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【コラム】薬の効果は謙虚に語るべし!-薬効の半分はプラセボでできている!?

 〇〇という薬は良く効く、あるいは効果のキレが良い〇〇という成分▲▲の症状を緩和……。OTC医薬品の効果は、そのように語られることが多いように思います。しかし、実際のところ、OTC医薬品の多くはプラセボと同等か、プラセボに毛が生えた程度の効果しかありません
 
 一方、このことはまた、OTC医薬品に効果がないと言っているわけでは無いのです。プラセボと同等、もしくはプラセボに毛が生えた程度でも、薬を飲んだ人が経験する薬効感は決して小さくありません。大事なことは、薬そのものに明確な効果があるということではなく、(広義の)プラセボ効果や自然経過によって症状の緩和が得られているということであり、OTC医薬品は薬効感を生み出すきっかけに過ぎないということです。
 
 それでもなお、薬には効果があるという信念を消し去ることが難しい、そう感じる方も多いでしょう。しかし、薬の効果は薬理学的な作用だけでなく、様々な生活事象が複合的に作用して発揮されるものなのです。だからこそ、薬の効果は「謙虚」に語られなければなりません
 
 今回の【コラム】では、エビデンスに示されている治療効果のうち、プラセボ効果がどの程度の割合でふくまれているのかを検討したシステマティックレビュー・メタ分析(Hafliðadóttir ,et al. 2021. PMID: 34311793)の結果をご紹介しながら、薬の効果を謙虚に語るとはどういうことかを考察します。

プラセボ効果と文脈効果

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