岩田教授からの提言について

今話題になっている岩田教授のYouTube 、日本語版とBBCのインタビューの両方を見た。彼が主に主張していたのは、危険を示すレッドゾーンと安全なグリーンゾーンがごちゃ混ぜになっていたので、船内が非常に危険な状況だったということ。レッドゾーンでは防護服を必ず着なければならないし、グリーンゾーンでは逆に防護服を着てはいけない。なぜなら防護服にはウイルスが付いているから、それをグリーンゾーンで着ていればウイルスをばらまくことになる、と。

この話を念頭に船内の写真を見てみると、確かに防護服を着た人の隣で、普通の制服を着た人が居たり、更に驚いたのはクルーが配膳している隣を防護服を着た人が行き来していることだ。そんなことをしたら、食事と一緒にウイルスも配ってしまうのではないか。

岩田教授の指摘に対し、厚労省大臣は船内はレッドゾーンとグリーンゾーンがきちんと分かれていたと言っていたが、もしそうならなぜ検疫官や医療のプロが感染するのだろう。

疑問なのは、これまでなぜ岩田教授のような感染症のプロが中に入って、陣頭指揮を執ってこなかったのか、ということだ。DMATと呼ばれる災害派遣医療チームも入って活動しているが、彼らは感染症のプロではないそうだ。岩田教授の話によれば、これまでも感染症のプロチームが中に入ったこともあるが、すぐに出てしまったとか。

BBCが岩田教授にレッドゾーンとグリーンゾーンを分けるにはどうしたらいいか、聞いていた。一番簡単なのは、船内を全部レッドゾーンにして、司令塔は全部船外にしてしまうことだそうだ。こんな簡単なことをなぜ一番最初にやらなかったのだろう。岩田教授が船内の不備を現場で指摘しても、誰も聞いてくれず、挙句の果ては一日で船から降ろされてしまっている。

まだ船内にはかなりの乗客が残っている。そしてずっと仕事を続けなければならないのが乗員のみなさん。感染者と同室だった乗客はさらに船内にとどまらなければならないという。そうすると、乗員の方もこの先まだエンドレスで働かなければならないのか?

ウイルス検査も乗客優先で、なにもかも後回しにされ続けた乗員の方。狭い部屋で相部屋で寝起きし、食事もみんなと一緒、休みなく仕事をしているにも関わらず、ウイルスの媒介者呼ばわり。

3700人以上という乗客乗員数、しかも多国籍という状況で、チャーター機のように隔離施設に入ってもらうことが難しかったことは理解できる。だが、岩田教授のようなこれまで様々な海外の感染症で経験を積んだ専門家を、なぜ最初から入れなかったのか。そうしていれば、これだけ感染者が増えることもなければ、医療従事者が感染することもなかったのではないか。

政府がやらなければならないのは、自分たちにとって耳の痛いことを言う専門家を排除することではない。今からでもいい、彼らの話を真摯に聞き、アドバイスに従おう。一刻でも早く。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?