26歳でした。そしてイギリスの「本物」の科学者たちを見て興奮したのでした。

少し遅れて、オッペンハイマーの恩師ニールス・ボーアがロスアラモスを訪れました。
ボーアは、もう原爆は既定の事として尋ねました。
「それは充分に大きいかね?」
ボーアは付け加えて言いました。
「大きければ大きいほどそれは脅威となり、逆に平和に役立つのだ」
自分にも言い聞かせる様に、ボーアはオッペンハイマーに言いました。(続く)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?