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第76回 長田忠致(おさだただむね)の煩悶

熱田を目指す義朝一行は美濃の青墓より杭瀬(くいせ)川を柴舟で下りましたが、折からの大潮で舟は難航し、伊勢湾近くの内海海岸にやっと辿り着きました。
腹心の鎌田政家(政清改め)は主君・義朝に言いました。
「この近くに私の舅(しゅうと)の長田忠致がおります。頼りましょう」
時は平治元(1159)年の大晦日でした。
夜に義朝一行は忠致の邸を訪れました。老いた忠致は驚き、子細を聞いて丁重に迎えながらも、-この様な時にわざわざ訪れなくてもーと迷惑な気持ちになりました。しかしそれを気取られぬ様、
「大変でござりましたな。まずはお休み下さい」
義朝一行は疲労困憊で、それこそいびきをかいて寝入ってしまった。

ーしかし、これからどうするかじゃなー
翌朝早くも尾張の国司から、義朝一行が来たら、すぐに知らせる事とのお触れが回ってきました。
ー時間の問題じゃなー 忠致は思いました。
ーこのままでは長田家も潰されるー 忠致は決意しました。(続く)

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