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#45『”好きかどうか分からない…”SHISHAMO「手のひらの宇宙」を語る』

今回は2016年3月2日にリリースされた3rdアルバムSHISHAMO3の5曲目に収録されている「手のひらの宇宙」について語ります。

この曲はスマートフォンをモチーフにした曲となっています。簡単に説明すると”彼のことを好きなのか好きじゃないのかわからなくなっている女の子の心情”が描かれています。残念ながらMVはありませんが、YouTubeにて音源がありますので載せておきます。

それでは語っていきます。

一番Aメロの歌詞

暗闇で一筋の光
私の手のひらから漏れる光
私が眠くなるまで一緒にいてくれる
そんな優しいフリをして
本当は夜更かしの黒幕

「手のひらの宇宙」作詞:宮崎朝子

主人公は夜中に真っ暗な部屋でスマートフォンを見ていることがわかります。「私が眠くなるまで一緒にいてくれる そんな優しいフリをして 本当は夜更かしの黒幕」とフレーズ。スマートフォンっていつまでも触っていたくなるコンテンツで溢れていますよね。早く寝るつもりだったのに気づいたら結構時間が経ってしまっていたということは誰しもあるのではないでしょうか。

そして、スマートフォンのことを「眠くなるまで一緒にいてくれる」と歌っているのが本当は人肌が恋しいということを比喩的に表現しているような気がします。主人公には好きな人がいるのか、それとも恋人と別れてしまったのかは分かりませんがそういったことを匂わせるような歌詞ですよね。

一番Bメロの歌詞

マナーモードにしているのは 君がしつこいから
アラームをかけないでいるのは 明日が日曜だから

「手のひらの宇宙」作詞:宮崎朝子

「マナーモードにしているのは 君がしつこいから」とここで初めて「君」という言葉が出てきます。主人公には何らかの関係性をもった男の人がいることが読み取れます。また、マナーモードにしてしつこいと歌っていることから彼(君)を避けていることもわかります。

「アラームをかけないでいるのは 明日が日曜だから」というフレーズ。きっとここの歌詞はとにかく明日のことなんか気にせずダラダラと過ごしたいということですよね。

普通日曜日が休みで予定がなく、好きな人がいたら会いたいと思いますよね。そうではなさそうな様子と「君がしつこいから」というフレーズからもしかした彼(君)と喧嘩をしたのかは分かりませんが何か揉め事があったのかも知れませんね。

二番Aメロの歌詞

もはや携帯電話ではない
正直電話なんてほとんどしない
夜中はゲーム 朝までゲーム
それ以外もやっぱりゲーム
レベルばかり上がってく

「手のひらの宇宙」作詞:宮崎朝子

スマートフォンでゲームばかりしてしまう主人公が描かれていますね。「正直電話なんてほとんどしない」というフレーズからはもしかした以前までは彼と電話をしていた時間があったのではないかと思われます。その彼との電話をする時間がなくなり、その時間を埋めるようにスマートフォンでゲームばかりしてしまっているのではないでしょうか。

二番Bメロの歌詞

既読つけないでいるのは もう君を好きじゃないから
充電が早くなくなるのは この部屋が圏外だから

「手のひらの宇宙」作詞:宮崎朝子

「既読つけないでいるのは もう君を好きじゃないから」はなんだか本心とは逆のことを言っているような感じがします。

「充電が早くなくなるのは この部屋が圏外だから」というフレーズ。調べたところ、圏外になると電波を探そうという動作を繰り返すため、より多くのバッテリーを消耗してしまうそうです。そんなことはさておき、このフレーズも本心とは逆のことを言っているように思えませんか。きっと充電がなくなるくらいずっとスマートフォンを触っているのには理由があって、この主人公は彼から電話がかかってくることを待っているからではないでしょうか。既読をつけないでいるのもラインでのやりとりではなくて、電話をすることにこだわりがあってそれはきっと彼と電話をしている時間が楽しかったことに気づいたからなのではないかと思われます。

Cメロの歌詞

番号を消せないでいるのは
履歴を消せないでいるのは
まだ君に言えてないことが あるからなのかわからないけど
本当に私はバカだ…

「手のひらの宇宙」作詞:宮崎朝子

一番のBメロでは彼(君)のことをしつこいとマナーモードにしていたと思います。本当にその時は彼(君)と何かがあってそうしたのかも知れません。

でも、ここのCメロの歌詞を見ていると「番号を消せないでいるのは 履歴を消せないでいるのは」というフレーズが物語っているように、どこかで彼(君)という存在をきっぱりと切り離せないでいる自分(主人公)がいることがわかりますよね。

そして「まだ君に言えてないことが あるからなのかわからないけど 本当に私は馬鹿だ」というフレーズもまたなんて自分はハッキリしない女なんだとモヤモヤしている様子が伝わってきますよね。電話したいなら素直に彼に電話したらいいとは思うんですけど、一度マナーモードにして彼を避けてしまった過程を考えるとそれができないのもなんだかわかるような気がします…。

Dメロの歌詞

この電話がなる頃には
もう君を好きじゃないよって
一週間前言ったでしょう
連絡はもうきっと返せないよ
この電話がなる頃には
あの指輪はゴミ箱の中で泣いてるよって言ったけど
それはまだここにあるのよ

君を好きでもないのに

「手のひらの宇宙」作詞:宮崎朝子

一週間前に彼に好きじゃないと言ったことと彼からもらったであろう指輪も捨てたということが描かれていることからこの二人は付き合っていたということが読み取れます。

「この電話がなる頃には」というのはそのうちまた彼から電話がかかってくるだろうという予測しているようなフレーズですが、本心では電話がかかってきてほしいと願っているフレーズなのではないか思われます。

好きじゃないと言ってから一週間経っているのにゴミ箱に入れたはずの指輪が「まだここにある」と描かれていることから、時間が経って彼という存在が大事だったことに主人公は気付いたのではないかと思われます。

最後の「君を好きでもないのに」というフレーズ。好きな気持ちがあるのにもう好きじゃないというのは彼を振ってしまったことの後悔からくる強がりなのかも知れませんね。

まとめ

この曲のように、付き合っていた二人が何らかの形で揉め事があって突発的に別れてしまい、時間が経って冷静になった時にやっぱり大事な存在だったと気付くというのはよくありそうな話ですよね。主人公が彼のことを好きなのか好きじゃないのかわからなくなってしまうという感情はなんだか共感を呼びそうな曲だなと思います。

またスマートフォンをモチーフにしたというのもこの曲の特徴的なところで、携帯なのにゲームばかりしてしまうというフレーズや、ラインに気づいているのに既読をつけないというフレーズが出てくると思います。スマートフォンが普及してなかった時代のことを考えるとその辺りが現代を象徴をするかような歌詞で面白いなと思いました。

サウンド面についてはちょっと変わった編成になっている曲でサビがない一曲なんですよね。普通”Aメロ→Bメロ→サビ”という流れがよくある日本の楽曲の特徴だと思います。この曲は一番の”Aメロ→Bメロ”が終わったら、二番の”Aメロ→Bメロ”っていう曲展開なんですよね。曲の中で盛り上がれるポイントを入れないで曲が進んでいくのというのが珍しい一曲だなと個人的に思いました。

この曲の主人公のように突発的に付き合っていた相手と別れてしまい、時間が経った時にその相手の存在の大事さに気付き、もしその関係を取り戻せるようなら修復して後悔のないようにして欲しいななんて思います。

皆さんも是非聴いて見て下さい。

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