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人生初の映画撮影

ジリジリと暑さが身体にくる京都の夏。縁あって、私は人生で初めて、映画のエキストラに参加した。今回は私自身の目で見た、映画撮影について記録したい。

エキストラ1回目

8月下旬。人生初のエキストラの日。偶然にもまつ毛パーマの日と被り、エキストラのためにガチガチにキメてきた奴みたいになったそんな日に、私の人生初の映画撮影が始まった。ネタバレになるため詳しくは言えないが、鴨川で路上ライブをするバンドのファン役である。SOMENというバンドの古参ファンとして一人ノリノリで音楽に身を委ねているシーンを後で見ると思うと恐ろしいが、自然と撮影を楽しんでいる自分がいた。

が、しかし、日没による光の問題で、記念すべき1回目のエキストラ出演は残念ながらお蔵入りとなってしまった。

エキストラ2回目

人生2回目のエキストラはまさかのオール撮影。22時過ぎに集合し、翌朝8時までぶっ通しで行われる体力勝負の撮影であった。主な役柄としては通行人。一緒に参加した友人と話しながら抜けて行く役だが、セリフもないエキストラなのに、自分の動きが不自然でNGになったらと思うと更に緊張が止まらなかった。しかし、ただのエキストラだからといって侮っては行けない。音声撮りの際、いきなりアドリブで30秒会話してくださいと言われた時は焦った。卒論の話と音楽の話でどうにか間を繋いだが、急な話で今となっては何を話したか覚えていない。1エキストラではあったが、非常に有意義な経験であった。夜が深け、だんだんと空が明るくなってきた時に、映画のラストシーンを撮影するために京都市役所前の交差点に移動した。たった一つのシーンでも、近いところから、遠いところから、右から、左から、と、様々な角度からカメラをまわした。カットは違えど全て同じシーン。何回往復したかは定かではないが、30往復以上、時には信号や一般車両にも気をつけながら、京都市役所前の交差点を歩いた。しばらくは、あの交差点を歩きたくはないし、見たくもない。しかし、ラストワンシーンを撮り終え、「カット、OKです!」の言葉を聞いた時、監督は涙を流し、1エキストラである私ですら感動を覚えるほどであった。21歳の身体でオール撮影(しかも立ちっぱなし)はしんどいものもあったが、自身の経験として、参加してよかったと心の底から思える体験であった。

映画作りの難しさ

この日私が感じたのは、映画作りの難しさである。私のイメージでは、カメラである程度のシーンまでノーカットで撮りきる方法で撮るのだと思っていた。しかし、同じシーンでも様々な視点(例えば、周りから俯瞰して撮る、主人公目線で撮るなど)から撮影し、後から編集する。また、音も後から別撮りする場合もある。それ以外にも、公共の場を使う場合、一般の人の通行を気にすることや天候の問題、撮影を進める中での変更点など、様々な問題が発生する。今回参加した何コマかのシーンはそれぞれたった1分そこらのシーンであったが、撮影完了までに多くの時間を要した。世の中にあるたくさんの映像メディア作品を作る過程の大変さを身に染みて実感することができた。

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