情報発信が止まらない組織へ。エンジニアリングマネージャー・佐藤巧実の考える、これからのSynamon
2021年7月、13年もの間様々な技術領域を渡り歩き、最前線でプレイヤーとして活躍し続けた佐藤 巧実(さとう たくみ)さんがSynamonにジョインしました。役割は「エンジニアリングマネージャー」。XRの可能性を開拓しつづける組織体制の整備に向き合う佐藤さんに、これまでと現在、そしてこれからを聞いていきます。
佐藤巧実(さとう たくみ)(@unsoluble_sugar)
2008年よりSIerにてシステムエンジニアとしてキャリアをスタート。拡大期のベンチャーを中心にゲームアプリやWebサービス、ハードウェアと多岐にわたる領域でエンジニア及びPMとして活動し、2021年7月にSynamonにジョイン。個人としても技術発信やコミュニティ活動を行っている。ツイ廃。
「組織の拡大」に触れる10年を経て、自ら「組織づくり」へ
━━それでは、まず佐藤さんの経歴からお伺いしてきたいと思います。
2008年からエンジニアのキャリアをスタートして、もう10年以上になります。最初の5年はSIerでSEをやり、その後はスタートアップでゲームアプリ開発、HR TechベンチャーでWebサービス、クラウドベンチャーでアプリ開発とPM、ロボティクスベンチャーでPM、並行して個人事業でアプリ開発やブログ運営……そして、現在はSynamonというXRスタートアップでエンジニアリングマネージャーをやっています。
━━すごく多岐に渡ってきたキャリアですね……アプリにWebにハードウェアに。
領域にとらわれず、IT業界でキャリアを積んできました。
━━10年以上、PMやエンジニアとして「製品開発」に向きあってきたわけじゃないですか。現在の「エンジニアリングマネージャー」という役割は、どちらかというと「組織」に向き合う方向に変わっていますよね。
そうですね。もちろん技術者としていつでも動けるようキャッチアップは続けていますが、今は組織づくりに割く時間が圧倒的に多いです。
━━これだけ幅広く「プレイヤー」をやってきた上での「エンジニアリングマネージャー」は、キャリアの方向性をシフトしたとも言えますよね。
実はそんなこともなくて、ほぼ地続きの選択です。これまでのキャリアは「事業検証を終えて、これから成長フェーズにはいる」というタイミングのベンチャー企業がほとんどでした。事業を成長させていくために、仲間を増やしてチームをつくる。そんなフェーズの組織に長くいると「組織づくり」をちゃんとやることの重要性が自身に叩き込まれていくんです。
なので、今、Synamonでエンジニアリングマネージャーとして組織に向き合うのは、大きく舵を切った感じもなく、自然な選択でした。
━━組織づくりの重要性を感じることが多かったからこそ、自然に「自ら組織づくりに取り組む」という選択肢を取ったんですね。
ビジネスXRという、新たな市場の可能性を拓く
━━ところで、成長フェーズのスタートアップなんて今は山ほどあって、選択肢はたくさんありましたよね。その中でSynamonを選んだのはなぜですか?
まず「組織づくりに向き合うフェーズにある」という点でマッチしたこと。ここは求めるものと、貢献したいことの一致ですね。もうひとつは、やっぱり自分自身がVRに興味があったのが理由です。
━━何がきっかけでVRに興味を持たれたんですか?
個人のブログでガジェットレビューをしており、いちガジェットとしてVRを試したのが最初のきっかけでした。
そこから、ゆるやかにVRとは関係値を持っていて、VR系のコミュニティの勉強会にも何度か参加していく中で、どんどん興味が湧いてきました。
━━なるほど。でも、VRに携われる会社は他にもありますよね?
そうですね。最近はVRヘッドセットが一般消費者でも手に入るようになっていて、特にtoC市場は少しずつ広がっています。主にエンタメやゲームですね。
一方で、SynamonはtoB向け、ビジネスとしてのXRを展開していこうとしています。toBでXRに取り組む企業はまだほとんどありません。そんな黎明期の市場にもかかわらず、Synamonのビジョンを聞いた時、「ビジネスXR」は単に便利な仕組みづくりを超えた、新たな産業の創出でもあるのだと思えました。その未来に貢献したいという思いが、入社の意思決定につながりました。
専門性の壁を越えて情報が飛び交い、可能性を語れる組織へ
━━エンジニアリングマネージャーとして、どんなふうに組織づくりに関わっているんですか?
