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「進歩」の法則【53】風山漸(ふうざんぜん)/64卦

漸進的進歩、慣習改善、浸潤、段階的開発、前進、成長、ゆっくりとした成熟、正しい順序、一歩一歩、千里の道も一歩から、手順を踏むの【53】風山漸(ふうざんぜん)。


【~「易」に全てを帰納する~】。プロフィールに書いた言葉です。いろいろな現象や出来事、事例やデータには共通点があります。帰納するとはその共通点を探して言葉でまとめてみようという試みです。その帰納する言葉になるのが易(易経)の言葉です。


「一回読んだだけでは理解できない」というのは、易(易経)を学ぶ人には共通している悩みのようです。自分もそれで大分苦労しました(今でも苦労しています)。


学んでいると、たまに「これはこういうことなんじゃないか」と分かる瞬間があります。そうしてまた原文(漢文)と書き下し文を読んだりすると理解できたりします。


易(易経)を初めて知る人、また学びたいと思ってる初心者に、過去に初めて易(易経)を学び始めたときに自分が困ったこと、つまづいたこと、苦労したことなどを盛り込みながら書いていますので、興味がある人はどうぞ参考にしてみてください。


このNOTEは原文(漢文)と書き下し文を確認したい時などに参考にしてもらえたらと思います。


全部である64卦あるなかのひとつ53番目の【53】風山漸(ふうざんぜん)の原文(漢文)と書き下し文です。



【53】風山漸(ふうざんぜん)

 


『卦辞』

「漸、女歸吉。利貞。」
「漸(ぜん)は、女(おんな)の歸(とつ)ぐに吉(きち)なり。貞(ただ)しきに利(よ)ろし。」

(ぜんは、おんなのとつぐにきちなり。ただしきによろし。)



『彖伝』

「彖曰、漸之進也。女歸吉也。進得位、往有功也。進以正、可以正邦也。其位剛得中也。止而巽、動不窮也。」
「彖(たん)に曰(いわ)く、漸(ぜん)の進(すす)むや、女(おんな)の歸(とつ)ぐに吉(きち)なり。進(すす)んで位(くらい)を得(う)、往(ゆ)きて功(こう)あるなり。進(すす)むに正(せい)をもってし、もって邦(くに)を正(ただ)すべきなり。その位(くらい)剛(ごう)にして中(ちゅう)を得(う)るなり。止(と)まりて巽(したが)い、動(うご)きて窮(きわ)まらざるなり。」

(たんにいわく、ぜんのすすむや、おんなのとつぐにきちなり。すすんでくらいをう、ゆきてこうあるなり。すすむにせいをもってし、もってくにをただすべきなり。そのくらいごうにしてちゅうをうるなり。とまりてしたがい、うごきてきわまらざるなり。)



『象伝』

「象曰、山上有木漸。君子以居賢徳善俗。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、山(やま)の上(うえ)に木(き)あるは漸(ぜん)なり。君子(くんし)もって賢徳(けんとく)に居(お)りて俗(ぞく)を善(よ)くす。」

(しょうにいわく、やまのうえにきあるはぜんなり。くんしもってけんとくにおりてぞくをよくす。)



『爻辞』

上九━━━
九五━━━
六四━ ━
九三━━━
六二━ ━
初六━ ━〇

「初六。鴻漸干干。小子厲。言有无咎。」
「初六(しょりく)。鴻(かり)干(みぎわ)に漸(すす)む。小子(しょうし)は厲(あやう)し。言(げん)あれども咎(とが)なし。」

(しょりく。かりみぎわにすすむ。しょうしはあやうし。げんあれどもとがなし。)
「象曰、小子之厲、義无咎也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、小子(しょうし)の厲(あやう)きは、義(ぎ)として咎(とが)なきなり。」

(しょうにいわく、しょうしのあやうきは、ぎとしてとがなきなり。)



