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駄文歴半世紀

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「モノ書くコドモ」から「モノ書くおばちゃん」に至るまでに否応なしに書いたボーダイな駄文を、モノ書くばーちゃんが読みやすいプラットフォームに整えて蔵出しし、みなさまからおひねりがい…
しばらくの間、ほとんどの記事を無料公開(投げ銭制?)にいたします。ある日突然有料に戻る可能性がござ…
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友達は心地よいとは限らない(容姿コンプレックスorigin33)

友達選ぶ権利ってあるようなないような『親友はモテすぎる女』の続きです。リンク→ 前編、後編  その奥さんはあたしにとって数々印象的な言動を残した、つまりかなり魅力のある人でしたが、なんでそのようにつらい思いをしながらその”ミセス親友”と長いこと一緒にいなきゃいけなかったかについては語ってはくれませんでした。  なんでなんだろう?そのミセス親友の少女時代の、どこが好きだったんだろう?  中学、高校、大学、って時代の話でしたから、いわば友人を親友を「得る」時期です。いっぱい勘

親友はモテすぎる女/後編(容姿コンプレックスorigin32)

彼女の開放 親友が超ド級にモテる女であったがために青春が傷だらけであった奥さんの話のつづき。    彼女がその傷を口に出して人に言えるようになったきっかけは何なのか?その傷はどうやってふさがったのか?  その質問に彼女はあっさり答えました。 「オバサンになったからよ。最近よ。すごく楽になった」 「は?」  その頃あたしはまだそういう感覚がよくわからなかったので、息がとまってしまいました。  ”オバサン化”というのは、女性がもっとも避けるコースなのでは?それでいいの?  だ

親友はモテすぎる女/前編(容姿コンプレックスOrigin31)

繰り返し傷ついた思春期 番茶も出花な季節にせよ、どんぐりな(つまりいくならんでもそんな飛びぬけていない)美を誇るあまり、SYNDIに「優越感を感じる」と言ってしまえたあの子のことは、もう忘れよう。  今更な話だし、こんなところで「もう時効よね」とばかりに勝手なこと書いてるけど、世の中狭いから、”生存者一同”の中に”その子”が誰だか(っていうか、誰だったか)わかっちゃう人もいるかも知れないことを、心配するのももうやめよう。(実は心配なんかしていないけど)  あたしが書きたか

優越感の品質/後編(容姿コンプレックスOrigin30)

彼女は非常に幸福そうに笑っていた その子とあたしは特に親しいわけではなかったのです。  その頃あたしは画学生で、絵ばかりかいていて、絵の具で汚れた服で”番茶も出花”の肉体を包み、心は自意識でぴりぴりととがっていました。  その子も絵を描き、同じようなコースを辿っていましたが、どこかのほほんとして見えました。受験をくぐった後、気が抜けてしまったのか、絵もなんだか気が抜けていました。  その人の絵から気が抜けるのと正比例して、あたしはその子に話しかけなくなっていました。  も

優越感の品質(容姿コンプレックスOrigin29)

実際に目撃して思ったこと  前回「すごいブスの謎・後編」の続きです。  父のお友達の奥さんに、色々と謎があろうとなかろうと、その人に対して、あたしはまたもとの無関心に戻りました。  父が面白がっていることは、そのときのあたしにはあんまり面白くなかったということでしょう。  だけど前より少しだけその人を丁寧に見るようになりました。  一度だけ、その奥さんのお友達という人が一緒に家に来ているのを見た気がします。ちらっとだけでしたが。  太ってめがねをかけて、全く化粧をしていな

すごいブスの謎/後編(容姿コンプレックスOrigin28)

あれは引き立て役なのか 容貌に恵まれないひとばかりを、お友達に選ぶに奥さまに関して、あたしの父が「なぜ?」という疑問を持ったという話のつづき。  その父のお友達の奥さんは、あたしとは気が合うところがありませんで、したがってそれまであたしは特に彼女を注目はしておりませんでした。  といったって、あっちにしてみればあたしなんか若過ぎのしょんべんくさい小娘でしょうし(まだ成人になるかならないかぐらい)、気が合う方が不思議かもしれません。  彼女は声が大きくて、体も大きく、思った

コンプレックスが好みを形成する(容姿コンプレックスOrigin18)

コンプレックスが好みを形成する それぞれの美が報われているどんぐり達が、それでも複雑な三すくみのように絡み合ってお互い嫉妬しあっているという話の続き。  コンプレックスが絡むと人間は極端なものの見方をしたりします。  例えば一重まぶたを気に病んでいる人は、パッチリしたアーモンド型の目をした人を、必要以上に美しいと感じ、そうした人を見ると、打ちひしがれます。他のところが全部その人より勝っていても、そのことだけを気に病むのです。  その人は、二重まぶたが”大好き”でかつ”

