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睡眠リテラシーが絶望的に低い日本人がこれだけは読んでおくべき一冊

毎日人生の1/3の時間を投資している「睡眠」

こんなに多くの時間を「投資」しているのに、その投資対象の「睡眠」に対して、あまりに無関心だと気づいた。

新型コロナウィルスはもちろん、様々な身体・精神における現代病への本質的な対策として「運動」はもちろん、「休息」が大切ですよね。

そしてわたしたちは人生の、毎日の約1/4〜1/3を「睡眠」に「投資」しているわけですから、そんな睡眠の「質」を上げる努力や、「睡眠」対する正しい知識、最新のエビデンス、つまり「睡眠リテラシー」を上げない理由はない。

こんなに人生において大切なのに、多くの時間を割いているのに、学校では教えてくれないのが「睡眠」。

睡眠の大前提として次のようなマインドセットや知識は、今までの人生で学校の先生も、数ある上司たちも、誰も教えてくれませんでした。

"睡眠は単なる「休息」の手段ではない"

"睡眠は「不足」するのではなく「負債」になる"

"睡眠の質は「最初の90分」で決まる"

「いくつになっても学習し続けること。」

知識がない、リテラシーが低いのであれば、自ら学習するしかありません。

ふと手に取ったこちらの本が、そんな私の「睡眠リテラシー」を必要十分なレベルまで底上げしてくれたので、ざっとご紹介したいと思います。

タイトルにもありますが睡眠研究の総本山、スタンフォード大学教授で睡眠研究の権威「西野教授」による科学的エビデンス満載の一冊。

ちなみに本書は Amazonのオーディオブックサービス「Audible」でも購入できるので、私は移動中に2倍速で主要な部分を2時間程度で聴き終わりました

移動中のたった2時間で、これからの人生の1/3の時間の質を向上させる目からウロコの、文字通り「睡眠学習」ができるのでオススメしたい。

日本の睡眠時間は100国中、最下位。

日本人は、やはり真面目で勤勉な気質ですよね。

勤勉な日本人は、一見何もアウトプットしていない、非生産的に見える「睡眠」をたくさんとること、向き合う事に反射的に目を背けてきたんではないでしょうか。

「睡眠時間」というのは長ければ良いというものでもないし適切な時間には個人差がある前提ですが、それでも「平均睡眠時間」というKPIでは日本人は圧倒的に短く、睡眠不足の自覚率が高いのが日本という国とのこと。

フランスは平均8.7時間(寝すぎだろ感もありますが)、アメリカは7.5時間、そして日本は6.5時間。さらに日本人の40%が6時間未満で、アメリカでは6時間は「短時間睡眠」にカテゴライズされるそうです。とある調査では100国中、日本の睡眠時間は最下位・・・「睡眠」という「投資」に対する意識の低さが垣間見える結果だと思わざるを得ません。日本人特有の、レッドブルや眠眠打破(古い?)に頼るあのメンタリティです。

睡眠は単なる「休息」の手段ではない

睡眠をただの「休息」と捉えてしまうこと。

寝ている間は「無生産」「非生産的」時間であると思っていること。

これ全部間違いでした。もちろん「休息」は「睡眠」のファンクションにおいて1番重要な地位を占めますが、今という時代を生きる我々にとってそれ以上に、とても重要な「投資」対象だったんですね。

本書によると、睡眠の役割は次の5つに分類できます。

1. 休息
2. 記憶の定着
3. ホルモンバランスを整える
4. 免疫力を向上させる
5. 脳の老廃物を除去する

この睡眠の役割5つは、暗記するレベルで重要だと思います。コロナ禍では免疫力の向上はもちろん、様々なストレスに対処し、精神を健全に保ち続けるためにホルモンバランス(ひいては自律神経)のチューニングが本当に大切。

「うつ」とは要は「自律神経失調症」ですが、これは文字通り「自律神経」がうまく働かなくなること。睡眠中は身体がスリープモードで休息に入っているわけですが、逆に「自律神経」のチューニングが行われています。

人は身体の見た目や外壁ばかりに意識がいきますが、同じぐらいいやむしろ外壁よりも大事なのが中身、つまり「内臓」ですね。呼吸から血液循環・体温調節・消化...など身体が生きるために必要な働きを「自律」、つまりわたしたちが意識しなくてもオートパイロットで働かせてくれるのが「自律神経」です。自分の意識とは無関係に24時間勝手に働いているものなので、普段意識することはゼロだと思いますが、実は「超」がつくほど大事か身体の機能なんですね。

「免疫力」も同様です。身体が何らかの病気にならないように、守ってくれる機能ですね。これも、普段意識することは無いと思います。目に見えないから、意識とは無関係に勝手に働いてる機能だからこそ、逆に意識的にケアが必要。そのための投資が「睡眠」ということになります。