直近は組織体制の再整備を行っています。
今までもプロジェクトごとにBizDev、デザイナー、エンジニアがアサインされてチームを編成していましたが、これからは組織としてBizDev、デザイナー、エンジニアが混在するチームを複数つくっていく予定です。
━━なぜ組織体制の整備を行っているのでしょう?
プロジェクトによらず、常に同じチームにエンジニアもデザイナーもBizDevもいる、という状態をつくることで、それぞれの視点からの意見が交わり合うことを期待しています。例えばBizDev目線でプロダクト開発に意見を出したり、開発現場の知見をBizDevに共有したり、といった情報共有が進めば、お客さまへの提案の幅が広がり、質の高い議論に繋がります
もちろん、チームを超えた全社としての横のつながりも大切ですので、社内勉強会や共有会も続けていきます。
━━それぞれの知見が混ざり合う組織を目指しているんですね。
はい。個人的に情報発信を長く続けてきて「発信する人には情報が入ってくるという循環がある」ということを身を持って実感しています。だからこそSynamonの組織全体も、「情報の循環」が起こる場にしたい。今つくろうとしているのは、そんな情報発信が止まらない組織です。
━━なぜ、情報発信にこだわるのでしょう?
近年では毎年のごとく「VR元年」と言われているほどに、ハードもソフトも切磋琢磨し可能性が広がり続けています。「ビジネスXR」という新しい産業を開拓するSynamonだからこそ、メンバーが情報感度を高く持ち、プロフェッショナルとしてお客さまにいいサービスと知見を提供し続けていたいんです。
「リアルの代替」にとどまらない、XRの未来に挑戦する
━━ちなみに、佐藤さん自身はXR業界に入って、どのような点に注目していますか?
XR業界、特にVRは消費者向けのエンタメのイメージがまだまだ強いと感じています。ですが「ビジネスXR」を扱うようになった今、これらの技術はもっと日常的に活躍できる可能性があると確信を持っています。
━━例えばどのようなケースでしょう?
2つの視点があり、ひとつはリモートコミュニケーション体験を高めることです。たとえば何か研修をするときに現地に行けなくても、VRを使えば場所の制約を越えて1つのことを多くの人たちと共有できたりします。ただの情報共有はZoomやSlackでも可能ですが、VRでは「体験」を共有できる。オフラインのコミュニケーションの代替が少しずつ可能になってきています。
もうひとつは「現実に再現できない状況の体験」です。たとえば災害や事故のシミュレーション。実物を用意するのはコストも時間もかかりますし、特定の場所に人を集める必要があります。VRであれば状況の再現はコンピューター上で完結しますし、人数の制約に対しても融通が効きやすいです。現実では順番待ちが起こることも、VRならヘッドセットを被ればすぐ体験できるんです。
━━ただ「再現する」だけでなく、「スケールの余地がある」のはソフトウェアならではですよね。
はい、非常に可能性を秘めています。この先、ビジネスでのユースケースが社会に溢れると、ますます普及は加速するでしょう。「ビジネスXR」の浸透の先に、Synamonのミッションである「XRが当たり前の世界をつくる」は達成されていくと考えています。ソフトだけでなくハードも進化しているので、XRが日常に溶け込んだ……例えば『ソードアート・オンライン』や『電脳コイル』のような世界も夢じゃないと考えています。
━━そんな可能性に溢れたXRの市場にSynamonはどのように加わっていくのでしょうか。
Varjo(ヴァルヨ)社の「XR-3」という、国内で正式なサポートを受けられるデバイスでは最高峰と言えるXRヘッドセットがあります。現在は、これを使ってXRの事業を展開しようとしています。
━━最高峰のデバイス!
Varjoはフィンランド産XRヘッドセットのブランドで、開発者は谷崎潤一郎の『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』を読み、美的感覚の示唆を得て開発されたといいます。Varjoはフィンランド語で「影」と言う意味。Varjoの製品開発は同作品に描かれる「日本的美意識」をキーワードに掲げており、人間の目と同じくらい解像度が高く、現実の世界とほぼ同じような映像を見ることができます。(参考:JOI Ventures公開資料)
━━おお……
Synamonのプロダクト「NEUTRANS(ニュートランス)」は、現在はビジネスシーンに普及させやすいデバイスであるOculusシリーズに合わせて開発していますが、XR-3のようなハイエンドなXRヘッドセットが普及した将来を見据えた技術探求も行っています。
━━今できることだけでなく、未来への技術投資にも積極的なんですね
はい。もちろん、技術だけでなくビジネスの可能性も広げていく必要があり、ここに組織体制の整備が効いてくるでしょう。世の中のビジネス事例もまだまだ少ないので、Synamonが率先して可能性を拓き、業界の発展とお客さまの事業の進化に貢献していきたいと考えています。今、本当に一番おもしろいフェーズですよ!
