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Yell note :Page62 朗読劇「4月の花嫁」感想

「その人が守られたいのハ、俺じゃなかったかもしれないのニ」
「三輪 幸せになってくれ」
「どんな形であれ、オマエが幸せなら俺の願いは叶ったも同然だ」

©芥見下々「呪術廻戦」より

つまりはそういうことだよ。

※以下作品のネタバレを含みますのでお気をつけ下さい。そして内容としては荒井瑠里さんに関するものが中心になります。

1.参加イベント概要

・イベント名
eeo Stage reading 朗読劇『4月の花嫁』
・参加日時
2024-4-6(土)  19:30~20:30頃
・開催場所
BATUR TOKYO(バトゥール東京)(東京都)
・出演者(順不同、敬称略)
荒井瑠里、長谷川玲奈、中神一保
・syuの位置
1列目上手側指定席
・備考
今回脚本・演出を担当された田邊俊喜さんは昨年5月に開催された朗読劇「あの星に願いを」でも演出をされてましたね。荒井さん、中神さんの再共演といい何かと縁を感じます。

2.前フリ

あらすじは公式を見てクレメンス。
元々本作の存在は知っていて、女性声優の花嫁姿が見れるなんてすげえイベントだな〜と他人事のようにヘラヘラ思っていたのですがまさか自分が参加することになろうとはですよ。
荒井瑠里さんが本作に出演するとアナウンスされてから公演日までの期間を逆算して、礼服をクリーニングに出したり靴を新調したり前日には美容室に行って…と本当に結婚式に参列するのと同じ準備をしてました。俺の没入型朗読劇は1ヶ月前から始まっている!

当日着けてた腕時計は上田麗奈さんモデルというこだわりっぷりなのだぜ!(誰得??)

そしていよいよ公演日。受付のスタッフにチケットを出すと「荒井瑠里様ですね。おめでとうございます」とお祝いの一言。僕にとって何がめでたいのかよくわかりませんが会場側もそういうテイでスタンバっているらしい。ひええ。

ロビーで知り合いと合流したり某声優さんを見かけてテンションが上がっていたりしているうちに開演時間に。僕の席は最前上手席。参加者のほとんどが正装という本当の結婚式さながらの厳かな雰囲気の中、会場後方の扉が開く──

3.総評

登場人物としては結婚式を控えた新婦のさくら(荒井瑠里さん)、さくらの親友であるウェディングプランナーの彩芽(長谷川玲奈さん)、故人のさくら父(中神一保さん)という3名しか出てこないのでストーリーは非常にシンプルです。
基本的にはさくらが父親への想いを振り返る内容となっているため、さくらの台詞や見せ場が多い構成となっています。なのでどちらかと言えばさくら役の声優さんファンの方が満足度は高いのかな?と思います(花嫁姿というプレミア感もありますし)。

ストーリーについてはそれほど事前情報を仕入れていなかったのでとにかく泣ける!らしい!ということでティッシュやハンカチも用意していったのですが、僕は結局使わずに済みました。感動しなかったとか共感しなかったわけじゃないですよ。これは映画を見る時とかでもあるあるなんですけど泣ける泣けるってハードルが爆上がりするとかえって身構えてしまうタイプなので、逆にまっさらな状態で参加してたらズビズビ泣いてたかもしれないです。そして泣かなかった理由は他にもあるんですけどそれについては後述。

役者さん側としては主演2人の稽古が1度だけ(?)という短期集中型だったらしいのもあり、単純にそのコンビがどれだけ通じ合えているかというのも重要な要素だったかもしれません。会話の内容からすると10年以上の付き合いっぽいですからね。親友ってかマブダチってやつですよ(ギャル)。
ちなみに荒井さんと長谷川さんは稽古後にお寿司を食べに行って、しかもなぜか長谷川さんの奢りだったそうで。ゴチじゃんけんでもしたのだろうか…?

そして何より印象的なのが中盤のとある演出。

隣の席の人「さくら!!(クソデカ声)」
僕「??!!!!(心停止)」

てな感じでさくら父役の中神さんが僕の隣でスタンばっていたのです。去年の朗読劇「あの星」でお顔を見ていたのに開演前に気づかなかった…そして死ぬほどびっくりして思わず悲鳴をあげるとこだった…。そこから10分くらい心臓がバクバクしてるせいで話が全然入ってこなかったんですけど他の回に同じ席に座った皆さんは大丈夫だったでしょうか?
本編終了後のクロストークでこの話題になった時、してやったりみたいな顔をした荒井さんと目が合って思わず苦笑しちゃいました。弱ってる僕を見てずいぶんと楽しそうじゃないか…。

