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(10) 日産 インフィニティQ45(1990年)

日産 インフィニティQ45(1990年)
所有期間 1996年10月~2000年4月

■日産 インフィニティQ45  について
平成1年にデビューした日産の最高級車。
世界に通用する「ニッポンの高級車」として、4500ccV8エンジンを搭載し、全長5mを越えるワイドボディーを採用した。
国内ではトヨタ・セルシオに1ヶ月遅れでデビューし、セルシオより500cc大きい排気量や、セルシオより大きい車体寸法であったが、グリルを持たないフェイスデザインや、あえて木目を一切使わなずに、ホワイトレザーなど、日本の高級車らしからぬコンセプトが、結局、購入層に理解されず、あっというまに不人気車の烙印を押されてしまった。(自動車雑誌などでは高い評価を受けたが、このクラスのクルマを買う人って、そんな雑誌など読むわけがない)
最初からセルシオに大きく溝を開けられたインフィニティQ45ではあるが、エンジンは国内最高出力の280psを発生し、足回りには日産の技術の結晶とも言える「油圧アクティブサスペンション」を搭載するなど、意欲的な姿勢も見られたが、本来の消費者にあたるお金持ちの方々には指示されないで終わっている。
結局、販売不振の打開策として、当初のコンセプトを大きく路線変更して「グリル付き」「木目パネル」などを採用したものの、焼け石に水で終わっている。
このインフィニティQ45は、日産のプレステージカー「プレジデント」のベース車として最初から設計され、平成2年にモデルチェンジしたプレジデントはインフィニティQ45のロングボディである。(もちろん、装備も豪華になっているが)
インフィニティQ45は高級車といいながら走りに重点をおいたクルマであり、後部座席より運転席(と助手席)に重点をおいた室内などから理解することが出来る。
現在、インフィニティQ45は知らぬ間に生産中止となり、その地位をショートボディ(といっても5m越だが)の「プレジデントJS」に譲っている。

■現車紹介

こんなクルマでもジムカーナしちゃうんです。 (フォームラークラブ軽井沢/98年)

■個人的な概要
MR-2の代替えとして平成8年10月から所有しているのだが、当然、MR-2の代わりになるはずもなく、単なるお出かけ用になりさがっている。
入手当時はあちこち壊れまくっていたが、日産ディーラーのサービスに親戚がいるということもあって、ひととおりの修理をおこなった。
年式も古く、細かいトラブルは今でも抱えている。とはいうものの、さすがにバブル全盛の頃の日産の誇る最高級車だけあって、悲しみはそれほど感じずにいる。
最初見たとき、あまりのカッコ悪さに、ついついインパルのパーツを組み込んだが、今ではこれらの投資に後悔している。
タイヤセットはBBSの16インチと18インチ、純正+スタッドレスの3種類を用意しているが、BBSの18インチ+245-40-18では乗り心地は悪いし、パワステのポンプには負担がかかるなどの理由から、滅多に使用することはない。(というわけでBBSの18インチは売りたがっている)
乗り味はアクティブサスペンションのため、妙に硬く、けして乗り心地のよいクルマではないが、運転するぶんにはこのくらいのほうが個人的には良いと思っている。
エンジンパワーは十分にある。(280psだしね)
実際、高速道路では気兼ねなくリミッタースピードになってしまうし、そのくせ、全然運転疲れがしないという、たいへん便利なクルマで、遠出にはちょうどよいと感じる。
また、へんな話ではあるが、このクルマだと、右折にしても、車線変更や、駐車場などから本線に出るときなどで譲ってくれる場合が多く、そういう意味で運転しやすいクルマのような気がする。(強引な割り込みとかしていないんですがね。みなさんよく譲ってくれます。)
ただ、車体のでかさはダテではなく、自称「車庫入れ上手」の私ですら、たまにうっとおしく感じます。

