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『陳情令』の暗喩、日本の音楽って…

少し前、こんな記事を書きました。

私は琴と横笛が好きなのですが、
たまたま横笛についてリサーチしていて、
中国の架空の古代を舞台にしたファンタジー小説を、これまたたまたま見つけ、

作品内での要になっている武器や、キャラクターの組み合わせが、
笛子と古琴のカップリングなのが気になり、
(原作はBLですが、さすがにドラマではそれはなかったので…普通に義侠ものとして世界観を楽しめています)
現時点では、まだ原作小説『魔道祖師』を読む度胸がなくて(^^; たぶん原作とは微妙に展開が違うかもしれないけれど、作品については主にドラマ『陳情令』をもとにした話題になっております。

作中音楽も、ほぼ笛子と古琴を中心とした中国音楽で、とても美しくて、
是非ともサントラCDが欲しいと思ったのですが、日本では見つからず。
すっかりYou Tubeのお世話になっている次第。

前述記事でも書いたのですけれど、
琴や笛の響き、曲想などが、そのまま武器になっていて、
具体的に攻撃するだけでなく、楽器だけに、音響心理学さながら心理攻撃にも使われているのが興味深い。

特に、サントラの03の「清心音」という曲。
もともとは、心を鎮め整える、音の薬のような曲なのを、
一部のみさりげなく曲想を変えて、繰り返し聴かせ続けることで、知られないまま、相手の精神状態を蝕み狂乱させる、毒の曲になっているという話になっています。

その説明が面白い。「清心音」の曲に、「乱魄集」という、
「東瀛(日本)の邪曲」を集めた旋律が、こっそりとまぎれこまれており、
その旋律は「演奏中に霊力を加えると、人を害する。日々痩せて焦燥していき、気血がみなぎりすぎて五感を失う。霊力が高い者なら3拍もあれば、命もとれる」「人の心を乱す曲、気血をたぎらせ、激情させる曲」。
そして、「東瀛の邪曲は複雑で難解」なんだそうで。

もちろん作中の曲は、ドラマのために創られた挿入曲ですが、
日本の曲を意識しているので、曲想が、日本の民謡とか演歌に近く作られているのです。

なるほど、日本古来の伝統的大衆的旋律には、精神を乱す邪曲があるのですか。

まあ、祭りなどで演奏されたり、皆が愛唱するような、
日本的な古来の曲想は、集団心理を高揚させて熱狂させるものといえるから、
大陸から見たら、鬼道に通ずる響きに感じる…という演出なのかもしれませんね。

琴などの音具の働きや、響きや音律などの認識は、
高次元で神聖な波動音によって、宇宙も自然界も人の心も、清らかに正しく整える…という点では、 古代日本も変わらないのですが、
大陸から見たら、日本は邪馬台国の時代から、まったく異質な文化の、奇怪で不思議な異界だったのでしょうから、
そのイメージが作品にさりげなく活かされているのかしら…

なんて、興味深かったです。

ちなみに私は横笛経験は、
能管は師を得て習い、
他に龍笛、篠笛、フルートは、少しばかりの経験があり、
現在、資料もなく奏法もわからない古民族楽器の横笛を、自己修練中ですが、

たまたま中国の笛子を手にする機会があった時、
「これ、どう吹いて、どこの穴を押さえるんだろう…」と、悩むような造りなのに驚きました。
聴くぶんには、美しくて深いながらも軽快な音色ですが、かなりテクニックが要りそうに思え、
こればかりは、独修ではムリかも。

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