後書きと補足 ―野球ライセンスとゲームの歴史
お疲れ様でした。
今回、新しい状況証拠を頂けたので、それを交えてわかりにくいところの補足説明をしていきたいと思います。
まず、FIFAのライセンスをスクウェアがサブライセンスするのをなぜ断ったか、なのですが
当時はこんな話があったそうです。
ちょっとわかりづらいんですが、当時EAとスクウェアは提携したとき、日本にはアメリカにEAスクウェア、日本にスクウェアEAという現地法人をそれぞれ作りました。株主はEAスクウェアはEAが7割、スクウェアEAはスクウェアが7割、という具合です。
スクウェア武市社長がコナミ上月社長が語った内容は「向こうのEAスクウェアが権利を持っている」という話だった、というんですが、実態としてはEA本体の許可がないかぎりはサブライセンスが出せない、という状況で、かつEAは日本のプロ野球の実名ライセンスは微塵も欲しくないのでクロスライセンス(お互いの権利を交換すること)の材料にならないし、コナミにFIFAのライセンスを出しちゃったらウイニングイレブンシリーズが北米でえらいことになってまう! 出せるか! という具合ですね。
で、上月社長はこういう状況だ、という風には説明を受けてなかったようなんです。そのため「説明と違っている!」と怒るハメになったわけで。「FIFAのライセンスは貸せません」自体は許容範囲だったのかもしれませんが、交渉打ち切り+説明と違う実態+無許可広告の3コンボがその後続いたから、という感じだったのかなぁと思いました。ちなみに上月社長は公正取引委員会から警告が食らったこともかなり不満だったそうで、自社のニュースリリースで反論していたりもします。それはそれでどうなんだろう。
あと、私はこの頃のコナミ……というか上月社長に対して「ものすごく面子にこだわる人」という印象を持っているんですね。神戸時代、地元メディアに「隠れた地元の優良企業!」という特集でコナミが紹介された後で、「隠れた、とは何事だ! うちは全国区の知名度を持つメーカーだ!」と抗議をいれた伝説があったり、SCEに反発して自社流通始めた際に「うちだけ自社流通を始めるというのも体面が悪い」とばかり、ナムコにもお互いやりましょうよ、と声をかけたりしています(ちなみにナムコからは一緒にやって友達に噂とかされると恥ずかしいしと断られました)。スクウェアは完全に面子を潰しちゃった形になるので、まぁこじれてしまうわなぁ……と思いました。
そして今回も非常に広く反応を頂けました。ありがとうございます。
それでですね、ちょっと皆様お話したいことが一つありまして。皆様は「文章力」を何だと定義しますか? 私は「文章を他人に読んで貰う力」だと考えています。それを鍛えるために頭の中でぐるぐる文章を組み立てて構成をどうしようか思案しっぱなしです。
今回の記事で様々な反応がありました。もちろん中には非な反応もありました。「つまらない」とか「検証が甘い」的な。精進致します。
そんな中で私が一番苦しい反応はなんなのか、というとですね。
すでに記事内に言及しているのにも関わらず「○○のことが書いてない」「××なのは○○だからなんじゃないの?」みたいに書いてあるコメントなんですよね。これが、本っ当に、しんどいんです。
「書いてあるだろ!」的な怒りではないんですよ。その人の頭に文章をいれることが私の文章力ではできなかったんです。しかも「読めなかったことにも気がつけてない」という、本当にもう、書き手失格的以外の表現がないというか。
初心会興亡記あたりもそうだったんですが、「書いていないことを読み取られる」だとか、「すでに書かれているのに書かれてないと指摘される」といった反応があったりすると……ずしんと来ますね。より高みを目指さねばならないと心に改めて誓いました。
それと、先の記事で私は散々好きなことを書いたのですが、それを読んだからって皆がコナミのことを愛さなきゃいけない、なんてこともないと思います。あの記事は可能な限り事実の欠片を拾い集めて構築した記事ではありますが、それを読んだ感想は自由です。「野球機構酷い」だとか「選手会酷い」とか、「それでもやっぱりコナミは許せない」でもいいと思います。それは貴方が抱いた感想ですが、感想は他人からどうこう言われるような性質のものではないでしょう。
こちらの近況ですが、無職生活を相変わらずエンジョイしております。なにかこう、上手くお金をどーんと稼げる案件があったりしたら、喜んで旧初心会巡りをしたりするんですが、そんなお金もないのでこんな記事になりました。
次の記事は多分「メーカーの売上、小売の売上」という題材になると思います。
それではまた、次の記事で。
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