巨大台風一過に首都圏の雨水管理システムのすごさとそれでも限界ではないかと思う個人的な分析
(被害者も出ているしこれからも予断は許さないと思うが)
首都圏の雨水管理システムが今回見事に機能したと思うところと、一方でそれでも実はもはや限界ではないかと思う事を書いておこうと思う。
1. 実はすごい 国土交通省と東京都の洪水対策
以前オリンピックのボート会議場の選定にあたり戸田彩湖の検討をした時に予定地が荒川の洪水対策調整池でありその時に国の河川の雨水管理システム、荒川は4つのダムによって調整されており3日で500mmの想定の豪雨対策をされていることを知った。
荒川氾濫 動画これをみたら後少しでこういう事になっていたという事。
また、別の機会に東京都の上下水道事業の評価を行い、砂町水再生センターの地下の巨大な雨水貯留施設を見学した。
東京都では、下水道を活用した浸水対策をしている。
下水道局では下水道整備時は50%の雨水が下水管を流入するとして設計していたが市街地化が急速に進み、80%の雨水が地中に浸透せずに一気に河に流れ込む状態になっている。今は新しく建設される道路の地下空間には巨大な貯留施設がほぼ必ず建設されている。昨日の雨の様子を見ながら、巨大な地下空間に静かに轟々と流れ込む大量の水を想像していた。
2. それでも、後少し勢力を維持して上陸していたらほとんどの河川は決壊していた?
それでも、都市浸水の専門家が想定しているのは時間100mのそれも局地的なゲリラ豪雨だ。荒川の対策の前提も3日で500mmだ。
国土交通省HP 防災・減災の推進 ‐ 都市浸水対策
「東京都における総合的な治水対策のあり方について(61答申)」 に示されている4つの目標治水水準
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/topics/h26/pdf/topi014/02_genjo.pdf
今回、 箱根は1日で1000m以上の豪雨が降った。今回、季節的に少し涼しくなって直前に海水温が下がり、勢力が下がって上陸したが、夏の暑い時期、海水温がそのままに勢力を維持して上陸していたら、ほとんどの堤防は決壊。都心の浸水被害は甚大な事になっていた可能性高い。荒川流域も先の想定動画の状況になっていた可能性が高い。
国土交通省、東京都の河川局の担当者は気が気でなかったと思う。
実際に、午前1:50に荒川について自治体が避難勧告を出す目安となる「氾濫危険水位に達した」と地味に発表しているがこれは実はすごい発表だ。もうすぐ決壊すると言ってるようなもの(でも、みんな寝てるでしょ。)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191013/k10012127981000.html
3. 令和は異次元の自然災害との戦いの時代
マスコミは今日から早速ヘリを飛ばして被害がでたところの映像を撮りに行っていると思う。床下浸水の家にお邪魔し、被災者の涙目コメントを引き出し、視聴者の「あー、うちは助かって良かった」という視聴者の潜在意識を満足させ視聴率が取れる「災害特別報道」をするであろう。そして総理は被災者に神妙に弔意を示し復興支援をこれみよがしにコミットし安定政権をアピールするだろう。
でも、本当に怖いことは
多摩川、荒川、等がおそらく堤防決壊寸前だったということ。全国民が映像で確認している通り。橋の下をすれすれで轟々と流れていく各河川の水流。国土交通省や東京都の河川局では、今頃緊急の総括会議が開かれ、各現場から今回被害がこの程度で済んだのは奇跡だったという報告がデータとともに現場の技官からなされ、会議参加者からうめき声が出ているだろう。
マスコミは、今回、あとどれくらいの雨量増で何が首都圏に起きたのか検証すべきだ思う。(Nスペ?)また、各自治体は、避難の状況を振り返り、本来どの様に告知をすべきか検証すべきだと思う。特に、深夜に氾濫危険水位に達する可能性がある場合の、事前の強制避難などある程度、市民生活の自由を制限する対策の検討も必要かもしれない。そしておそらく温暖化が続く限り、この台風被害の傾向は今後毎年数十年続く。
おそらく令和は、異次元の自然災害との戦いの時代と記憶されることになるだろう。
公共の仕事を時々していて思うのは、日本の現場の役人の方々は色々言われるが相当な責任感と義務感を持って対策を講じている。
今回、カメラから流れる越水ラインギリギリを轟々と流れていく大量の雨水の流れの映像をみて普段の当局の方々の努力に心から感謝の気持ちが生まれた。
ただ、ほとんど市民にその努力が伝わっていない。市民も自分の命を守る努力くらいはすべきだと思う。少なくとも自分のエリアのハザードマップを確認するくらいは。
防災アプリもこの際入れておこう。