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第74回 さまざまな運命

後白河法皇の近臣・藤原成親は、信頼の妹を妻にして今回の乱も味方していたので殺されそうになりましたが、成親の妹が清盛の嫡男重盛の妻となっているし、成親の亡き父・家成に清盛は世話になったので辛くも許されました。(しかし後年、鹿ケ谷の変で平家を倒そうとした密議をしたと言う事で結局殺されますが)
信頼のもう一人の妹は、関白基実の正室となっていて、その年、男子(後の近衛基通)を産んでいましたが、離縁されました。後添えにはやがて清盛の娘が入ります。基実は、愛する妻を帰らされる事をどうする事もできず、我が身の無力を感じ、また早死にします。

信頼の異母兄に基成というのがいて、信頼は奥州藤原氏を味方にしようとして(やはり無能ではなく策士?)基成を陸奥守にし、その娘は奥州の覇者・藤原秀衡の継室となって嫡男の男子(泰衡)をその年産んでいましたが、その時はお咎めなしでした。(後に基成娘は義理の子・国衡の妻とならされます)
平盛国は清盛に問うていました。
「殿、義朝を追いますか?」
義朝は東国へ逃げていました。清盛は静かに答えました。
「義朝殿は生きて東国へ渡れまい。悪僧たちの目をかいくぐるのは大変じゃし、そして裏切り者も出るかも知れぬ・・・しかし、別に憎い相手ではないのに、こうしていがみ合うとは源平とは不思議な運命であるのう・・・」
清盛は宿命を感じていました。(続く)

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