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そして、道は続く

見えないものを見たいと思う、少なくともいつも探していたいと思う。それを言葉にして書き留めておきたいと思う。そんなことを続けていると心の中の深いところにずんずん下りて行ってしまって簡単に戻ってこれなくなることがある。ほとんど光のない無音の時間。ついに酸素が足りなくなって現実世界に滑り出てきたとき、たった今深く重たい水の底で見てきたことを書き留めるだけではなく口に出して話したい、とも思う。けれど今の私にはそれをできるだけの語学力がない。日本語が豊かであればあるほどその豊かさが邪魔をして、二つの言語の間の溝ばかりが大きくなって、今度はそこにはまり込んで行ってしまう。もどかしさだけを抱きかかえて、だから毎日一ミリでもいい、前進を目指すのだけれど、いっかな埋まらない溝の前に後ずさりしてしまう。シジフォスのようにむなしく同じことを繰り返すばかりで、いやもっと悪い。情けないかな前進どころか後退して行くようだ。やめたい、とも思うけれど、やめることを許さない自分がいる。

果たしていつの日か重たい岩を山頂に押し上げて二度と落ちてこないようにできるだろうか。


5年前に書いたもの。わかったのは、終わりはない、と言うこと。ただただ進んでいくしかないのだ、と言うこと。

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