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陶ISM2018 in 横浜について

この横浜赤レンガ倉庫で開催された若手の陶芸家を対象にしたイベントは、僕にとって活動をし始めた年の最後を飾るものでした。11月の終わりのことです。活動し始めて間もない自分には何のつてもなく、取り敢えずデザインフェスタやワンダーフェスティバルなどに出展していました。作品もミニマルなサイズになっていき、このままではいけないと思い、大きい作品を発表する場として選んだのが陶ISMです。丁度この頃から土の模索が終わり、少々大きな作品も安定して磁器で作れるようになりました。

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展示のメインは3点で一つの「生命の樹の下で」という作品でした。この作品には日頃感じているエネルギーの欠乏感を、どうにかして生きていく力に変えていきたいと願う僕自身の気持ちが反映されています。真ん中に立っているのが生命の樹で、生命を象徴するものです。そして、その両脇にいるコンタクターは魔法使いで、マイナスに働く力を魔法によって、プラスに働く力へと変換させようとしているところなのです。本当は魔法使いのコンタクターは3体になる予定でした。なぜならマジック(魔法)の語源となったマギという言葉は、三人の賢者のことを指すからです。しかし、それこそ、僕の力量不足で時間的な制約もあり、3体いてこそ奇跡を起こせるというふうにしたかったのですが、2体でなんとか補う方向へと転換しました。

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この2体のコンタクターでは、表情の模索がひとつの課題となりました。まず、以前のコンタクターが片目しかもたなかったのに対し、両目をもつようになりました。左のコンタクターは目の形状が楕円になり、そして括れています。これは、南あやかさんの描く絵から影響をうけています。口もポカンとしています。右のコンタクターはよく見ないと分からないのですが、口元が微かに緩んでいます。以前のコンタクターは口はなるべく可愛くならないように、真っ直ぐな線を描いていました。この2体のコンタクター以降は可愛いということを肯定するようになりました。そうすることで、どれも同じように見えてしまっていたコンタクター同士の差別化が出来るようになりました。


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