絵本のすすめ
子どもの頃、絵本を読んだ記憶がほとんどない。
そう思っている人でも、忘れているだけで実際には意外と読んでいるものだ。なにかのきっかけで絵本に再会すると、あれも読んでるこれも読んでると記憶が蘇ってくる。
僕は最近、ちょくちょく絵本を読む。大人になって読む絵本はまた味わいが違って面白いのだ。
「あいうえおの き」という絵本がある。
あらすじはこんなかんじ。
あいうえおの きがあった。その木にはたくさんの文字たちが葉っぱから葉っぱにとびうつりながら楽しく暮らしていた。その文字たちが虫と出会い、ばらばらの文字たちが単語をつくることを覚え、やがて文章をつくることを覚える。ラストは大事なことを伝えるために、文字たちはある一つの文章を完成させるのであった。
そんなお話。
この絵本は、僕が子どもの頃によんだ絵本とは毛色が違い気に入っている。まずあらすじを知り、‘ある一つの文章を完成させた’というある文章がなんだか気になり絵本を買ったのだ。ラストはアメリカンな展開がまっており、なんだかステキである。
この絵本に出会ったきっかけはこの展示に行ってきたからだ。
『だれも知らないレオ・レオーニ展』
(レオ・レオーニ展ホームページより)
スイミーやフレデリックなど、この表紙をみて昔読んだことを思い出した方も多いかもしれない。レオ・レオーニは絵本作家で展示では絵本の原画はもちろん、若い頃のグラフィックデザインなど数多くの作品を展示している。
特に原画が引き込まれて先ほどの「あいうえおの き」を含めいくつか絵本を買ってしまった。特に好きなのがこの作品。
「アレクサンダとぜんまいねずみ」
この絵本の絵は切り絵で作られている。この切り絵が絶妙に味わい深くステキなのだ。1ページ1ページが一つの作品となっていて、とても見応えがあり、何度でもみれてしまう。この記事の一番はじめの写真もこの作品のもので、この絵もステキだ。
またレオ・レオーニの作品の日本語訳はほとんどを谷川俊太郎がつとめており、この訳がまたいいのだ。
文章を一つ抜粋しよう。
にわの こいしの こみちの はじの、きいちごの しげみの ちかくに、いきものを ほかの いきものに かえることの できる、 まほうの とかげが すんでるそうだよ。
読んでみるとわかるが、冒頭の文章が韻を踏んでいる。このように韻を踏んたり、リズミカルな部分が多く子どもに絵本の読み聞かせをしても音としても楽しいのだ。
この作品でもわかる通り、絵を楽しめ、文章を楽しめ、さらに音にしても楽しめるという、何度も読めるような工夫があるのが絵本なのだ。
今回は絵本と再会することをオススメしたい。
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