今のSynamonの強さと、これから必要な力
━━組織づくりにおいて、環境をつくったり、人を集めたりすることは重要だと思います。これからどんなエンジニアがSynamonには必要だと考えていますか?
「いい環境をつくる」ということを「自らやる」という姿勢の人は、今のSynamonに必要で、その人にとってもフィットすると思います。実行力と推進力ですね。
エンジニアはプロダクト開発が主な業務であることはもちろんで、技術力を高め続けることも大事です。合わせて、いいプロダクトをつくるには優秀なチームが必要で、技術力を高めるには成長環境に身をおくことが必要になってきます。つまりいい仲間がいることが、いい環境をつくることなんです。
それを理解した上で、共に仲間づくりに興味を持って動いてくれる人に出会いたいと思っています。優秀な人に声をかけたり、情報発信を通して人を育てたりすることに興味があるといいですね。
━━そんな人に興味を持ってもらう時、Synamonの強みやXR業界に飛び込む意味を伝える必要も出てくるかと思います。佐藤さんの感じるSynamonの強みはなんでしょうか?
チーム力と、体験への細やかなこだわりだと思います。
組織再編をしていますが、あくまでそれはブーストをかけるためであって、そもそもチームとしての力は強いんです。代表含め、生粋のVR業界人だった人は実はほとんどいません。それでも、VRを含めたXRの未来に好奇心を持って、可能性を拓き続けようとしているという共通項があり、同じビジョンを見ている視座の高い精鋭チームだと感じています。
2つめの方は印象的な体験がありまして……。私がはじめてVRに触れたころって、とにかく「VR酔い」が酷くて。でも、「NEUTRANS」を体験したときは酔わなかったんです。後から開発チームにその話をすると「うちは代表も開発責任者もVR酔いする人だから、自分たちが酔わないようにつくっている」とのことでした。三半規管の弱いチーム(笑)
━━なるほど(笑)
もちろん、VR酔いしやすい人たちが集まってるからいいプロダクトがつくれると言うわけではありませんが(笑)何かしらVRでネガティブな体験をしたことがあると「いいソリューションでも体験が悪いと使ってもらえない」という”大前提”がぶれにくいんです。お客さまの初めての「ビジネスXR」が最高のものになるように、ソリューションだけではなく体験にもこだわっているのは、技術者としての尊敬がありますし、こんな人々が開発するプロダクトが市場を切り拓いていくのだと思っています。
自分自身も「ボトム」の一員として、発信し続ける
━━これからSynamonと出会うエンジニアに伝えたいことはありますか?
Synamonは発信力があるエンジニアを応援したいんです。情報を発信していると、発信している内容に関する情報が入って来やすくなります。それは個人の成長にもつながりますし、企業としても大きなメリットがあります。私が長いことエンジニアをやってこれて、今こうしてSynamonでいいメンバーたちと働けているのも、発信し続けていたことがあってこそだなと感じています。
まだ「Synamonといえば、○○さん」「○○さんがいるSynamonさん」というようなスタープレイヤーもいないので、ぜひそのポジションを埋めて欲しいですね。
━━同じようにエンジニアが成長することを通じて、いいチームをつくっていくんですね。
はい、そのためにも、私自信が理想のエンジニアリングマネージャーを体現していくことが大切だと思っています。「ボトムアップせよ」という前に、私自身もボトムの一員として行動し、先導者となることを目指す。一緒についてきてくれる仲間を心待ちにしています。全員でSynamonを大きくしていきましょう!
━━佐藤さん、ありがとうございました!
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Synamonは、Unity / C#エンジニア、テックリードを中心に新しい仲間を募集中です。「XRが当たり前の世界をつくる」というミッションに共感したメンバーが、切磋琢磨しながら日々挑戦しています!カジュアル面談も実施中なので、ご興味ある方、お気軽にご連絡ください。
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編集協力:TELLIER