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溶かされてく

上の瞼が下の瞼と キスしそうなほど疲れた

書こうとしては まどろみ

まどろんでは 書きかけて

もう、こんな時間


耳の奥の方に

昼間きいた甘い声音が残っている

話の内容はともかく

君って こんな音を持ってたっけ…なんて

まどろみながら まだ反芻している


普段と違う 少し甘い声色に突然気付いて

ぼくは耳の奥の方が

溶けてしまうんじゃないかと

要らぬ心配をしている


君が聞いたぼくの声は逆に

どうだったのかなと

片手で溶けてしまいそうな耳を押さえながら

もう一方の手の指で

溶けていくグラスの氷を

かき回していた


声も 服装も 仕草も 趣味も

掴みどころが無さすぎる君は

どんな人かって聞かれて

こんな人って表現するのは

あまりにも 難しい

ひと言で言い表すには

あまりにも もったいない

君は。






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