そういや千秋楽は昨年結婚発表された田中美海さんがさくら役で出演されてますけどどんな感じの雰囲気だったのかめちゃめちゃ気になる。

4.キャスト感想

①彩芽役・長谷川玲奈さん

長谷川さんのことは以前からお名前は色んなコンテンツで見かけていたのですが直接拝見するのは今回が初めてでした。
アフタートークでも少し触れられていたようにスーツを着こなした姿はしごできなウェディングプランナーといった佇まいでとても頼りになりそうでした。その分さくらとのフランクなやり取りは2人の長年の関係性を感じさせてくれましたね。友達でもあり面倒見のいいお姉さん的な。

ウェディングプランナーという職業に対しては漠然としたイメージしか持っていないのですけど、それぞれの夫婦とその親族には独自の事情があるわけで、商品としてのパッケージはあるにせよ色々な苦労があるんだろうなあと想像しちゃいますよね。それでも人の幸せに関わる職業というのは何だか羨ましくもあります。

②さくら役・荒井瑠里さん

もう一回遊べるドン!!
じゃなくてモノマネのアドリブって何て言ってたんだっけ…。

これまでも舞台でJKの制服やら江戸時代の着物やら色んな衣装の彼女を見ましたけどやっぱりウェディングドレスってファンにとっても特別じゃないですか。もしかしたらリアルご家族も観劇されてたかもしれないですのでなおさら。
荒井さんの立ち位置も上手側だったので僕との距離はたったの2メートルほど。脳を灼かれるような、というのはこういう時の表現なのでしょうか。「思考回路はショート寸前〜♪」と一曲吟じたい気分でした。事前に動画や画像で見た以上の圧倒的説得力を持った花嫁が眼前にいましたからね。これ見せられたら「お幸せに」って言うしか無くなってしまう…。

そんな感想もありつつ今作は僕にとって「そういう役」だとはわかっていても「荒井さんが」「チャペルで」「ウェディングドレスを着ている」っていう現実との二重構造だったんですよね。故にこの作品に対する感想は僕の個人的心情と不可分なのです。
さくらがお父さんのことを思い返していたように、僕の脳内でも荒井さんと出会ってからの2年半が走馬灯のようにフラッシュバックしてました。

(こうして振り返ってみると言えなかったこと、できなかったことばかりだ)

(でもこの人の笑顔も、泣き顔も、怒った顔も、全部受け入れてくれる人がきっと現れる)

リアルご報告をされても同じことを考えそうですが…。
そして僕は改めて思ったのです。荒井さんが泣いてる時に一緒に泣きたいわけじゃなくて、彼女が勇気を持って舞台に立つことへの敬意としてその演技を取り零さないようにちゃんと見届けたいんだと。

短い時間の中でさくらという女性の半生を表現するのは中々難しいミッションだったとは思いますが、天真爛漫な幼児時代、反抗期の学生時代、そして成人してから、それぞれの年代で父にどういう反応をしていたのかを端的に見せてくれました。そういや荒井さんも学生時代にリアルお父さんと数年口きかなかったとか言ってませんでしたっけ…?(戦慄)この辺のくだりは娘さんがいるお父さんにぶっ刺さりそうでしたね。

演技面では学生時代に母親のことを絡めて父親へ反発した描写あたりから感情のギアが一気に上がったフシがあって、客席の雰囲気もそこからグッと引き込まれていたように感じました。反抗期って普遍的なものですし、親に謝りたいことなんて誰しも一つや二つ心当たりがあるでしょう。でもそれって色んな人生の節目でしか自覚しなかったりするので、普段意識しない親のありがたみを再認識させてくれたなと。

ウサギのように目を赤くして止めどなく涙を流していたシーンから一変、結婚式のシーンでは何かを振り切ったような晴れやかな笑顔を浮かべていたのがとても印象的で、特に声を出さず口の動きで「お父さんが笑ってる」と呟いていたところは用意されていた台詞というより本当に意図せず口に出たみたいな自然さがすごかったです。タイミングも長谷川さんとの息がピッタリ合ってました。

…とまあここまでつらつらと書いてみましたけど見た人の立場によってもさくらに対する印象は様々だと思います。性別や、年齢や、家族構成だったり。それでも会場のあちこちからすすり泣く音が聞こえてきたのはちゃんと皆さんにメッセージが届いた証左なので、舞台装置の一部としていい作品を見ることができて本当に良かったです。

なお、「ご報告」についてはノーコメントで!!(左手薬指の指輪見せつけるやつできてよかったね)

今年の誕生日は怪文書を送るのを控えたのでここで放出。

東新宿の神社が芸能の神様らしかったので二次会で居酒屋行ったついでに今後の活躍を祈ってきました