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香炉峰の雪のシーン 〜きっとこんな感じだったでしょう〜
5月も半ばを過ぎ暑くなってきましたが、雪の日の話をしようと思います。
さて、雪の日といっても、千年以上前の話です。
時の皇后さまは、宮中の登華殿という御殿に住んでいました。唐の国の文学にも明るい、賢い皇后さまでした。
その日は、雪が積もるほど降っていて寒かったので、まだ早いうちに雨戸を閉めてしまいました。
胡麻油などに火をともした薄暗いお部屋の一番奥に皇后さまが座り、多くの侍女たちは御前でお話をしたり、火鉢のそばで暖をとっていたりしておりました。
しかし、いくら寒いと言っても雨戸を閉めっぱなしだとどうにも気分が冴えないですし、燈台からの匂いで部屋もじわじわと臭くなってしまいます。かといって、ただ強引に雨戸を開けても、侍女達は寒さで嫌な思いをするでしょう。
そこで皇后さまはひらめきました。
御前に控えていたお気に入りの侍女に問いかけます。
「少納言よ。香炉峰の雪、いかならむ。」
部屋は一瞬静まり返りました。香炉峰…確かそんな漢詩があったわ…えーと…。
ただ少納言一人は、ハッと息をのみ、微笑みます。そして下仕えの女性に雨戸を開けさせると同時に、端近に歩み寄り、御簾に手を掛けました。
その時、まわりの侍女も気づいたのです。
あぁ、これはかの白居易の詩ね!
「遺愛寺の鐘は枕を欹てて聞く
香炉峰の雪は簾を撥げて看る」
さすがだわ、少納言、皇后さまは雪をご覧になりたかったのね!よく気づいたわね!
かくして登華殿は、冷たくも心地いい風が吹き込んでくると同時に、皇后さまの問いの謎が解けた楽しい笑い声で満たされたのでした。
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「光る君へ」の香炉峰の雪のシーンがあまりにあり得ないだろーと思ったので、私なりに当時のシチュエーションを考えて書いてみました。
よりによって皇后さまが帝と親族以外の男性に顔を晒すことなんてあり得ないし(大河では今さらなんですがね)、なぜか御格子(雨戸)の存在無視するし、「どうぞお近くで」って高貴な女性が端近に行っていいわけないだろぉぉ(女三の宮と柏木の密通に繋がるんだぞっ)挙げ句の果てに、に、に、庭に降りて公達と雪遊び…(鼻血プシャー)
ってことで私がどうにかなっちゃいそうでした。
あぁ…あれを完全実写化とか思わないでほしいな…。
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