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白いギター 三連連唱歌の調べ[20](短調編)

[20] 白いギター☆☆☆(林春生/馬飼野俊一、チェリッシュ)
 
壮麗オーケストラ系(笑)の最後です。弦楽の最強奏でこの曲のサビを鳴らしたいものです。
 
チェリッシュは、初リリース時は素直な連唱で歌っていますが、後年のライブでは相当崩しています。本稿の観点からは、連唱は崩さないに限る、と言いたいところですが、この「白いギター」の崩しはすばらしい。その理由を考えると、周到に楽譜を起こす作業(またはそれと同等の緻密な打ち合わせ)を経ているからだということになりましょう。つまり、崩し自体がまた一通りで、以後ほぼ一貫しているのです。デュエットは、「合ってなんぼ」、少しでもずれれば誰が聞いてもあれ?となってしまうため、「歌い過ぎて飽きたんでちょっと変えてみた」とかいう安直な“歌手あるある”だけでは立ち行きませんよね。新しい方の旋律線を聴くと、この曲を崩すならいったいどう崩せばより良くなるかという問いへの、かなり綿密な答えが出されているのがわかります。聴き手としては、「(あるので)しょうか」の「しょ」に「お?」、「気になるの」の「の」に「おーぉ!…」、サビに至って次々と繰り出される崩しと溜めに「そう来るか」「ほぉ!」「はー!」…と心中ただただ唸るばかりになります。私はペットのことは知らないんですが、元気な飼い犬の急アクセルや急ブレーキが予測できずあちこち引っ張られる、それが嬉しい、という感じってあるんでしょうか。そういう快感です。それでいて、すべて、なるほど崩すならそう崩すしかない、と必然的にも思えてくる。これ以上変えようはなく、かつ変えない方がいい所は変えずにおいている。玄人の仕事です。

※譜例3段目は「崩し」の方の採譜例。もちろん、崩しですから、微妙な“誤差”を含みつつ?…です。

レコーディング音源↓
https://www.youtube.com/watch?v=H9sf3Xlf-v0
後年ライブ動画↓
https://www.youtube.com/watch?v=QwTWA60blbA
 
☆☆☆(準連唱歌A)
拍頭多連唱が無く、単連唱以下の切分連唱・準連唱から成るもの。

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↑写真は採譜例です。「原譜」(があるとしてそれ)は不明なままの、あくまで一例です。歌なので本来は符尾を非連桁にすべきですし、拍子も採譜としての可能性の一つに過ぎません。また、適宜オクターブ単位で移動させている場合もあります。その辺りご了承下さい頂きたく…。

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