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一眼レフカメラ衰退の最大要因、破壊的イノベーション理論とマウントアダプターについて

3年くらい前、生活保護を受給するときに、貴金属や車など資産を売れと公務員に言われた。


☆☆☆


実際、生活保護課の公務員が自宅に、貴金属を持ってないかチェックしに来た。

そして部屋の中を調べられた。

そのとき富士フイルムのミラーレス機を持っていることを申告したら、売らなくて良い。

持ってて良い。

と言われた。


ちなみに売った場合はそれを貯蓄できるのではなく、その売った金額分、生活保護を遅らせるというものだった。

最終的に預貯金6,000円で(それを記帳した通帳明細のコピーを提出し)、保護の開始となった。

目と耳失ったししょうがない。

富士フイルムはすさまじく画質が良いのだが、レンズが死ぬほど高いという特徴がある。

カメラは持っているのだが、レンズを持っていない。

貧乏人だし仕方ない。

いま、CANONのEFマウントだったらレンズが2本あるため、マウントアダプターを装着して写真撮影しようと思ったのだが、色々調査したら、ヤバい事実が分かった。

写真初心者の人は知らんかもしれんが、CANONのカメラもNikonのカメラもレンズを装着する凹みのサイズが異なる。

この装着部分を「レンズマウント」と呼ぶのだが、それぞれのメーカーでマウント径が異なる。

よってCANONのカメラにはCANONのレンズしか装着できないし、NikonのカメラにはNikonのレンズしか装着できない。

だからCANONのカメラを買ってしまった人は、ずっとCANONのレンズを買い続けるしかない。

Nikonを買ってしまったら選択肢はニッコールレンズしかない。

PENTAXならPENTAXのレンズ。

SONYならSONYのレンズしか買えない。

買っても良いけど装着できない。

レンズマウントのサイズがそれぞれ異なるためだ。


一眼レフカメラがスマホに負けた原因の一つがこれである。

CANONのカメラを買ってNikonやSONYやPENTAXのレンズも使えたら、もっと写真撮影の自由度は高まった。

市場規模も拡大した。

しかしそれはできない。

マウントアダプターは、中国の闇ブローカーみたいな会社が作っている、メーカー非公認で動作を保証しない装置である。

よって基本的にはカメラメーカーと同一の純正レンズを買わなければいけないのが現状である。

CANONを買ったら10本20本とずっとCANONなのだ。


ゲーム理論を使ってみよう。

企業側から見ると、一度カメラを買わせてしまえば、そのユーザーはメーカーに忠誠を誓う。

こうべを垂れる。

頭を下げる。

もうずっとCANONだ。

もうずっとNikon。

選択肢がない。

競争相手がいない。

価格競争が起きない。

よってカメラは3割4割引きが当たり前だが、レンズはほぼ値下げしない。

なぜならCANONのカメラを買ってしまったらもうずっとCANONだからだ。

Nikonは競争相手ではない。


競争相手がいないから、技術的に他社マウントのレンズも製造可能なのに、わざと競争をしない。

写真家に不利益を被らせる。

そんな歴史がある。

どこも抜け駆けしない。

だから、あ、もうスマホで良いや。

めんどくさい。

となったのである。

もちろんカメラがスマホに負けた最大の原因はこれではない。

ハーバード大学のクレイトン・クリステンセン教授の論文、イノベーションのジレンマに掲載された「破壊的イノベーション理論」のせいである。

かつて真空管ラジオを米国のメーカーが製造していたとき、真空管ラジオは高品質であり、富裕層しか購入できなかった。

音質は最高に良かった。

しかし、一般のアメリカ人には手が届かなかった。

ラジオを聞きたかったのに、誰も真空管ラジオを買えなかった。

そのときベンチャー企業だった当時のSONYが発売した製品。

それがトランジスタ・ラジオである。

アメリカの1970年代の映画などで黒人男性がバスケットコートの隅にSONYのトランジスタ・ラジオを置いて、バスケするワンシーンがある。

トランジスタ・ラジオは音質が悪かった。

しかし、真空管ラジオと比較すると安く値ごろ感があった。

一般的な黒人男性も含む、普通のアメリカ人のニーズは音質の良い音で聞きたかったのではなく、ただ単に、ラジオが欲しかったのである。

彼らは音質を求めていたのではなく、ラジオのある生活を求めていた。

真空管ラジオのほうが利益率は非常に高かったが、普及価格帯であったトランジスタ・ラジオのほうが爆発的に売れた。

売れに売れまくった。

馬鹿みたいに。

具体的な数値を出すと、1959年に真空管ラジオ200万台に対してトランジスタラジオは920万台。

翌年1960年にはトランジスタ・ラジオの生産台数は1,000万台を突破した。

トリプルスコアどころか5倍差である。

1台あたりの利益率は高付加価値製品たる真空管ラジオのほうが高かった。

しかし5倍の販売台数を誇る、トランジスタ・ラジオのほうが利益額は遥かに多かったのである。

トランジスタ・ラジオのほうが利益の金額が多かったため、当時のSONYは容赦をしなかった。

