見出し画像

最新のiPhoneで撮れる写真と、低画素カメラの一眼レフ・ミラーレス機の写真のどこが違うのか?

10年前、カメラマンという雑誌を毎月購読していた。


☆☆☆


まったく売れなくなり、すでに廃刊になった。

が、カメラマンという雑誌では、新商品ピックアップ記事がよく掲載されていた。


新商品記事では、たとえば、CANONのEOS 5Dと後継機の5D Mark2の同じ作例を掲載させ、どちらも拡大画像を表示させ、後継機の5D Mark2のほうが画素数は2倍。

ほら、こんなに細かいところまで解像してる。

高画質!

と、CANONの名機中の名機として神格化すらされた初代5Dを叩きまくり、新商品であるEOS 5DMark2を買わせる。

という企画記事を毎回やっていた。

新商品が出るたびに低画素機の前モデルをこき下ろし、後継機である新商品を褒め称えた。


みなさんはそんなに慧眼なのでしょうか。

写真ユーザーやカメラマンはそんなにも高画素機で撮った写真と低画素機で撮った写真の違いが分かるものなのでしょうか。

ということで画素数テストをしてみます。


SONYの最新機種である圧倒的高画素機、5010万画素のα1と、16年前に発売された2110万画素のEOS 5DMark2のどちらで撮った写真なのか、みなさん当ててみてください。

写真家のみなさんなら2.37倍の画素数差ですので、さぞ簡単に言い当てられることでしょう。

最新のiPhone16も画素数は4800万画素です。

SONYの最新機種とほぼ同じ。

よって、スマホユーザーも、低画素機のEOS5D Mark2との違いを考察してみてください。



■高画素機と低画素機の写真テスト




【画素数テストその1】この写真は低画素機、高画素機、どっちで撮った写真?

出典:ガンレフ
出典:ガンレフ

この最新機種で撮った波の圧倒的高精細画像。

スマホと同じ最新機種のα1?

または、2008年に発売された、画素数2110万画素のEOS 5Dmark2。

どっちかな?




ブブー。

不正解です。

正解は1230万画素のNikon D90の写真でした。

5D Mark2の更に半分の画素数でした。

下の波の写真は頭がおかしくなるほど高画質ですが、それでも1000万画素機です。


次の問題。


【画素数テストその2】この写真は低画素機、高画素機、どっちで撮った写真?

出典:ガンレフ
出典:ガンレフ

この高精細な風景写真、5010万画素のα1か、2110万画素のEOS 5DMark2。

どっちかな?




ブブー。またまた不正解。

この高精細写真は、いまから19年前の2005年12月16日に発売された、名機、Nikon D200の写真でした。

ちなみに画素数は1020万画素。

1020万画素で畑のお野菜1つひとつがすべて解像してます。



【画素数テストその3】この写真は低画素機、高画素機、どっちで撮った写真?

出典:ガンレフ
出典:ガンレフ

この超高精細風景写真は、最新のスマホと同程度、5010万画素のα1と、2110万画素のEOS 5DMark2。

どちらで撮った写真でしょうか?




ブブー。

不正解。

この写真は、いまから22年前の2002年6月22日に発売された、有効610万画素機のNikon D100の写真でした。

どんどん高精細写真になっていきますw。



最後のテスト。


【画素数テストその4】この写真は低画素機、高画素機、どっちで撮った写真?

出典:ガンレフ
出典:ガンレフ

この2枚、有効5010万画素のα1と、16年前に発売された2110万画素のEOS 5DMark2のどちらで撮った写真でしょうか?




ブブー。またまた不正解。

上のフクロウは5010万画素のα1。

下のフクロウが、1,020万画素のNikon D200でした。


騙すようなクイズを出題し、謝罪いたします。


なぜ、(私も含めて)違いが分からないのでしょうか。

理由は簡単です。

確かに上のフクロウの写真は有効5010万画素のα1で撮った写真です。

しかし、この写真、解像度は横1200px縦800px(1200*800=96万画素)でアップロードされた画像だからです。

96万画素とは、横に四角い点が1200個、縦に四角い点が800個ある写真のこと。

noteで掲載できる最大解像度はこれくらいなのです。

だから96万画素以上のカメラで写真を撮ってnoteに貼った場合、1000万画素のカメラだろうと、5000万画素のカメラだろうと、1億画素のカメラだろうと、同じ解像度96万画素で掲載されます。

(厳密には、最近noteでは長辺4000pxまで対応するようになった)


ちなみに、私はnoteで写真も販売していますが、そのときの解像度は横1600px縦1200pxの写真を貼って販売してます。

セミプロとして写真を販売するとき、1600*1200=192万画素以上使ったことはありません。


192万画素以上のカメラであれば、noteで写真販売業の仕事をすることは可能です。

また、1000万画素でも、5000万画素でも同じ解像度の画質になります。


ちなみに、自分が仕事用に使っている、この記事を書くのにも使っている、PCディスプレイは31.6インチのHD(フルハイビジョン)ディスプレイ。

最大解像度は横1920px*縦1080px。

(pxは解像度の単位でピクセルと呼ぶ)

