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第125回 戦局の混迷

ローズベルトの「無条件降伏しか受け付けない」という宣言にドイツも驚きましたが、一番驚いたのは日本でした。ミッドウェー、ガダルカナルの敗戦と続き、日本には勝つ要素が少なくなっていました。もともと大国アメリカを相手に一か八かの勝負でした。最初にドンドンと勝って条約に持ち込む積りだったのです。日本大本営に心配が過りました。
「もし負けたら、天皇制はどうなるのだろう?」
敗北し、天皇が裁判にかけられ、絞首刑にでもなったらえらいことです。
「その時は、日本国民は誰も生きていまい。一億僧玉砕だ」
大本営の人々は思いました。
ローズベルトは、日本の狂気にも近い天皇信仰を聞いてはいましたが、本当には理解していませんでした。

1943年2月1日、日本軍はガダルカナル島からついに撤退しました。それも「転戦」という言葉を使って。何とか約1万人を救出しました。「日本のダンケルク」とも言われました。しかし、怪我や病気で動けない者は取り残されました。
「連れて行ってくれ!」
哀願の声を振り切って、動ける者だけが船に乗ったのでした。(続く)

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