莫大な金額を研究開発費に投資し、徐々に音質も真空管ラジオを上回ってしまった。

最初は劣悪な音質だったけど、多少音が悪くとも、ラジオのある生活を求めた多くのアメリカ人のニーズを捉え、その莫大な利益から研究開発が進み、音質まで越えてしまった。

安くて音質も良い。

その後、米国の真空管ラジオを製造していた会社はSONYのせいですべて倒産した

一眼レフカメラのレンズにおいて高級ズームレンズのことを大三元レンズと呼ぶ。

焦点距離は以下の3つである。

  • 16-35mm F2.8

  • 24-70mm F2.8

  • 70-200mm F2.8

これらは、3本の大口径高級レンズのことであり、メーカー各社がもっとも重要視しているレンズラインナップである。

もっとも利益率が高いレンズであるとも言える。

ドル箱製品。

主要メーカーであるCANON、Nikon、SONYが総力を上げて開発しているレンズ。

それぞれ20万円以上する。

30年前、かつてガラゲーと呼ばれた当時の携帯電話の写真撮影用レンズは、ほんとうに劣悪だった。

1枚数百円のレンズであり、レンズメーカーであるNikonもシグマもCANONも誰も見向きもしなかった。

1枚数百円のレンズなら20万円のレンズレンズのほうがよっぽど儲かる。

一眼レフカメラ用レンズは、高付加価値製品であり、利益率が高い。

どこかで聞いた話だよね。これ。

当時の携帯電話はいまほど売れていないし、利益率は雀の涙だから誰も参入しなかった。

1990年代は、学校でも1クラスで1人か2人しか持っていなかった。

皆、高付加価値製品である一眼レフカメラ用の高級レンズに注力し、レンズメーカーは、見向きもしなかった。

それどころか、大きく重たいカメラを所有するカメラユーザーは、スマホは画質が悪いと馬鹿にすらしていた。

今現在、2023年の世界累計におけるスマホとスチルカメラの販売台数はこちらだ。


■スマホとカメラの販売台数(年間・世界累計)

  • スマートフォン:12億台

  • 一眼レフ及びミラーレス機(コンデジ含む):772万台

スマホのほうが155.4倍販売台数が多い。

真空管ラジオと同じで、高利益率、高付加価値製品に拘り、低利益率で数百円程度だったスマホのレンズにどのメーカーも参入しなかった。

スマホはその莫大な販売台数から巨額の利益を獲得し、それを惜しみなく研究開発投資をし、すでに一眼レフカメラと同じ写真画質になってしまった。

破壊的イノベーションにより技術革新を遂げた。

最初は廉価・低画質・低価格。

そして低利益率。

だけど一般的な普段から写真を撮らない人間すべてに写真機を持たせた。

便利で手軽で楽しいという写真ライフに応える。

いつもポケットのなかにカメラを。

カメラメーカーは、一部の毎回20万円のレンズを買ってくれるハイアマチュアのニーズにだけ、既存の大お得意様の、最大利益率の顧客ニーズのみを追求し、それを顧客の声だなどと勘違いを起こし、いつもポケットのなかに小さなカメラがあったらいいなあ。という莫大な潜在ニーズを無視した

高利益率。高付加価値。

既存顧客のことだけを考えた、カメラメーカーはすべて滅んだ。

市場は93%消滅した。

誰もカメラを買わなくなった。

スマホで良いやと言う様になった。

それは破壊的イノベーションを行わなかったから。

持続的イノベーション製品(既存製品の改良品)しか作らず、高付加価値に傾倒し、利幅の大きい製品だけを、顧客の声だけを聞き、普段写真機を保持しない巨大な潜在ユーザーの声を無視し続けた

ハーバード大学教授クレイトン・クリステンセン氏が発表した社会科学論文の通りに社会は動いた。

トランジスタ・ラジオの研究論文など、HDD市場の研究論文など、誰も読まなかった。

無知は罪である。

既存顧客のニーズなんて考えるからこんなことになる。

既存顧客の声を聞き真摯に対応するとか、言わば、強欲の極みである。

まあそれは別に良いとして、CANONのEFレンズを装着できる富士フイルムボディのマウントアダプターを購入しようとしてたら、とんでもない事態が発覚し、ドン引きした。

それがこちら。


■欲しかったマウントアダプターをサクラチェッカーに掛けた結果

サクラ度90%ってビックカメラで売上2位の製品なのに。

1位は7万円で手が出ないからこっちが良いかなと思ってたら、ヤバいメーカーであることを知った。

こっちも高いのに。

ちな、同一メーカーのサクラ解析をするとこうなる。


■同一メーカーの他製品のサクラ度合いチェック

焦点工房って愛知県名古屋市にある普通のメーカーなのに(代表取締役は中国人だけど)、サクラ度90%と99%の製品しかない。

Amazonではサクラレビュー書かせまくってるヤバい会社だった。

ヤラセレビューが常態化していた。

買わなくてよかった。

危なかった。


で、焦点工房はマーケットプレイス商品しかないメーカーで、つまりAmazonのWebサイトだけ利用しているだけであり、Amazonは焦点工房の商品を購入していないので、Amazonがメーカーから購入し、Amazonがそれを販売している別の会社のマウントアダプターを探して、それをサクラチェッカーに掛けた。

