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映画時評『JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】』

ちょっと前に見た映画です。
記事にするほどじゃないかなと思ったけど、せっかくなので。

もうそろそろ、今年のベスト映画ランキングを発表したい。
あとは『ナポレオン』と『PERFECT DAYS』の鑑賞を残すのみという感じです。

あらすじ

1963年11月22日。第35代アメリカ大統領ジョン・F・ケネディが、ダラスでパレードの最中、何者かに狙撃され暗殺されてしまう。
暗殺の実行犯として、リー・ハーヴェイ・オズワルドという24歳、元海兵隊員の男が逮捕されるが、身柄を移送中、乱入してきた男によって拳銃で殺害。
暗殺事件を調査するために、ウォーレン委員会が設立され、事件が捜査されるも、彼らが出した結論はオズワルドの単独犯で、いかなる陰謀も存在しないというものだった。

1991年、オリヴァー・ストーン監督による映画『JFK』が公開。暗殺事件に関して非公開の文書が50万点以上あることが知れ渡る。
その翌年『ジョン・F・ケネディ大統領暗殺記録収集法』が制定され、いくつかの文書の機密指定が解除された。明らかに映画の公開があっての動きだった。

そして2021年、暗殺から58年が経過した今、オリヴァー・ストーン監督の執念で、再びJFKが語られる。

キャストとスタッフ

監督はオリヴァー・ストーン。いまなお反権力でアメリカに楯突く男。オリヴァー・ストーン監督だけじゃないですが、60年も前の事件の真相を追い求めて調査を続けるというのは、賽の河原でひたすら石を積み上げては崩されるのを繰り返すような行為というか、徒労とも言える努力を重ねているわけですよね。すごい執念。

撮影監督には、『JFK』でオリヴァー・ストーンとタッグを組み、アカデミー撮影賞を受賞したロバート・リチャードソンです。

ナレーションに、『JFK』でミスターXを演じたドナルド・サザーランドなども出ていて、自作へのセルフオマージュのような感じがありますね。

レビュー

映画の構成はこんな感じです。
ケネディの暗殺から始まり、オズワルド逮捕、怪しい捜査、その検証と、映画『JFK』の内容を振り返るような冒頭からスタートし、蛇のようにのたくってケネディを殺したらしい『魔法の弾丸』、実行犯とされている『オズワルド』の正体。銃撃はどこからだったのか? 飛び散ったはずなのになぜ脳が綺麗なままなのか? 『ケネディの検死』、そして怪しすぎる『CIA』の関与。そしてケネディはなぜ殺されなければならなかったのか、『ベトナム戦争』との関係。
91年公開の『JFK』は劇映画でしたが、本作は証言者のインタビューと記録映像、写真から構成される“ドキュメンタリー映画”となっています。

やっぱり一番気になるのは、犯人だと思いますが、映画の中では状況証拠を提示するだけです。当たり前ですけどね。
それでも、やはりCIAが実行したというのが濃厚でしょうか。ケネディは米軍をベトナムに派兵するのに反対の立場をとっていて、CIAと国防総省がそれに抵抗した結果、暗殺ーというのが、この映画の見た感じの結論です。少なくともそういう印象を受けました。
ベトナム戦争が行われることによって潤うのは、アメリカの軍需産業ーということになるのか? うーん、どうしようもないなこりゃ。

映画の最後には、ケネディがいかに稀有な政治家で、アメリカの良心とも言える傑出した人物であったかが語られる。それが本作に、思わず胸が熱くなるような感動を与え、見事に心を震わせるシーンになっている。
僕自身はケネディがどういった人物だったのか知らず、政治家としての良し悪しは評価できないんですが、オリヴァー・ストーン監督の、ケネディへの愛と敬意が映画のなかに感じられて、それが一番の見どころで素晴らしい点だった。

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