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二次元派展に参加して

まず、「二次元派」という言葉に関して様々な意見がありますが、僕は肯定的に捉えています。

中国で日本らしさの総称として使われるようになった二次元という言葉から二次元派となったという経緯は、日本人からしたら少し違和感がある方も多いと思われますが、マーケットが日本国外にあるアーティストが多く、よりグローバルな視点からみるならば今のところ、日本語由来の言葉で括ること自体が難しいのではないかと思います。
〇〇派という言葉で括り、文脈が作られていく過程で、アーティストによっては距離を置く方も今後は出てくるとは思うのですが、まず、方向を示して日本国内で展示出来たことは、やはり大きな意味があると思います。

それに、上海のコレクターさんと連絡を取り合っていると、プライベートギャラリーで、「二次元」という括りでコレクターさん達が作品を持ち寄り展示するということが、今では現実に行われています。もう既に海の向こうで二次元派展は行われているという事実を基にして、日本でそれを総括するような取り組みは必要だと感じています。

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二次元派展に参加した僕自身の意義について

今回の展覧会では、3つのカテゴリ1.「CHARACTER =キャラクター、少女の姿を借た表現者たち」、2.「HYPE=時代を映す表現者たち」、3「NEW HORIZON =実験から拡張へ」に分かれて展示されていました。
僕の絵画はもちろんのこと、立体作品も「CHARACTER」 のカテゴリの中で展示出来たことは個人的にとても意義深いことでした。元々、僕自身がこのカテゴリの中に属する立体を作るアーティストであると認知されることを望み、活動してきたということもあり、自分の立ち位置を明確にする上で特別な展示で、お誘いを受けた時は当然のように承諾しました。
「CHARACTER」 のカテゴリに属する人たちは国内であまり評価されてこなかった(アカデミックな意味や、ここ数年まで商業的にも)ということもあり、僕は立体を制作することで、その補助役のような存在になろうと、活動しはじめた初期から思っていたのです。しかし、ここ数年で中国をはじめとするアジアの市場で、このカテゴリに属する絵画を描いてきたアーティスト達の存在感が急激に高まり、僕はこのシーンから急に置き去りにされたようなカタチになりました。紆余曲折あり、自分自身でも絵画を描くことによって、やっと少しずつ人々の目に触れる機会が増えるようになってきましたが、立体だけで正面突破を目指していた自分としては少し悔しさがあったりします。

陶芸(粘土)という素材は自分が作りたいと強く思えば、技術面での制約はあるけれど、必ず何かしらの形になります。必ずしも生活に根付いたものを作る必要はないし、伝統を意識したものを作らなくてもいいわけです。ポップカルチャーがこんなに盛んな日本で、何故、僕のように日本のポップカルチャーと強く結びついた陶芸作品を展開するプレーヤーが少ないのか、本当に理解に苦しみます。僕のもつ感覚は何も特別なものではなく、潜在的にポップカルチャーの派生作品を陶芸で作りたい人はもっといると考えています。とはいえ、僕の作るコンタクターというキャラクターの立体作品は販売ではとても苦戦を強いられています。絵画とは違い、生産出来る量に限界を感じたり、そもそも立体作品の市場自体がとても小さく、ギャラリー側も扱うにはある程度のノウハウが必要なものでもある(展示だけではなく、輸送にも手間が掛かる)ので、積極的なプロモーションをしてくれるギャラリーも限られてくるのが現状です。この現状を何かしらの手段を用いて僕自身が打開することは、後にキャラクターやポップカルチャーとカテゴライズされることを望む立体を主軸にするアーティストにはひとつの指針になるのではないかと思います。二次元派展での展示はその第一歩を踏み出したと信じたいです。

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展示としての課題

「CHARACTER」にカテゴライズされた人たちの展示の課題としては、今回の展示では統一感を感じる反面、表面上似通ったテイストの絵画が展示されたことで、あまり深みを見出せないものとなったと言わざるを得ないです。キャラクターをモチーフの主体として、絵を描くこと自体がマイナーでは無くなった今、キャラクターを用いた絵画の表現方法は無数にあり、一人一人のアーティストが何を見つめているのかテキストにした上での展示というのが、あの場では特に求められていたと思います。展示に参加したメンバーが同じ世代ということもあり、同じ時代の空気間を纏っている一方で、みんな違う何かを求めて制作していることに焦点が当たるといいなと思います。それと、絵画以外での表現方法についても今後は取り上げていく必要があるのではないかと思います。僕自身、立体を軸に絵も描いているということで、この「CHARACTER 」に属するアーティストとして、絵画を描いているアーティストに限れば、比較する対象になり得ますが、立体をメインとして捉えると、他のアーティストとは比較しようがありません。あの場に、他のあらゆるメディアを主体にするアーティストが集えば、もっと色んな角度から作品を鑑賞することが出来たのではないかと思います。常々、感じることですが、この「CHARACTER 」に属する絵画は今、とても国内外でホットで、商品としての回転率はとてもいいのかもしれません。しかし、そうではないものについても今後は是非取り上げて頂きたいと思います。キャラクターコンテンツが飽和する程存在する日本だからこそ出来る展示というものを僕は観てみたいです。(願望になってしまいますが)


僕自身の課題

「CHARACTER 」に属するアーティストとその他のカテゴリのアーティストとは距離というか壁があるような気がしています。「CHARACTER 」に属するアーティスト同士は同じ展示会場で展示することも多々あり、顔見知りであったりする場合が多いのですが、一歩外に出ると全く知らない風景が広がっています。「HYPE」や「NEW HORIZON 」に属するアーティストについて、僕はあまりにも無知であったと反省しています。活動するフィールドが異なると、作品について語るのが難しくなる現状について、焦ったさを感じました。アーティストの顔と作品が合致して少しお話しすると、新鮮に感じる事柄が多く、久しぶりに「アートって面白いな」と感じる場面が多々ありました。そんな瞬間をこれからもっと増やしていき、自分の作品に昇華していけたらいいなと思います。個人的に今回の展示に漫画「ブルーピリオド」の作者である山口つばささんが参加していることが嬉しかったです。美大の予備校に通っていた頃は志望校や専攻が違う仲間がたくさんいて、違うことが当たり前だったので、なんというか、そういう当たり前なことを再認識させてくれた気がしています。

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