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「二重の困難」の法則【29】坎為水(かんいすい)/64卦

誠実、複数の危険、ダブルの落とし穴、非常に困難、誠の心、困難が重なる、 真心、底知れぬもの、穴、陥る、二重の苦しみの【29】坎為水(かんいすい)。


【~「易」に全てを帰納する~】。プロフィールに書いた言葉です。いろいろな現象や出来事、事例やデータには共通点があります。帰納するとはその共通点を探して言葉でまとめてみようという試みです。その帰納する言葉になるのが易(易経)の言葉です。


「一回読んだだけでは理解できない」というのは、易(易経)を学ぶ人には共通している悩みのようです。自分もそれで大分苦労しました(今でも苦労しています)。


学んでいると、たまに「これはこういうことなんじゃないか」と分かる瞬間があります。そうしてまた原文(漢文)と書き下し文を読んだりすると理解できたりします。


易(易経)を初めて知る人、また学びたいと思ってる初心者に、過去に初めて易(易経)を学び始めたときに自分が困ったこと、つまづいたこと、苦労したことなどを盛り込みながら書いていますので、興味がある人はどうぞ参考にしてみてください。


このNOTEは原文(漢文)と書き下し文を確認したい時などに参考にしてもらえたらと思います。


全部である64卦あるなかのひとつ29番目の【29】坎為水(かんいすい)の原文(漢文)と書き下し文です。



【29】坎為水(かんいすい)



『卦辞』

「習坎、有孚。維心亨。行有尚。」
「習坎(しゅうかん)は、孚(まこと)有(あ)り。維(こ)れ心(こころ)亨(とお)る。行(ゆ)けば尚(たっと)ばるること有(あ)り。」

(しゅうかんは、まことあり。これこころとおる。ゆけばたっとばるることあり。)



『彖伝』

「彖曰、習坎、重險也。水流而不盈、行險而不失其信。維心亨、乃以剛中也。行有尚、往有功也。天險不可升也。地險山川丘陵也。王公設險、以守其國。険之時用大矣哉。」
「彖(たん)に曰(いわ)く、習坎(しゅうかん)は重険(ちょうけん)也(なり)。水(みず)は流(なが)れて盈(み)たず、険(けん)を行(い)きて其(そ)の信(しん)を失(うしな)わざるなり。維(こ)れ心(こころ)亨(とお)るとは、乃(すなわ)ち剛中(ごうちゅう)なるを以(もっ)てなり。行(い)けば尚(たっと)ばるること有(あ)りとは、往(い)きて功(こう)有(あ)るなり。天険(てんけん)は升(のぼ)る可(べ)からざるなり。地険(ちけん)は山川丘陵(さんせんきょうりょう)なり。王公(おうこう)は険(けん)を設(もう)けて、以(もっ)て其(そ)の國(くに)を守(まも)る。険(けん)の時用(じよう)大(おお)いなる哉(かな)。」

(たんにいわく、しゅうかんはちょうけんなり。みずはながれてみたず、けんをいきてそのしんをうしなわざるなり。これこころとおるとは、すなわちごうちゅうなるをもってなり。いけばたっとばるることありとは、いきてこうあるなり。てんけんはのぼるべからざるなり。ちけんはさんせんきょうりょうなり。おうこうはけんをもうけて、もってそのくにをまもる。けんのじようおおいなるかな。)



『象伝』

「象曰、水洊至習坎也。君子以常德行、習教事。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、水(みず)洊(しき)りに至(いた)るは習坎(しゅうかん)なり。君子(くんし)以(もっ)て德行(とくぎょう)を常(つね)にし、教事(きょうじ)を習(かさ)ぬ。」

(しょうにいわく、みずしきりにいたるはしゅうかんなり。くんしもってとくぎょうをつねにし、きょうじをかさぬ。)



