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ヨットでお湯を沸かす温水ヒーター

今回のお話はヨットでの温水ヒーターにまつわるお話。

ヨットと言ってもその目的や航海する海域、生産国によって仕様が変わってきます。 クルーズ艇にはレース艇にないような設備、例えば暖房装置や温水器が設置されており、日本であれば冬季も快適にキャビンライフを楽しめます。

私の船はスウェーデンで建造された寒冷地仕様です。ヒーターは軽油を燃料としたファンヒーターで真冬でも船内を20度程度に保ってくれます。

今回のお題である温水ヒーターですが、仕組みはシンプルで、エンジンを回している間にその熱をクーラント経由でタンクに取込むことで温水を貯めるのです。 温水器の中では80度を超える熱水を貯める事ができ、キッチンやシャワーで温水を使えるという仕組みです。

ところが船齢も20年近く過ぎるとさまざまな劣化が要因で、この温水器がトラブルの発生源となるのです。

通常ヨットでは定期的に交換すべき部品や点検ポイントがありその数は数十ヶ所にもなります。シンプルな構造のヨットでは存在しないメンテ作業が発生する訳です。

問題に発展する前に対応するのが一番なのですが、往々にして問題が先に発生し、その後の対応となるケースがどうしても増えます。
今回はなぜかビルジが早く貯まるという問題が発端となりました。

ビルジが溜まる問題の原因は、さまざまです。 結露、雨水侵入、水タンクからのオーバーフロー、排水管からの漏れなど。 今回切り分けに時間が掛かったのですが、原因は温水器のリリースバルブからの漏れでした。

取り外した温水器

タンクを外し、パイプやバルブ周辺を観察すると、スケールが付着してバルブがちゃんと閉まらない状態となり、電源投入後水圧がかかるとこのバルブ周辺から水漏れが発生していたのです。

最初は少量だったのですが、徐々にその量が増えて、水を使っていないのにポンプが定期的に作動する様になってしまったのです。

課題はこのリリースバルブの交換に必要な作業スペースが全く無い事でした。 

対応策は、タンクそのものを取り外し、小さめのサイズに変更することでした。 温水器撤去と言う判断も有りますが、各種配管が温水を使用する前提で作られており、新たな配管変更は狭い船内では難航する事が想定されました。

今後温水器を調達して配管を戻す事でドライな状態が維持できるはずです。 ヨットの保有にはこのような作業を定期的に行い、修理対応をある程度自力で行うスキルも求められると言うお話でした。


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