芸術とは何か(1)

一言に"芸術"と言っても様々な分野がある。美術や音楽、物語や演劇。

その正体は作り手がいて、受け手が居る
この二者のただならぬ作用である。この作用とは一体何者なのだろうか。

"ただならぬ"作用というのも、作り手が狙った表現が必ずしも受け手が受け取る印象ではないからだ。作り手の内省的世界は制作時点での脳が認めた感覚記録上で作られた物差しであり、これを理解するには受け手は作り手に同一化しなければならない。

しかし、元は違う人間。同一化の物差しや眼鏡を作ろうにも表面的にしか理解し得ない。そこで受け手は創作をする。限りなく近いクオリアを想像し、脳内で創作を開始する。

ここで受け手は作り手になる。
器用な受け手は創作の中で得た知見や感触を感想やレビューとして発信するだろう。もっと器用な受け手は作り手となって形を変えて作品として残そうとする。

まさに文化遺伝子の伝達の構造であり、
流動的な時間の流れにより脳から脳へと渡り歩く寄生虫こそが芸術の正体なのではないだろうか。

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