画素数にして207万画素(1920×1080=207万画素)。

よって、207万画素以上の解像度の写真を全画面で表示させても、スペック上それ以上の高精細部分は表示されません。


4Kディスプレイで縦3840pt*横2160(縦に3840個の四角い点のランプがあり、横に2160個の同じく点がある高解像度ディスプレイ)、で、写真表現すると3840px*2160px=829万画素。

よって、高価な4Kディスプレイで全画面表示させても、829万画素分しか表示されません。

noteも長辺4000pxなのでこれくらいしか表示させられない。

1000万画素以上はオーバースペック。


それ以前に829万画素を表示できる4Kディスプレイは207万画素のフルハイビジョン・ディスプレイの4倍の解像力を誇り、その分、電気代も食いまくる

だからわざわざ4Kを買わずフルハイビジョンディスプレイで電気代を抑えるようにしている。


写真家が5000万画素を使うシーンはほぼない。

巨大ポスターサイズとか山を撮るとか(山を撮った場合、その山を構成する木々1本1本まで高精細に写したいという需要はある)、あとは、国立国会図書館で国宝の書物などミクロ単位で描写し、記録として保存して置きたい。

そのような特殊用途以外に使い道がない。


iPhoneも一般的な用途であれば、14までの1200万画素で十分。

22年前のカメラ、NikonのD100ですら610万画素で、はっきり言ってオーバースペック。

また、それを表示できるほど、スマホのディスプレイの解像度は高くない。


写真において一番大切なのは、むしろ画素数ではなく、画素ピッチであり、1画素ピッチ当たりの面積がもっとも大切


センサーサイズが大きく、そして低画素機であればあるほど、1区画当たりの画素ピッチは広くなり、受光面積が増える。

画素ピッチが広いと、色のなだらかな、色調の綺麗な写真が出てくる。


最新のiPhone16だと画素数は4800万画素だから既にほとんどの一眼レフカメラより高精細写真が撮れる。

解像力は一眼レフカメラ・一般的なミラーレス機より上。

(それを表示させる媒体がほぼないのは問題だけど、解像力自体は、カメラよりスマホのが上)

だけど、センサーサイズが小さいのに画素数が多いから、iPhone16の画素ピッチは1区画当たりが非常に狭い。


だから無理したバッキバキの写真になる。

超高画質な写真になる。


バキッっとした無理した写真。

色のなだらかな綺麗な色調の写真は撮れない。


でも、解像力自体はiPhoneのほうが高い。

デジタルならではのバッキバキの写真を否定してはいけない。

iPhoneに撮れないのはこういう色味の写真。



■CANONの神機、神格化された初代EOS 5Dの作例

出典:ガンレフ
出典:ガンレフ

ずっと見てても飽きない美しい色。

色味の写真。

神機とまで言われた初代EOS 5Dは、フルサイズの巨大センサーを搭載しながら、画素数はたったの1280万画素。

4代19年続くCANONの5D系最高傑作機と呼ばれる。

名機中の名機。


ぶっちゃけ解像度はiPhone16のが4倍以上高い。

4倍以上高精細に細かく解像できる。


しかし神機EOS 5Dは色がものすごく綺麗に出る。

色の繋がりが綺麗。


それは画素ピッチが非常に大きいから。

色にゆとりがある。

画素数1画素当たりの受光面積が広い


低画素機と高画素機の違いはこれ。

深い色味を求めるか。

高精細画像を求めるか。

の違い。

個人的には綺麗な写真が好きなので(バッキバキも好きだが)、どちらかと言えば、低画素機のほうが好み。


P.S.(おまけ編)

CANONの神機、EOS 5Dは2005年発売のカメラ。

既にディスコン(生産終了)された機種。


SONYはいまの時代でわざわざEOS 5Dと同じ1000万画素の写真をいまでも販売させている。

唯一のメーカー。

それは色味のニーズに対応しているため。


NikonもCANONもマーケティング上、高画素機のほうが高画質だと勝手にユーザーが勘違いしているため、売れるカメラを販売している。

しかしSONYは綺麗な色味の良い写真が撮れる低画素機をいまでも販売し続けている。


高画素数イコール高画質ではないことを知っている(ユーザーがあまり知らないため、それほど売れてないのだが)、稀有な会社。

バッキバキの高画素写真も素晴らしいし、色味の綺麗な写真もまた、素晴らしい。

写真表現は解像力以外にもたくさんあるのだ。

有効1220万画素のα7Sの写真はこちら



■SONY α7Sの作例(階調性全振りカメラ)

出典:ガンレフ
出典:ガンレフ
出典:ガンレフ

SONYはかなりまともな会社。

CANONもNikonも高画素機のほうが売れるから、ただ単に売れるカメラを販売しているに過ぎない。


SONYは良いカメラを販売している。

美しい色調と階調性の写真が出てくる良いカメラを。

バッキバキはスマホで撮れるんだから、こっちを訴求したほうが良い。


関連エントリー:

上から2番目の記事は無料。3,4番目の記事は無料部分多め。

特に4番目の記事は無料部分がとても多い。

(おしまい)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?