■私情インプレッション

・走りに関して
正直な話、とても「高級車」とは呼べない乗り心地という印象なのだが、クラウンやセドリックなどに見られる「フニャフニャ感」がまったくないため、「クルマ酔い」はしそうにないクルマである。
サスペンションはけっこう硬く、特に横ロールやピッチングは大型セダンとは思えないほど押え込まれていて、道路のうねりなども結構よく吸収しているが、この吸収の仕方が、「タイヤのグリップを残すため」ではなく、「車体の姿勢を維持する」ことに重点が置かれているため、考え方によってはものすごく良く出来たサスペンションとも言えるが、街乗りでは道路の細かいギャップを吸収しきれていないのも事実。
このため、高速道路では異常に高い安定性を発揮するが、これが実感できるのは120km以上であるため、どのみち日本の道路事情には向いていない気がする。
山間道路での走りはそれほど悪くなく、重い車体のわりには元気に走ってくれるため、燃費さえ気にしなければ結構なペースでストレスを感じずに運転できる。
また、長時間運転での疲労度は少ない。
エンジンの特性は大排気量のメリットがとてもよく出ていて、過度トルク感も上手に抑えながらも、欲しいときに大パワーがしっかりと得られるように仕上げられている。
これはオートマチックミッションによるところが大きいのかもしれないが、アクセルレスポンスもよく、また、シフトショックは皆無に等しいし、滑り感も全然感じられない。
ブレーキは想像以上によく効き、意外なほどフェードが起きない。
このため、ちょっとブンまわすような走りをしても不安な部分が感じられず、そういった意味では良く出来たクルマのような気がする。
あと、テールスライドは大パワーを使って比較的簡単に出来るのだが、ドリフト中、アクティブサスペンションが必死になって立ち直そうとするためか、ステアリングの反応が一気に悪くなると同時に車体が変なふうに揺れてしまう。(もっとも、こういうことするクルマではないと思うが)
全体的な印象は「飛ばし屋オヤジのためのセダン」を地で行っているクルマという感じがする。(これが良いか悪いかは別としてだが)

・内装
黒を基調にした室内と白色の本皮は、正直、デザイナーの感性を疑ってしまう。
とはいうものの、室内の造形は違和感なく、それでいて高級感あるもののようで、乗っている分には感じないが、この内装になれた後、他のクルマに乗ることによってインフィニティの内装の持つ質の高さを感じるようである。
基本的に、私自身はクルマの形とか内装の品質というものにはまったく興味がないのだが、確かに白い本皮というのは一種、高級っぽいとも感じるし、細かい部分を見ても「金かかってんなあ」と思う。が、やっぱりどうでもよいような気がするが。
ちなみに、一般的な装備水準は高い。
パワーシートは運転席、助手席ともについているし、マイコンオートエアコンはけっこう精細な制御を行ってくれる。(これまで「オート」なんてものはまともに使ったことがなかったが、このクルマの場合、設定温度を25℃にしとくと不思議に過ごしやすい。)
また、チルトステアリングやテレスコピックステアリングも電動で、ドアを開けるとおりやすいように勝手にハンドルとシートが動くので、これも便利。
また逆に「なんでこんなものが付いてるの?」というものがないため、ちょっとさみしいような気もするが、ただ、ある意味、とても真面目なコンセプトの元に作られているという気もする。
オーディオは標準でBOSEサウンドシステムが付いていたが、これはアゼストのタッチパネル2DIN(カーナビ)に交換。
余談ですが、98年にNTTドコモの「カーナビ+インターネット」のモニターとして、ソニーのカーナビがフルセットでもらえることが出来たため、このインフィニティにはアゼストのカーナビとソニーのカーナビが両方とも付いているんですが、最初、無駄かなとも思ったものの、2台だればあったででけっこう便利だったりします。
個人的にはアゼストのタッチパネル・ナビが気に入っており、ソニーが考えるインターネット情報は、わざわざ通信しなくてもアゼストのCD-ROMにそれ以上の情報が入っているため、モニターアンケートは辛口で回答しました。
モニターが終わった現在でもインフィニティに2台のカーナビをつけていますが、ソニーのカーナビは「広域確認用」として活躍しています。(というより、ソニーのカーナビ単体では全然役に立たないというのが私の個人的な結論です。)

・問題点(故障内容)
このクルマ、年式が古いということもあるけど、本当によく壊れる。
まず、アクティブサスペンション。
メーターパネルにインジケータがあるんだけど、最初のころはよく点灯し、単なる「壊れたラリーショック」みたいになった。
原因はアクティブサス用油圧の低下やロッドからのオイル漏れなんだけど、どうやらこれはインフィニティの持病らしく、だいたいのインフィニティは壊れるらしい。
次に、パワーステアリングのオイル漏れ。
特に幅広タイヤなんか履かせた日には、ちょっとしたスエ切りでオイルタンクからオイルは溢れるわ、あちこちから悲鳴はきこえるわ、悲惨なもんです。現在は応急処置として、「オイルが減ったら足す」という処置をしてますが。
あと、パワーウインドウも悲しくなるほど簡単に壊れます。大抵はモータ周りのワイヤーアタッチメントが摩耗したとかなんだけど、修理はモーターASSYなので、これは痛い。(多分ガラスの重さとかに対して部品強度が足りないのだと思うけど)
そういえば、エアコンのファンモータも死んだな。
あと、ブレーキパッドのヘリ具合を知らせるセンサーも死んだし。
はっきりいって、「高級車」というには「ようでもない故障」が多いような気がするんですけど。

