見出し画像

阿部詩さんの大号泣を経済学者はどう見たか?

東京五輪金メダリストの阿部詩さんがパリ五輪柔道52キロの2回戦で一本負けした。

世界ランク1位のケルディヨロワ(ウズベキスタン)に敗北し、暫く放心状態の末、その場では立てず、畳の上で大号泣をした。


☆☆☆



ソース↓


■阿部詩さんの大号泣

出典:Yahoo!ニュース

恥も外見もなく畳の上でワンワン泣いた。

しかも写真に有る通り、自分では立ち上がれず、介助者に助けてもらい競技場を後にした。


日本の有識者はこの神聖な畳の上でワンワン泣く行為を、柔道を汚す行為、ケシカラン!

他の人に迷惑。

と辛口評価するが、経済学者はどう見たか。

私たち経済学徒の発想は、ぶっちゃけゲスい。

金・金・金!

データ大好き。

統計大好き。

血も涙もないリアリスト。

金儲け大好き。

世の中金よ。金。

そんな私たちは詩さんのあの大号泣をどう見たか。


人文科学のテーマについて、社会科学側を使ってみる。

社会の科学。

まず私がインプットした(脳に入れたデータ)で、一番衝撃を受けたのは、お兄さんである阿部一二三さんの優勝後のインタビューである。

当日、妹の詩さんが2回戦敗退が決まった後、一二三さんの試合が始まった。

彼は1回戦から決勝戦まで技ありで勝っても、一本勝ちしても、一度も喜んだりしなかった。

優勝したとき以外、ガッツポーズも取らなかった。

そして優勝後のインタビューの際、初めて笑顔を見せた。

彼のインタビューを私は生涯忘れることができない。



■一二三さんが優勝後見せた初の笑顔

出典:Number Web


優勝後の新聞記者へのインタビュー

"パリオリンピック優勝することが出来2連覇達成する事が出来ました。

決して簡単な道のりではなかったし辛(つら)い事も苦しい事も沢山ありましたが、自分を信じて最後まで戦いました"

出典:産経新聞


優勝後、一二三さんがスポーツ紙へ語った言葉

"練習とトレーニングがしんどかったし、してもしても不安で、『大丈夫かな』『強くなってるのかな』と思っていました

(不安は)東京で金メダルを獲ってすぐの試合からですかね。

22年の世界選手権も、23年の世界選手権も。周りの方は『圧倒的だな』と思われたかもしれないですけど、全然そんなことはなくて、ライバルと競ってこの舞台を手にしたし、決して簡単な道ではなかったなと思います"

出典:Number Web(上と同じリンク)

阿部一二三さんが優勝後まず真っ先に、記者に語った言葉。

それは、詩さんのために頑張ったでも、パリ五輪で金メダル穫れて嬉しい!

でもない。

辛かった。

辛い3年間だった。

しんどかった

次が、不安だった。

この練習で大丈夫なのか不安だった。

その次が詩さんのためにもがんばった。

である。

阿部一二三さんも阿部詩さんも26歳と24歳で社会人である。

柔道はアマチュア競技のため、普段はパーク24というお二人が就職した会社で仕事をなさっている。

この様なアスリート社員で、陸上競技で五輪出場を目指す選手の、1週間のスケジュールを公開している企業がある。

阿部一二三さん、詩さんのような五輪へ出場するアスリート社員がこの3年間どんな生活を送ってきたか。

読者の皆さんは知るべきだ。

ファクトを知った後思考すべき。


アスリート社員の1週間

出典:株式会社ジーケーライン

1週間休みなし。

3年間1日も休みなし。

オフは土曜日の午後のみ。

1年365日休みなし

こんな、こんな生活してやっと五輪に出れて、出場権獲得できて、一瞬の隙を突かれて1本負けしたらそりゃ泣くわ。

辛くて、辛くて、悔しくて、悔しくて、頭真っ白になって。

立てなくなるよ。こんな生活じゃ。

彼らはアマチュア競技の選手ですよ。

サッカー選手みたく年俸5億とかもらって、朝から晩まで好きな競技できるわけじゃない。

ずっと仕事してんの。

平日は基本仕事。社会人なんだから労働してんの

一二三さん辛かったって言ってるのに、4年後もがんばってください。

って皆頭おかしいんじゃないの?

それって、今後また4年間1日も休まず働いて1日2時間くらいやっと確保してその時間練習して365日休まず働いて運動しろ!

と同義語ですからね、それ。

みなさんは一つの競技に、私だったら文筆活動だけど、それに人生捧げたことってありますか?

あれはね、早く立てじゃない。立てないんだよ。

365日1日も休まず仕事してきた

仕事と練習以外の時間は一度も取れなかった。

人生捧げてきた。柔道に。

人生捧げた人間が1分で過去3年間が水の泡になると、涙が涙が止まらないんだよ。

けしからん!とか他の競技者の妨げになるだろ!

とかそういう次元じゃない。

あれは立ちたくても立てないんだ。

涙を抑えようとしても抑えられずとめどなく涙が出てしまう。

ガチ勢なんですよ。

人生を柔道に捧げてんの。

そういう、真摯な人は、そこで終わってしまうとショックで頭がほんとうに真っ白になるし、体が動いてくれない。

植物人間みたく体が動かない。

だから介助者に引っ張ってもらうしかない。

老害のみなさん、そこまで人生捧げたことってあります?

元政治家の人とか批判してるけど、1年365日休まず政治家として政務をまっとうし、働いたことってあります?

国会議事堂でお昼寝してる議員さん、1年365日労働を3年間休みなしで働いた人の涙の重さが理解できますか?

その尊さが。その美しさが。

人生捧げて、人生賭けて、一つのことに打ち込んだことってありますか?

そういう話ですよ、これは。

通常国会が1年で150日しか開催されない。

年間215日お休みの元国会議員にそんなこと言われたくない

あれはそういう次元じゃない。

そんな簡単なものじゃない。

そんな簡単に踏ん切りつけられるものじゃない。

立ちたくても立てない。

涙を抑えようにも抑えられない。

だから介助者に引っ張って競技場を後にしたんだ。

努力の結晶が実らなくて、必ずしも実るものではなくて、体が動いてくれなくなってしまったんだよ。

分かります?これ。

人生を捧げることの意味。その尊さ。重さ。

が分かります?

彼女たちの尊さを老害の無責任発言で穢さないでほしい。

汚い物で汚さないで。

阿部一二三選手がなぜ金メダル獲ったあと嬉しいより辛かった!

この3年間辛かった!

この言葉の意味がわかってあげられないの?

なんなの?ギャグなの?馬鹿なの?

計量経済学的データをなぜ取らないの?

アマチュア選手の現状を、なぜ見ないの?

私の意見ではーとか、恥ずかしいこと言うの?

コメンテーターみたいにヌルい人生送ってる人たちじゃない。

炎上商法のために詩さんの涙を穢すな。

データ見ろと言いたい。が、経済学徒の見解。

関連エントリー:障害者を批判すればするほど、障害者が一番儲かる

(おしまい)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?