人の容姿に嫉妬する(容姿コンプレックスOrigin17)

どんぐりの嫉妬問題 姿形に天才がある”奇形”か、もしくは人前に美をさらすプロでもない限り、フツーの人の美醜はしょせん「どんぐりの背比べ」なんだと悟ってから、あたしのコンプレックスはすこーし楽にはなりました。  しかしながらすこーしだけであり、それ以降余計に「好み」であるとか、ディテールに対する「こだわり」に”遠慮なく”重きを置くようになっていったのです。  「北斎やミケランジェロのことを考えたら、その辺の野郎に嫉妬なんかしていられねーよ」と言っているような正しい美術愛

母親は娘の性を封印する(容姿コンプレックスOrigin15)

性を封印する存在 友達の話です。  彼女は小さいとき、色んな人に「かわいいお嬢さんですね」と言ってもらえたのだけれど、彼女のママはそのたびに、判で押したように同じことを繰り返したそうです。 「こんな、チビでやせっぽっちな子はどうしようもありませんよ」  繰り返し繰り返しよその人の前で「チビでやせっぽっち」と言われ続けて、彼女はすっかり自信をなくしたのだそうです。こういうとき、小さい子ってのは「失礼しちゃう」などとは思いません。まっすぐ、傷つきます。  褒めてくれる人

「面白い」駄文を試みる:8

●エレメンツ オブ「楽しいこと」 ほぼ同年代の従姉妹がふたり、展覧会に来てくれたって話のつづき。  3人で話をするなんて、ずいぶんひさしぶりのことだったけれども、それはなかなか楽しいことであるのがわかりました。  なんで楽しいのかな?と考えてみました。 あたしが親戚内はみ出し変人の役割を素直に引き受けているってことが一つ。だから気楽に笑いの種になっていられます。  もうひとつ、彼女たちは一見して身ぎれい、つまり女性として魅力があるってことも重要かも、と思い至りました

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「面白い」駄文を試みる:7

●『女子的意地悪』のたたずまい  父に痴話喧嘩の報告をする電話をかけてきた伯父のガールフレンド(ややこしいですな)のことと、善良で静かでおくゆかしいシズカばあちゃんのことを書きましたら、ちょっと例外的なエピソードを思い出しました。  あたしがもうだいぶ大人になってからのことです。伯父にガールフレンドがいることに対して、もう周囲もまあ「あんたも知ってるわよね」的な態度でOK、ってぐらいの大人ですわ。とにかく、「こどもにはあんまりこういうことはおおっぴらに言わないものよね」と

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「面白い」駄文を試みる:6

●変わってないひとなんていない 展覧会に来てくれた同世代の従姉妹たちは二人ともとってもまともで、気持ちのいい人たちです。あたしみたいに就職しないでイラストやら雑文やらかいて暮らすだなんて、はみ出たことはしてきていません。大変安定感があります。  たぶんこういう組み合わせの場合、たとえば親戚の中に、あたしみたいなのがたまにはいて(あんまりたくさんいるのは困るけど)、そのたまにいる奴に関しては、はみ出ればはみ出るほど、彼女たちには面白いのかもしれません。そのはずです。ちょっと

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「面白い」駄文を試みる:5

●話題の安楽死(あるいはイトコ会議) 2011年10月に展示させていただいた絵には、赤ずきんをかぶったおばあさんが100人詰め込まれていました。  あれを描いている時、気になる人とかいつも頭にいる人達が、なんとなくおばあさんたちの顔の中に滲み出してくる、ということがありました。若い人でも、おばあさんの姿になって、そこに出てくるのです。  母も出てきました(逆に若干若い姿で)。  自分自身も、何人も違ったおばあさんになって出てきました。  気にしているはずなのに、出

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「面白い」駄文を試みる:4

●書かれる立場 書き手や読む人が面白いと思うことでも、書かれた方はたまったもんじゃない、ってことは、いくらでもあります。いやむしろ、書いている本人も、いつだって「たまったもんじゃない」、という感覚をどこかに持っているんじゃないでしょうか。それでも書くしかないってところが、物書きにはあります。全く因果なものです。  小説家の家族が、「アイツの作品の中に自分や知った人に似た人間がうろうろするのがたまらなく嫌」と言ってたり(だったら読まなきゃいいのに)、エッセイストの親戚が「あ

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