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ドラマ『陳情令』の横笛の通販があった

この笛、Amazonで見かけたのですが、 
中国の笛なら笛子だと思うんだけれど、
ドラマ『陳情令』内で主人公が吹いているのと同じデザイン、同じ造り。なんなら、同じ笛なんだそうです。

この値段で「ドラマ仕様と同じ」とするなら、
せめて調子が何なのか、楽器としての詳細を明記していただきたいと思いました。
この値段なら、デザインだけのキャラクターズアイテムとしてではなく、奏者として気にしたいところです。

以前、『魔道祖師』『陳情令』のコスプレ用と称して、Amazonで二千円くらいの、オモチャみたいだけれど竹製笛子としてちゃんと吹ける、「陳情令の笛」を見たことがあります。
ただ黒塗りなだけの、簡素な笛でしたが、
それよりは、塗りや細工は、さすがにこちらはいいものと思います。

Hulu配信の『陳情令』を観ていて、注目していた横笛でしたが、
指に隠れる角度で見えづらいだけかもしれないけれど、
ドラマ内の笛は、役者さんが実際に吹いていないからか、よく見ると指穴がない、
つまり本物の笛ではなく、ドラマ用小道具の、笛のサイズの黒い棒と、竹筒に見えます。

そして、ドラマ内の音楽の笛の音は、確かに笛子だけれど、
作中の主人公の持つ笛は、“鬼笛陳情”の扱いや、代用の笛を即席に細竹を切って作っているのを見ると、
どちらかというと篠笛的で、笛膜を要する笛子じゃないように思えます(そこまでこだわる必要はない?(^^ゞ)。

私は日本の横笛でも、かねてから年季を感じる黒い笛に憧れはあって、篠笛でも煤竹や、能管・龍笛のような漆塗りが好きだし、
中国の笛子や、陳情笛みたいな細工のデザインは理想的で憧れますが、
 
私はどうも、最初から能管や、今愛用のネパール横笛のように、少し重めで息吹に力を要する笛に慣れてしまったせいか、
細くて軽い横笛に、なかなか馴染めなくて、
笛子なら、C調以上の、太くて大きく厚みのある笛がいいみたいなのです。

別にキャラクターアイテムとして欲しいわけじゃないから、
この通販の陳情笛は、笛としての調子と、笛子として実際はどうなのかのほうが気になりました。

笛子もいずれは経験し、叶うなら吹けるようになりたいけれど、
本当に笛子を入手するなら、贅沢品ではなく、笛として自分に適し、分身のように生涯愛用できるかどうかを確認したく、
一度、実際に笛子に触って確認する機会を持ってから、調子を決めつつ、慎重に選ぶつもりでいます。

笛子は日本語の教本もないらしいし、吹き方以前に、笛膜の貼りかたにそこそこの熟達を要するらしいから、独習できるか、かなりの冒険ではあります。

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閑話休題

かねてから横笛好きの間では、
『陳情令』の中で、主人公が横笛を、
いくら架空ドラマで本物の笛ではないとはいえ、
笛袋にも入れずに持ち歩き、自らの危険と共に、武器として振り回すのが、
うわ〜(汗)危ないコワイと、話題になっていました。

実際に笛そのものが武器であって、ただの笛ではない設定ではありますし、

昔の日本のドラマでも、尺八で戦う虚無僧姿の剣客を見たことがあるけれど、

楽器を扱う立場には、何をおいても楽器を危険にさらすのが、たまらなくコワく見えてしまうのです。

反面、七弦琴の調べと波動を武器にするシーンでは、
琴が、必要になると、袖のひと振りで魔法みたいに手もとに現れ、使わない時は消してしまえるシーンに注目。

私も琴を背負って持ち歩き、旅先や出先で、折々、取り出して奏でていますが、
ギリギリ持ち歩ける程度のサイズとはいえ、それなりの大きさも重さもあり、かさばるし、
専用の楽器ケースがないため、なるべく丈夫な素材のバッグにおさめ、
緩衝を充分に心がけているとはいえ、
移動時に、傷めないようにかばいながら持ち歩きつつ、自分が転んだり何かにぶつかったら、自分のケガ以上に楽器に響くため、
それはそれは細心の注意を要しています。

中が見えないので、外部から誤ってぶつかられたり、ぞんざいに扱われないために、バッグにこんなしるしを作って、つけているくらい。

オリジナルで作りました

それでも、愛用の楽器を旅に同行し、心惹かれる場所で奏でられるのが、私のフィールドワークの理想なので、危険を圧しても、守りつつ連れ歩きたい。
横笛はコンパクトながら、よほど人里離れない限り、旅先で吹くには響きすぎ、場所を選びます。 
旅用に別の琴を…と思っても、この琴以外では心が動かないので、代替が効きません。

なので、
愛用の琴を、あんなふうに、弾きたい時に、自在に出したり消したりできたら、楽器を使用しない移動時のリスクがなくなるし、いいなぁ…なんて、見ていて思ってしまいました(笑)

しかしそれは、いくら一心同体であっても、仙道ならぬ身には、叶わぬ術。
それこそフィクションの世界。

琴・笛をアイテムとし、音や曲が重要な意味を帯び、さらにはそれが、絆の象徴ともなる『陳情令』、
市井の楽士にとっても、いろんな意味で、なかなかに刺激的で、憧れと注目の的であります。

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