睡眠は「量」より「質」、「不足」するのではなく「負債」になる

では、そんな大切な「投資」対象である「睡眠」を、たくさん取れば良いかといったらそうではないんですね。

たくさん眠っても最高の睡眠を得られない。眠りについての悩みは「量」では解決にしない。

「食事」との対比が良い例で、「食事」で大切なのはバランスの取れた食事。「質の高い食事」というのはたくさん食べれば良いというわけではなく、適切なタイミングで適切なバランスの取れた適切な量を食べること。これはもう、知識というか感覚で理解できますよね。

しかし、こと「睡眠」になると
「たくさん寝たほうが良い」
「睡眠不足だからたくさん寝よう」
というマインドの人は多いのではないでしょうか。私もどちらかというとそんなイメージでいました。

しかし著者は断言するのですが、大事なのは「量」よりも「質」。睡眠は「不足」するのではなく「質」の悪い睡眠を続けることが身体やパフォーマンスへの「負債」になるというマインドセットでした。

「不足」しているから足せばいい、ではなく借金のようにマイナスが積もり続けるわけですね。

故に、大切なのは毎日「質」の良い睡眠をとること。そして、良い睡眠のためには「睡眠」とセットで良い「覚醒」を作ること。「睡眠」と「覚醒」の両方をセットで効果的なメリハリを作ることが大事となってきます。

睡眠の「質」は最初の90分で決まる

本書で最も強烈で重要な一文は、間違いなくこちらですね。

レム睡眠・ノンレム睡眠に関わらず睡眠の質は最初の90分で決まる。逆に最初の90分さえ質の良い睡眠を保てれば、その後の睡眠の質も比例して高まる。

西野さんの研究の結果、図に示したようなノンレム睡眠の第一周期の質を高めることが、その後の睡眠全体の質を決めることがわかったそうです。衝撃。

黄金の90分による3大メリット

睡眠でいうとゴールデンタイムの90分。もっと厳密に言うと「ノンレム睡眠の第一周期」を毎日必ずしっかりとること。これによるメリットは大きく次の3つであると説明しています。

1. 自律神経を整える
2. 成長ホルモンが分泌する
3. 脳のコンディションが良くなる

仕事のパフォーマンスを上げたいと思っている。しかし仕事やプライベートで多くのストレスを抱えている。そんな現代人が喉から手が出るほど欲しい3大メリットではないでしょうか。睡眠の最初の90分の質を高めれば、それが手に入るということですね。

ちなみに「成長ホルモン」はレム睡眠の第一周期で7〜8割分泌され、老人でも成長ホルモンは出続けるようです。仮にその日は2時間しか寝れないとしても、いつもの時間に寝て2時間質の良い睡眠をとれば、成長ホルモンの7〜8割は確保できるということになります。黄金の90分、大事です。

「質」の改善に重要な2つのスイッチ「体温」と「脳」

そして最後に方法論です。

どうやって毎日「質の高い睡眠」「黄金の90分」をとり続けるのか。

身体が欲する、質の高い睡眠への2大スイッチが「体温」と「脳」というのが覚えるべきポイントです。

1.体温

体温は大別して「深部体温」と「表面温度」に分けられます。眠い時に子供の手足が温まるという身体から理解できるのは、

人は入眠時に深部体温が下がり始め、手足より熱放出する

というメカニズム。これを逆手に取って利用するわけですね。つまり

質の高い睡眠に大切なのが「深部体温を一度上げ、下がったタイミングで眠りにつくこと」とのことで、寝る90分前に入浴するというのが鉄板メソッド。

2. 脳

感覚でも理解できますが、寝る直前まで難しい仕事、小難しい本、興奮するようなエンタメを観ているといざ寝ようとなった時になかなか寝付けない。さらに毎日寝る時間が可変、寝る前のルーチンも無い。これが「脳」のスイッチを効果的に「睡眠」にもっていくために最悪のようですね。

忙しいビジネスマンだとなかなか難しいですが、寝る数時間前から徐々に脳を刺激するようなことは控え、毎日同じ時間に寝る。できれば日付が変わる23時前後がベスト。とのことです。

この2大スイッチを活用した質の高い睡眠90分を得るためのメソッドは本書にまだまだ紹介されているので、これ以上は割愛。

パフォーマンスを高めるために睡眠に投資する

ビジネスの主戦場で戦い続ける人たちも、トップアスリートと同様に「パフォーマンスの最大化」というプロ意識を持った時に、向き合うべき投資対象として「睡眠」は意外と抜け落ちがち。睡眠中は一見何もアウトプットしていない非生産的な自分という感覚をなぜか我々は本来持ってしまっていると思いますが、それは大きな間違いというのがこれを読んだだけでも分かります。そんな最低限の睡眠リテラシーをつけて、これからも人生の1/4〜1/3を投資し続ける睡眠と向き合い続けたいですね。

隙間時間、移動中にサクっと聞き流すならAmazonのオーディオブックサービス「Audible」がオススメです。

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