「塔」2017年4月号(月詠)
乗り換への途中で買つたのど飴をひとつ舐めたら忘れてしまふ
口にした途端に凍るほんたうの、人間は自己責任で死ぬ
間違ひを犯したやうな気になつて振り返る 見られる 笑ひ出す
スプーンの曲線のままにすくはれてカップアイスの陸地はひづむ
冬だから殺意の三歩手前まで来てしまふ いい公園がある
言ひよどむ仕草のうちにわれはいま他人であると気づかされたり
取り敢へず金具はづして燃えるゴミ 腹の底から笑つてやらう
(p.150)
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