week3.働くときは労働契約の内容だけ確認すればいいわけじゃない?把握していなくても適用される会社と労働者のルール、【就業規則の法規範説】について。
※テイストは試行錯誤なので変わる可能性があります。
勉強をした中で気になったワードをピックアップして深掘りしていこうと思います。
今週は先週の続き、就業規則の法規範説について。
"部分無効自動引上げ"というのは、労働契約に労働基準法に満たない違法部分がある場合、労働契約全てが無効になるのではなく、部分的に無効となり、無効部分は労働基準法に置き換わる(引き上げられる)というものでした。これは就業規則でも同様です。
そして、労働基準法・労働協約・就業規則・労働契約には置き換わる強さがあります。
優先順位についての解説は良さげな解説を見つけたので引用します。
労働契約の内容よりも就業規則のほうが優先して適用される?
労働条件の「絶対的明示事項」と就業規則の「絶対的必要記載事項」というように絶対に明示・記載しなければいけない項目もありますが、労働条件の書面上で「就業規則に定める」という風に表現されている事項もあると思います。
これは労働契約法第7条にも記載があるもので、就業規則の内容が個別の労働条件として適用されるという法律が関わっているんですね。
ここで重要なのは、労働契約よりも就業規則のほうが優先して適用されるということ。
つまり、個別の労働条件でとある正社員との労働契約では賞与を不支給とする。としたが、正社員全員に適用する就業規則で賞与の支給を記載している場合(他の正社員には賞与が支給されている場合)、賞与を不支給とする項目は無効となり、就業規則の内容が部分無効自動引上げされるということです。
こうやって見ると、とても当たり前のことだな~と思うわけですが、今回考えるのは、「入社時の就業規則の内容には無かったルールが就業規則の変更で適用された結果、解雇(定年制の適用)された。就業規則の変更に同意していないので無効ではないか?と主張した」ケースです。
個別の労働契約は契約を更新(締結)するときに双方の同意が必要ですが、就業規則は更新するときに労働組合または労働者の過半数を代表する者の意見書を添付するだけで(強引に言えば労働者の同意なく)更新することができます。もちろん不利益な変更は法律で制限されているはずで、なぜこういったことが起きたのか。
結果最高裁はどのように結論付けたのか。を判例とともに見てみます。
秋北バス事件の内容と最高裁判決を見る。
大事そうなところを太字にしました。ここで「就業規則には法的規範の性質が認められる」とありますね。
あとで引用した記事の解説も載せますが、法的規範とは、法律と同じ位置づけだということで、「従業員は就業規則の存在や内容を知っているかどうかは関係なく、また、これに対して個別に同意を与えたかどうかも関係なく、その適用を受けるものである。」と結論付けているわけです。道路交通法を完全に知らない人でも、道路交通法違反になれば警察官につかまります。これは道路交通法(法律)の存在や内容を知らなくとも、本人が適用を拒否しても強制的に適用されるわけです。これを法的規範と言い、就業規則にも法的規範の性質が認められる。とする説を"就業規則の法規範説"と言います。
就業規則の不利益な変更は原則として許されないと明言しつつも、今回の変更は合理的な変更と言えるし、従業員に対しても措置を講じているので不合理でもないし、権利濫用でもない。とするのが秋北バス事件の最高裁判決です。
内容重複ありますが、記事の解説も載せておきます。
会社にとっても従業員にとっても労働契約の締結のみでなく、就業規則の更新はその更新が合理的な意味を持つのか。を考える必要があり、また個々の従業員の理解と措置を考える必要がある。ということが分かります。
最高裁判決を読むと、その過程や会社・労働者がどのような行動をしたのか。をちゃんと判決の中で明記しています。
大雑把に見ると労働者に不利益な変更なのでは?というような内容でも中身を精査するとこういった結論になるわけですね。。。
まとめると「就業規則は単なる会社のルールとして無関心になるのではなく、自分と会社の間に成立する法律として関心を持とう。」
今回の話は"就業規則の法規範説"をとりあげたわけですが、社労士の勉強をしていく中で、労働基準法含む様々な法律に関わる判決があり、判例を根拠とするいくつもの説がそのまま社労士の問題として出てくるんですよね。とても大変ですが、頑張ってそれぞれを理解していこうと思います。
話がそれましたが、今回の話をまとめると就業規則は単なる会社のルールとして無関心になるのではなく、自分と会社の間に成立する法律として関心を持とう。ということになるのかなと思います。
今週の勉強報告
※教材はこちらの記事に記載
スタディングを通勤時間等スキマ時間に充てることで最低限の勉強はできていますが何せ勉強時間が足りていない、、今月中にとりあえず労働基準法を終わらせます。そして、来週は20時間を目標にとりあえず頑張ります。
勉強内容
テキスト→今週はなし
スタディング→労働基準法(総則、労働契約、休憩・休日)
その他→月間社労士受験10月号(判例解説、労働基準法)
勉強時間
テキスト→なし
スタディング→6h
その他→1h
サポートしていただいたお金は旅の資金にさせていただければと思います。新しい刺激をもらいにいろんなところを旅したいです。