松屋で定食を食べる　～受難編～

俺は松屋で定食を食べない男。
松屋は牛丼屋と認識しているので、牛丼を食べたい時に行く店だ。
大学時代は週3、入社後の研修期間は週4で通っていたためさすがに飽きたこともあったが、そういう時はカレーを注文していた。

しかし今夜、俺は松屋で定食を食べる男になる。

―

夏を肌と耳で感じつつ松屋にたどり着く。
１年半くらい行ってなかったかもと、当時は使っていなかったPayPayの画面を開きながら入店したら驚いた。商品受け取りがセルフになっている。
お互い変わっていくんだなと、元カノ(※昔の恋人のこと。ここでは架空の存在を指す)相手みたいなことを思いつつ牛焼肉定食の食券を購入。
600円、松屋で払うにしては高い金額だ。

席で待つこと数分、自分の番号が呼ばれ提供口に向かうがトレーが無い。
……？
手元の食券を見ると右上に「弁当」の文字。どうやら見えざる少彦名神の手により持ち帰りの食券を買っていたらしい。アイタ～
完全に食事モードに入った腹を宥めつつ、弁当を受け取り急ぎ足で帰路に就く。滝のような汗がさらに夏を感じさせる……

―

空腹と体力の限界ギリギリで帰宅し、意気揚々と開封したところでさらなるミスに気付く。サラダ用のドレッシングを取り忘れた。
しかしこの男しゅいどる、サラダにだけは強い。手早く中華ドレッシングを生成しぶっかけて準備完了。自炊してて良かったぁ～！

なんかテイクアウト飯ってどうにもテンション上がりきらんなぁと思いつつ、早速肉を口に入れてビックリ、味がない！
てっきり塩味が付いているものだと思っていたが、そういえばいつも卓上に焼肉用のタレ置いてあったなと思い出す。タレ、取ってこなきゃいけなかったのか……
仕方なく醤油とマキシマム(激うまスパイス)を振りかけて食う。当然の如く激うまなのだが、俺は一体何を食べているのだろうか。
自作ドレッシングのサラダ、自宅調味料をかけた焼肉。俺の松屋定食はいったい何処へ。

今夜、俺は松屋で定食を食べる男になり切れなかった。

次回、松屋で定食を食べる　～激闘編～　に続く。
続かない。