そしたらこうなった。


■Amazonが販売しているマウントアダプター

■同一メーカーの他製品をサクラチェック

Amazonに国内正規品メーカーと認められ、Amazonに購入させた製品すらバチもんとか、中国やるじゃん。

マーケットプレイス商品はAmazonがWebサイトだけ貸し出して、訳解んないメーカーが販売してる商品。

Amazonは関与してない。

Webサイトか、または、WebサイトとAmazonの物流倉庫を貸し出してるだけ。

逆に、任天堂やSONYのニンテンドースイッチやプレイステーション5なんかは国内の名の知れた正規品メーカーのため、メーカーから一度Amazonが買い取り、それをAmazonが販売している。

要するにサイトを貸し出すだけでなく、Amazonは小売業も営んでいる。

前者をマーケットプレイス商品、後者をAmazonが販売する商品と呼ぶ。

2つ目のマウントアダプターは後者で、一度Amazonが買い取って、それを販売した物。

なのに中国バチもんとしてサクラがヤバいレビューを書き込んでいるわけで。

中国バチもんメーカーはAmazonすら騙す!


それを知った昨日なのだが、ではどうすればいいのか?

通常、異なるマウントのレンズは装着できない。

それを可能とするマウントアダプターは、メーカー非公式製品が主流であり、中国パチモン企業が市場の製品の主力を担っている。

だからどのメーカーのアダプターを買えば良いのか迷っていたのだが、中野フジヤカメラのおすすめ商品でよくね?

が、個人的な回答である。

東京都中野区にあるフジヤカメラは創業が1946年(昭和21年)8月の老舗中の老舗のカメラ屋さん。

第二次世界大戦の翌年に創業した。

SONYと同じ。1946年。

今年で創業78年目のカメラ屋さん。

行ったことあるけど、店員がプロ中のプロって格好をしていて、カメラとかレンズとか拭き拭きしてた。

そのフジヤカメラWebサイトのマウントアダプタートップページのおすすめ商品一覧がこちら。

創業78年目の会社が推奨する製品一覧。


■マウントアダプター一覧(フジヤカメラWebサイト)

あ、もうおすすめ商品上位全部シグマなので、シグマでいいかな。

が個人的な感想。

フジXマウント用マウントアダプターは出てないので、買えないということが分かった。

シグマはEFマウントレンズたくさん作ってるんだから開発してほしい。

ついでにこのマウントアダプターはレンズメーカーであるシグマ用製品を、他社マウントで動かすための機材なのだが、ついでに他社メーカーのレンズもAFで動かせる代物である。

具体例を挙げると、シグマ用EFマウントレンズをSONYのEマウントに装着しAFを可能とするマウントアダプターの場合、ついでにCANONのEFマウントレンズもSONYのEマウントボディでAFで動作させてしまう。

そういった商品である。

やっぱり日本の純正メーカーでないと駄目なんだな。が、個人的な結論。

ていうか、マウント径が異なるから、基本的に他社製のボディだと装着できない。

ほんと閉鎖的な市場よね。

カメラ業界って。


P.S.(おまけ)

フジの写真の特徴は元々はフイルムカメラメーカーであり、フイルムを作っていた会社であるため、色が非常に良い。

また、コダックのコダクロームフイルムを見た当時の富士フイルムエンジニアが白い円盤をコダックのフイルムで撮影したところ、きちんと白い円盤として撮影できた。

それが富士フイルムのフイルムで同じ円盤を撮影したところ、白いのっぺりとした平面の丸が撮れた。

フジのエンジニアは憤った。

そして憤慨した。

己の技術のなさに。

自分たちのフイルムだと白がタダの白の絵の具になる。

べちょっとした平面体。

2次元の平面体に立体の円盤を描画できないことが彼らのコンプレックスとなった。

なので、カメラメーカーとなった後の、フジの写りには「立体感」が出る。

こんな感じ。


■富士フイルムのミラーレス機で撮った写真

出典:ガンレフ
出典:ガンレフ
出典:ガンレフ
出典:ガンレフ
出典:ガンレフ

特に、硬質な鉄筋や岩などの無機物は立体的に撮れる。

フジは、発色と階調性とダイナミックレンジと立体感に全振りしたメーカー。

色がニュートラル。

ケバくない。

でも、どことなく、コントラストが高くて瑞々しい絵が出る。

美しい色。発色。

すっぴん。

立体感に特徴あるメーカー。

あと、初心者お断りメーカーでもある。


このメーカーのカメラを買うならば、絞りとシャッター速度とISO感度の関係だけは理解しておかないと、操作できない。

モードダイヤルないし。

オートもない。

入門機は知らんが、中級機以降はない。

フジ以外の全メーカーは上位機種ですらフルオート・モードがあるのに。

操作性は一番難しい。

あとレンズが鬼みたいに高い。

人気ありすぎ。


P.S.2

(リンクのおまけ)サクラチェッカーへ行きたければ、こちらからどうぞ。


(おしまい)


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