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おっさんズ

市の清掃センターへゴミ出しに行った。
そこには、数多くのおっさんらが作業員として働いており、仮におっさん図鑑なるものをオーキド博士が開発してたとしたらここに来るだけで一気に図鑑の項目が埋まり、「みつけたおっさん40ひき!つかまえたおっさん1ぴき!」とかなんとかいって大層褒めてくれるのでは、と思うくらいにおっさんの巣窟と化しているのであった。

おっさんにも属性やタイプがあり、にこやかに対応してくれるおっさん、ぶっきらぼうだけど根は優しいおっさん、ぶっきらぼうだし根も優しくないおっさん、ちっさいおっさん、おっきいおっさん、歯の抜けたおっさん、やたら大きい眼鏡を装備しているおっさん…。見事に多種多様なおっさんを発見できる。地方の、田舎の、市営の清掃センターとはいえ、このバリエーションの豊かさには正直目を瞠るものがある。尋常ではない。世の中にはこんなにもおっさんがいるのか、とため息が出る程だ。

空き瓶をタライにガラガラと入れると、どれどれと群がってくるおっさん達。透明の瓶、茶色の瓶と目視で仕分けし、山積みにしてある瓶の山に投げ入れていく。ガラガラガシャーン!瓶に夢中になっているおっさんらにお願いしまーすと声をかけ、次のエリアへ。
次のエリアでは不燃物や壊れた家電なんかをデカい車輪付きの箱に入れる。こんにちは〜お願いしまーすと声掛けすると、大抵はにこやかに運び出してくれる。ダンボールはダンボール用の廃棄口に投げ込むシステムだ。今回はダンボールが大量にあったのでぼく自身もすすんで廃棄口にダンボールを持っていく。すると、ドアを開け放してあった車からおっさんらがダンボールを抱え、作業を手伝ってくれているではないか。ああ、すいませーんと声を掛けるとはいはーいと応じてくれるおっさん。働き者のおっさんだ。信頼出来る。
そのエリアの片隅には布団が大量に山積みにしてあった。あれだけの布団を見たことがない。なんだあれは。布団の集合体。塊魂だったら一気にサイズが倍になるレベル。
ぼくのその布団の集合体を見る目が気に入ったのか、おっさんが声を掛ける。

「気になるかい?布団が」
「え。え、ええ、まぁ」
「ふふ、好きなもの、持っていけよ」
「ええ!だめですよ、そんな!」
「いいんだよ、どうせまとめて燃やして終わりなんだから。あー、つってもこの暑さじゃ布団なんていらねぇか。吹っ飛んじまいそうな暑さだもんな。布団だけに」
「は、はは」

なーんて会話は実は無かったけど、そんなノリのおっさん達だった。

この清掃センターにゴミを持ち込むには事前に電話をする必要がある。名前と住所と電話番号、そして持ち込むゴミの種類を告げなくてはならないのだ。
その清掃センターの電話番号を調べるために、グーグル検索をすると、清掃センターの口コミなるものが表示された。レストランじゃあるまいし、と思いながら口コミを見てみると

いや、世知辛いかよ…。

みんなおっさんには、やさしくしてね。

こんな駄文をいつも読んでくださり、ほんとうにありがとうございます…! ご支援していただいた貴重なお金は、音源制作などの制作活動に必要な機材の購入費に充てたり、様々な知識を深めるためのものに使用させて頂きたいと考えています、よ!