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その日は突然やってきた

私にとって、まったく側になかった「自死」。
小説の中、ドラマの中、ニュースの中でしか知らなかった事。

元気いっぱい明るくて、活発な夫がまさか自死するなんて信じられなかった。
(今も、ひょっこり帰ってくるのではないかとおもっている。)

家族も仲良く、仕事も順調。
人が羨ましいと言ってくれるような、普通の、幸せな家族だったと思う。

それが突然。
理由は仕事上の悩みだったようだ。
夫にとっては、許し難い出来事だったのかな。
家族に相談することも、仲間や上司に話すこともなく、1人で思い詰めて、あちらの世界へ旅立ってしまった。

夫は、誰にも気付かれないように、短期間のうちに準備して行った。
遺書や会社の方とのお話で、推測する原因から、わずか3日後の出来事。
その3日間、夫はいつも通りの夫だった。
いつも通り家族と会話し、いつも通り犬を撫でて、いつも通り子供を送迎して。
まさかそんなことを考えていたなんて、全くわからないように。

希死念慮が無くても、病気を患っていなくても、この世を去ることがある。


サインを出している。
誰かが止めてくれるのを待っている。
そういう人もいるのだろう。

でも、本当にバレないように、気づかれないように、夫はこの世を去った。
自死を完遂したかったら、誰にもバレないようにすることもある。
残された私は、気付けなかった自分を責めているし、助けられなかったことを悔いている。
でも、本当に、彼はいつも通りだったのだ。
だから、そこに彼の意思すら感じてしまう。

つい魔がさしたのではない。
ふらっと思いついたのではない。
自分で、自分のしたいことを、したのかな、と。
私はそれを止められなかった。

気付けなかったと考えると、自分はなんてマヌケな妻なのだろうと情けなくなる。
でも、気付けなかったし、彼は知られずに実行したかったのだと思う。

止められたくなかったのかな。

どちらにしても、彼はもういない。
その日から、自問自答の日々が始まった。


これから書くことは、

夫をものすごく愛している、尊敬している
子供たちの幸せを一番に考えている

この二つが大前提にある。
くだらないことを書いたり、面白おかしく書いたりすることがあっても、この二つの前提を忘れずに読んでいただきたい。
大切な人が見えなくなっても、お腹は空くし、お金は必要。
子供達を好奇の目から守らないといけないし、仏壇も墓石も、義理の両親との関係も、息つく暇もなく決めていかなくてはならなかった。

もう、泣きながら、笑うしかないことがたくさんあった。
突然、主婦から寡婦になった。
そんな記録。

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