上九━━━
九五━━━
六四━ ━
九三━━━
六二━ ━〇
初六━ ━

「六二。鴻漸于磐。飲食衎衎。吉。」
「六二(りくじ)。鴻(かり)磐(いわ)に漸(すす)む。飲食(いんしょく)衎衎(かんかん)たり。吉(きち)なり。」

(りくじ。かりいわにすすむ。いんしょくかんかんたり。きちなり。)
「象曰、飲食衎衎、不素飽也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、飲食(いんしょく)衎衎(かんかん)たりとは、素飽(そほう)せざるなり。」

(しょうにいわく、いんしょくかんかんたりとは、そほうせざるなり。)



上九━━━
九五━━━
六四━ ━
九三━━━〇
六二━ ━
初六━ ━

「九三。鴻漸于陸。夫征不復。婦孕不育。凶。利禦寇。」
「九三(きゅうさん)。鴻(かり)陸(くが)に漸(すす)む。夫(おっと)征(ゆ)きて復(かえ)らず。婦(つま)孕(はら)みて育(やしな)わず。凶(きょう)なり。寇(あだ)を禦(ふせ)ぐに利(よ)ろし。」

(きゅうさん。かりくがにすすむ。おっとゆきてかえらず。つまはらみてやしなわず。きょうなり。あだをふせぐによろし。)
「象曰、夫征不復、離群醜也。婦孕不育、失其道也。利用禦寇、順相保也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、夫(おっと)征(ゆ)きて復(かえ)らずとは、群醜(ぐんしゅう)を離(はな)るるなり。婦(つま)孕(はら)みて育(やしな)わずとは、その道(みち)を失(うしな)えばなり。もって寇(あだ)を禦(ふせ)ぐに利(よ)ろしとは、順(じゅん)にして相(あ)い保(たも)てばなり。」

(しょうにいわく、おっとゆきてかえらずとは、ぐんしゅうをはなるるなり。つまはらみてやしなわずとは、そのみちをうしなえばなり。もってあだをふせぐによろしとは、じゅんにしてあいたもてばなり。)



上九━━━
九五━━━
六四━ ━〇
九三━━━
六二━ ━
初六━ ━

「六四。鴻漸于木。或得其桷、无咎。」
「六四(りくし)。鴻(かり)木(き)に漸(すす)む。あるいはその桷(たるき)を得(う)、咎(とが)なし。」

(りくし。かりきにすすむ。あるいはそのたるきをう、とがなし。)
「象曰、或得其桷、順以巽也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、あるいはその桷(たるき)を得(う)とは、順(じゅん)にしてもって巽(そん)なればなり。」

(しょうにいわく、あるいはそのたるきをうとは、じゅんにしてもってそんなればなり。)



上九━━━
九五━━━〇
六四━ ━
九三━━━
六二━ ━
初六━ ━

「九五。鴻漸于陵。婦三歳不孕。終莫之勝。吉。」
「九五(きゅうご)。鴻(かり)陵(おか)に漸(すす)む。婦(つま)三歳(さんさい)まで孕(はら)まず。終(つい)にこれに勝(か)つことなし。吉(きち)なり。」

(きゅうご。かりおかにすすむ。つまさんさいまではらまず。ついにこれにかつことなし。きちなり。)
「象曰、終莫之勝、吉、得所願也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、終(つい)にこれに勝(か)つことなし、吉(きち)なりとは、願(ねが)うところを得(う)るなり。」

(しょうにいわく、ついにこれにかつことなし、きちなりとは、ねがうところをうるなり。)



上九━━━〇
九五━━━
六四━ ━
九三━━━
六二━ ━
初六━ ━

「上九。鴻漸于逵。其羽可用爲儀。吉。」
「上九(じょうきゅう)。鴻(かり)逵(き)に漸(すす)む。その羽(はね)もって儀(ぎ)となすべし。吉(きち)なり。」

(じょうきゅう。かりきにすすむ。そのはねもってぎとなすべし。きちなり。)
「象曰、其羽可用爲儀、吉、不可亂也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、その羽(はね)もって儀(ぎ)となすべし、吉(きち)なりとは、亂(みだ)るべからざればなり。」

(しょうにいわく、そのはねもってぎとなすべし、きちなりとは、みだるべからざればなり。)