『爻辞』



上六━ ━
九五━━━
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━
初六━ ━〇


「初六。習坎、入于坎窞。凶。」
「初六(しょりく)。坎(かん)を習(かさ)ねて、坎窞(かんたん)に入(はい)る。凶(きょう)なり。」

(しょりく。かんをかさねて、かんたんにはいる。きょうなり。)
「象曰、習坎、入坎、失道凶也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、坎(かん)を習(かさ)ねて坎(かん)に入(はい)るとは、道(みち)を失(うしな)いて凶(きょう)なるなり。」

(しょうにいわく、かんをかさねてかんにはいるとは、みちをうしないてきょうなるなり。)



上六━ ━
九五━━━
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━〇
初六━ ━


「九二。坎有險。求小得。」
「九二(きゅうじ)。坎(かん)にして険(けん)有(あ)り。求(もと)めて小(すこ)しく得(う)。」

(きゅうじ。かんにしてけんあり。もとめてすこしくう。)
「象曰、求小得、未出中也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、求(もと)めて小(すこ)しく得(う)とは、未(いま)だ中(ちゅう)を出(い)でざればなり。」

(しょうにいわく、もとめてすこしくうとは、いまだちゅうをいでざればなり。)




上六━ ━
九五━━━
六四━ ━
六三━ ━〇
九二━━━
初六━ ━


「六三。來之坎坎。險且枕。入于坎窞。勿用。」
「六三(りくさん)。来(きた)るも之(ゆ)くも坎坎(かんかん)たり。険(けん)にして且(か)つ枕(ちん)す。坎窞(かんたん)に入(はい)る。用(もち)うる勿(なか)れ。」

(りくさん。きたるもゆくもかんかんたり。けんにしてかつちんす。かんたんにはいる。もちうるなかれ。)
「象曰、來之坎坎、終无功也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、来(きた)るも之(ゆ)くも坎坎(かんかん)たりとは、終(つい)に功(こう)なきなり。」

(しょうにいわく、きたるもゆくもかんかんたりとは、ついにこうなきなり。)




上六━ ━
九五━━━
六四━ ━〇
六三━ ━
九二━━━
初六━ ━


「六四。樽酒簋貳、用缶。納約自牖。終无咎。」
「六四(りくし)。樽酒(そんしゅ)簋貳(きじ)、缶(ほとぎ)を用(もち)う。約(やく)を納(い)るるに牖(まど)よりす。終(つい)に咎(とが)なし。」

(りくし。そんしゅきじ、ほとぎをもちう。やくをいるるにまどよりす。ついにとがなし。)
「象曰、樽酒簋貳、剛柔際也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、樽酒(そんしゅ)簋貳(きじ)とは、剛柔(ごうじゅう)際(あいだ)なればなり。」

(しょうにいわく、そんしゅきじとは、ごうじゅうのあいだなればなり。)




上六━ ━
九五━━━〇
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━
初六━ ━


「九五。坎不盈。祇既平。无咎。」
「九五(きゅうご)。坎(あな)盈(み)たず。既(すで)に平(たいら)かなるに祇(いた)らば、咎(とが)なからん。」

(きゅうご。あなみたず。すでにたいらかなるにいたらば、とがなからん。)
「象曰、坎不盈、中未大也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、坎(あな)盈(み)たずとは、中(ちゅう)未(いま)だ大(だい)ならざればなり。」

(しょうにいわく、あなみたずとは、ちゅういまだだいならざればなり。)




上六━ ━〇
九五━━━
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━
初六━ ━


「上六。係用徽纆、寘于叢棘。三歳不得。凶。」
「上六(じょうりく)。係(つな)ぐに徽纆(きぼく)を用(もち)い、叢棘(そうきょく)に寘(お)く。三歳(さんさい)まで得(え)ず。凶(きょう)なり。」

(じょうりく。つなぐにきぼくをもちい、そうきょくにおく。さんさいまでえず。きょうなり。)
「象曰、上六失道。凶三歳也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、上六(じょうりく)の道(みち)を失(うしな)うは、凶(きょう)なること三歳(さんさい)なるなり。」

(しょうにいわく、じょうりくのみちをうしなうは、きょうなることさんさいなるなり。)