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法人税の優遇税制の延長と2024年以降の税制改正による主な影響について

はじめに

 こんにちは。SYNCA合同会計事務所 税理士の細見です。
 本記事では、中小企業者向けの法人税優遇税制と、2024年以降の税制改正による主な影響について解説いたします。
 特に設備投資を行っている中小企業者(主に資本金1億円以下の法人)、贈与・相続を検討されている方必見です!
 税制に詳しくなくても、この記事を読むことで設備投資による優遇税制の知識や税制改正の一部が理解できるので、是非ご一読ください!



◆この記事を読んでほしい人

・設備投資を実施または検討している会社
・経営者、経理担当者の方
・生前贈与を検討されている方

◆この記事を読んでわかること

・設備投資による法人税の優遇税制の概要
・2024年以降の税制改正による主な影響(法人税、贈与税及び相続税)

設備投資による法人税の優遇税制の適用期限が2年延長されました(中小企業者向け)

中小企業投資促進税制とは

知っておきたいポイント

  • 機械装置等の対象設備を取得・製作した場合に法人税の控除が受けられる可能性あり

  • 取得期間は平成10年6月1日から令和7年3月31日まで

  • 対象者は青色申告書を提出する中小企業者等

制度の概要
本制度は、機械装置等の対象設備を取得や製作等をした場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(※税額控除は、個人事業主、資本金3,000万円以下法人が対象)が選択適用できるものです。

出典 中小企業庁:https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/tyuusyoukigyoutousisokusinzeisei.html

中小企業経営強化税制とは

知っておきたいポイント

  • 新品の特定経営力向上設備等を取得または製作もしくは建設して、国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合に法人税の控除が受けられる可能性あり

  • 取得期間は平成29年4月1日から令和7年3月31日まで

  • 対象者は青色申告書を提出する中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた一定の中小企業者等

制度の概要
中小企業経営強化税制は、中小企業者等が、認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得し、指定事業の用に供した場合、即時償却または法人税(所得税)の取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用することができます。

出典 中小企業庁:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/

2024年4月1日以降の交際費の判定基準が変更になりました(接待交際費に係る損金算入の特例)

知っておきたいポイント

  • 交際費に係る飲食費(社内飲食費を除く)の1人当たりの金額が5,000円以下である場合、交際費等の範囲から除外されていた。

  • 2024年度税制改正において、会議費の実態を考慮し、この金額基準を1人当たり1万円以下に引き上げる提案が行われた。

  • この改正は2024年4月1日以降に支出される交際費(飲食費)に適用される。

2024年1月1日以降の贈与から贈与税・相続税の計算方法が変更されました

「相続時精算課税制度」とは
贈与を促進し、早期にまとまった資金を必要とする子や孫に対して利用される制度です。この制度では、受贈者(子や孫)が2,500万円まで贈与を受ける際に贈与税を支払う必要がありません。そして、贈与者が亡くなった際には、贈与時の贈与財産の価額と相続時の相続財産の価額を合算し、その金額から相続税を計算して一括して納税する仕組みです。この制度を利用することで、贈与を受けた人が贈与税を支払うことなく資産を受け取れるため、生前に資産を渡したい人や、受け取りたい人にとって魅力的な制度となっています。

知っておきたいポイント

  • 2024年1月から相続時精算課税制度に基づき、贈与税に年間110万円の基礎控除が適用される。

  • 基礎控除は特別控除(2,500万円)の対象外であるため、相続が発生しても相続財産に加算されない。

  • 相続時に贈与を受けた人が相続税を支払う場合、贈与された財産の価額から年間110万円の基礎控除を差し引いた金額が、贈与者の相続財産に加算される(これにより、贈与者が相続時に課税される財産の額が増加する)。

「暦年課税」とは
贈与した額に対する課税方法のことを指し、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額に応じて課税される方式です。 ただし、1人当たり年間110万円の基礎控除額があるため、贈与を受けた金額が110万円以下なら贈与税の申告が不要です。

知っておきたいポイント

  • 贈与税の算出は、1年間に贈与で取得した財産の価額の合計から基礎控除額110万円を差し引いた金額に、一般税率または特例税率の累進税率を適用して行われる。

  • 相続や遺贈により財産を受け取る人が、その前7年以内に贈与により財産を受け取っていた場合、その贈与時の価額を相続財産に加算する。

  • ただし、延長された4年間に贈与により取得した財産の価額については、総額100万円まで相続財産に加算されない。

出典 国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/tebiki2023/pdf/030.pdf

終わりに

設備投資を行っている会社様は、法人税の税額控除が適用できる可能性があります。また、交際費の判定や贈与税、相続税の計算方法も税制改正で大きく変わりました。弊社では、税務に関する幅広いサポートを提供しておりますので、お気軽にお問い合わせください。