麦とチョコ

私は酒が苦手だ。あの強いアルコール独特の苦みのようなものが全くおいしいと感じない。アルコールの酩酊感の心地よさはわからなくはないが、あの味を我慢してまで感じたいとは思わない。
中でも特にビールが苦手でアルコールの中では一番飲むのがツラい。幼少期に麦茶があまり好きではなかったのだが、大人になってビールを飲んだ時に「あ、麦茶に通じる味だ!」と感じた。同じ麦から作っているのでそう感じても不思議ではないのだが、あまり他人にこの話をしても共感を得られたことはない。皆にとって麦茶とビールは全く別物という事なのだろう。(ちなみになぜか麦飯は普通においしく食べられるから不思議だ。)
そして、これは私の悪癖ではあるのだが居酒屋等へ行った際に見たことがないメニューがあると、「どんな飲み物だろう?気になる!」と、(私にとって)おいしくないと分かっていてもつい注文してしまうのである。
例えば「レッドアイ!ほう!どんな飲み物だろう」と注文し、飲み物が到着してから一緒にいた人に「それビールをトマトジュースで割ったやつですよ。飲めるんですか?」と言われ(マジかよ・・わかってるなら注文する時に教えてくれよ・・)と、思いながら仕方なく飲むという事を繰り返すのである。
岡山に行った際には名産であるジーンズをイメージした青いビールがあり、店員さんに「普通のビールより飲みやすい味ですよ」と勧められ、「青いビール!どんな味か飲みたい!」と注文。連れの「ビールはビールだよ、絶対やめとけ」という意見を無視して一口。「・・不味い・・」。連れの(こいつアホだ・・)という視線を感じながら嫌々飲むというありさまだ。
そんな私はアルコールが苦手な人に多い、いわゆる甘党である。中でもチョコレートが好きでガトーショコラやチョコテリーヌといったものに目がない。そんな私が最近以外なお菓子にハマった。ブランデーケーキである。
私は甘党な癖にビター派という変わった味覚の持ち主なのだがアルコールが強く効いているケーキには、ケーキの甘さとブランデーのアルコールがうまく融和し、結果的に双方の(私にとっての)欠点を消し合い、意外なうまさを引き出してしまった。
このうまさに気づいてから色んな店のブランデーケーキを購入した。結果アルコールが強く効いていて、しっとりどころかぐっしょりぐらいの方が私には合うという事がわかった。アルコールが少し効いているという程度のもにに当たると「もっと酒を効かせろ!」と思うのである。酒嫌いのはずなのにだ。
そこで私はおもいついたのである。私の大好きなチョコテリーヌでもアルコールを使ったものの方がおいしいのではないか?と。
結果はズバリである。そもそもチョコテリーヌを扱っている店は少なく、さらにアルコールを使っている店は本当に少ない。
だが、圧倒的にアルコールを使っているものの方がおいしいのである。
これは新鮮な驚きだった。アルコールを避けてきた私が、お菓子の調味料としてのアルコールに最大限のおいしさを見出してしまったのである。
そんなある日、私は運命の出会いをしてしまった。

チョコレート味のビールである。
買うしかないやろ!


結論。私がビールを買うことは二度と無いであろう。


・・多分

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?