・個人評価
バブル全盛の頃、セルシオに並ぶ高級車として日産が世に送り出したインフィニティは良くも悪くも「日産らしい」クルマだと思う。
デビュー当時から、自動車雑誌の評価とは裏腹に、国内販売では低迷の一途を辿り、不評であった「グリルレス・フェイス」や「あくまで木目を使わない」というポリシーを完全に捨て切ったマイナーチェンジを施しても、やっぱり不人気車であることに変わりなく、すでに姉妹車である「プレジデントJS」に全てを託し、製造中止という悲しい終末を迎えてしまったわけだが、これはしょうがないことだと思う。
インフィニティはセルシオのライバルとしての位置づけがあるため、そういった意味では大した高級車であると思うが、実はセルシオと比べた場合、明らかにセルシオのほうに分がある。(ちなみに、ウチの父親は平成9年式のセルシオCタイプに乗っているので簡単に比較が出来る)
ただ、セルシオの人気に対し、インフィニティは不人気車であるため、中古で購入する場合は、とても魅力的なクルマであることも事実である。
だいたい、私がインフィニティに乗っている理由も「MR-2の乗り換え」として、ほとんど交換同様で手に入れられたわけだし、中古車情報誌を見ても、低変式のインフィニティは当時600万円以上したとは思えない価格に成り下がっている。
なにしろ、4.5リッターだと税金も高いため、今の御時世ではなかなか買い手もつかないため、妙な見栄を張りたい人にはちょうどいいかもしれない。(もっとも、見栄をはれるかどうかは不明だが。ただ、ライバル車がセルシオ、BMW7シリーズ、ベンツEクラスであることも事実だし。シロウトなら説得できそうである。が、これが意味のあることなのかどうか・・・・)
まあ、実際に乗ってみると、期待したほどではないにしろ、わりかし疲労度も少なく、しっかり走るんで、そういった意味では気に入っていますが。(というわけで、あと2年くらいは所有しそうですがね。)

<2000年05月19日更新>
結局、1999年8月にもらい事故により左リアタイヤ付近にダメージを受け、修理代120万円という大修理をおこなった。
もっとも、修理代はすべて相手の保険から支払われたのでいいのだが、このため、アクティグサスやパワステポンプなどにダメージが出た。
で、このあたりから調子を崩し、結局、2000年03月にエンジンが不調となった。
日産店の見解は「片バンク4気筒の圧縮が低下しているため、ヘッド交換」を推奨していたが、この修理代はかなりの額になると予想されたため、結局、手放すことを決定した。
いちおう、この状態でも走るには走るのだが、アイドリングが不安定になり、今後、この個所の修理だけで向こう3年間、トラブル無しで乗れるとも思えなかったため、売却を決定。
結局、事故によりアヤがついて、3年半の所有で手放したわけだ。最終走行距離は116000km。
で、振り返ってみると、実に故障の多いクルマであった。
なんせ、アクティブ、パワステ、エンジンから始まり、細かいところではパワーウインドウ、エアコンなども結構壊れた。
まあ、年式が古いというのがあるとはいえ、それでもやっぱり「故障の多いクルマ」だったと思う。
もう、これでインフィニティを購入することはないと思うが、このクルマを所有したことにより、今後はこのテのクルマに興味を持つこともないと思うので、良かったかもしれないと思っている。
ちなみに、インフィニティ売却により、スカイライン1台になったわけだが、スカイライン1台だと燃費の関係と積載能力の関係などで不便を感じたため、20万円でゴルフⅢGLIを購入。
で、現在(2000年05月)、ゴルフは売却を計画している。
そして、次に購入を考えているのは、平成7~9年あたりのミツビシ・ディアマンテか、平成3~5年のクラウン・マジェスタである。(ホントはSM-Xあたりが良いかなと思ったのだが、なんせ、中古で購入しようにも割高感が強い。うーん。)