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2009年以降のドル円推移と今後の予想

みなさん、こんにちは。高橋勇気です。
 
最近、ドル円の動きが荒いですね。遂にドル円は130円台まで上昇しております。要因は主に以下2つかと思います。

2022年のドル円上昇について

1、日本の貿易収支の悪化

ご存知の通り、日本は資源を大量に海外から輸入しております。しかも東日本大震災以降、原子力発電所が停止していることから以前よりも資源輸入量が増加している状況でしたが、ウクライナ問題を受けた資源価格の上昇によって日本は貿易赤字に転落してしまったのです。

貿易赤字ですと、海外の物を購入するために円を売って外貨(主にドル)を獲得します。これによって恒常的に円売りドル買いのフローが見込まれることからドル円は上昇要因となります。

2、日米の金融政策の違い

世界ではインフレが非常に高いです。米国でも欧州でも7%程度のインフレ率となっており、各国中央銀行はこのインフレを抑えるために政策金利の引き上げを急いでおります。FRB、ECB、BOE、RBA等です。
むしろ政策金利の引き上げを実施していない国を探す方が難しいです。

そのような中、日銀だけは緩和スタンスを継続させているだけでなく、日本の10年国債の金利を低位で安定させるために連続指値オペを毎営業日実施する等、金融政策の違いが際立っております
このスタンスに違いによってマネーの流れが円からドルに流れており、ドル円は上昇しております。
 
最近、ドル円は130円台まで到達したことでニュースでもドル円の話題が増えております。一方で長期的にドル円がどのように推移してきたかを示している記事があまり多くないように感じました。

そのため、簡単ですが、リーマンショック以降のドル円の推移とその要因について本日は書きたいと思います。

2009年1月以降のドル円推移

話が逸れますが、私はメガバンクでFXのトレーダーをしていたことがあります。
その経験を元に以下の記事も書いておりますので、お読みいただけると嬉しいです。
FXを行う上で絶対に知っておく必要のある知識をまとめております。

メガバンクの元外国為替トレーダーが語る、FXをやる前に絶対に知っておきたい11個のこと

2008年から2012年について:ドル円は110円から75円に下落

リーマンショックによって世界中が大不況に見舞われる中、株価も低調に推移し、いわゆるリスクオフの円買いによって、また大量の貿易黒字に支えられたことで、ドル円はじわじわと円高基調での推移となりました。

この間、特筆すべきは2011年3月11日の東日本大震災でしょう。大地震が日本を直撃したことで日本に甚大な東をもたらすことは容易に想像できました。しかしその国の通貨である円が買われたのです。

普通に考えれば震災によってダメージを受けた国の通貨は売られると思われますが、逆でした。なぜでしょか。

日本は世界最大の対外純資産国なので、日本の投資家は大量の海外資産を持っております。有事の際は海外資産を売却し、自国通貨である円に戻す動きが活発になる(と思われる)ことから外貨売り円買いのフローによって日本円が買われたのです。

また世界中の為替の常識として「有事の際は円買い」という認識があったため、欧州危機が起きようとも、世界で戦争が起きようとも、仮に日本に震災が襲っても、円が買われるのです。

これによってドル円は1ドル75.30円付近までの戦後最低水準まで下落致しました。 

2012年から2015年について:ドル円は75円から125円まで上昇

安倍政権が誕生し、日銀総裁も白川さんから黒田さんになりました。
安倍政権の「三本の矢」というスローガンと共に、大規模な金融緩和を黒田日銀総裁が実行しました。
まず第一弾の金融緩和を実行した結果、2014年にかけてドル円は75円から100円程度まで上昇致しました。2014年4月に消費税の増税を実施したことから国内景気が悪化したことから2014年秋に第二弾の金融緩和を行ったことでドル円は遂に125円台まで上昇したのです。

さすがにここまで来ると、3年間で75円から125円ですので、今以上に「悪い円安」の議論が増加し、黒田日銀総裁は国会の答弁の中で「これ以上円安には行きそうにない」と発言したことから125.80円が高値となりドル円は反落致しました。
 

2016年から2021年について:ドル円は100円から110円で安定推移

この5年間は100円から110円で安定推移となりましたが、2016年は大きなニュースが2つありましたので、紹介させてください。

1つ目は2016年6月、イギリスでのEU離脱を問う国民投票です。
事前の世論調査では52%がEUに残留と答えていたことから、イギリスはEUに残留するだろうと思われていたものの、いざ蓋を開けてみるとEU離脱となり市場は非常に荒い値動きとなりました。ドル円は107円から99円まで急落したのです。

2つ目は2016年11月の米大統領選挙になります。トランプ政権の誕生です。
世論調査ではヒラリークリントンが若干優勢であったものの、市場は6月の国民投票で予想を裏切られていたことから、多少はトランプが勝つシナリオも想定していたことで、ドル円は107円から101円まで急落したものの、イギリスの国民投票と比較すると市場の動きは軽微なものとなりました。
 

2022年について:ドル円は115円から130円まで上昇(2022年5月5日時点)

冒頭に記載した通り、日米の金融政策の違いによってドル円は大きく上昇致しました。上のグラフを見てもいかに過去と比較して急騰かが分かるでしょう。
 

今後のドル円について

さて、ドル円がどのように推移してきたかを書かせていただきましたが、次は今年どこまで上昇するかを予想したいと思います。

過去20年のドル円推移

ここ20年のドル円のレートをまとめたものになります。
こちらを見ると平均の値幅で15円程度、値動きが大きいとリーマンショックが起きた2018年で25.1円、イギリスのEU離脱や米大統領選挙の2016年では22.7円となっております。

2022年はコロナからの回復で金融緩和の縮小が世界中で行われることから2016年程ではないにせよ、20円程度の値幅は見ておいた方がいいかもしれません。そうすると2022年のドル円の最高値は133円から135円程度でしょうか。
 

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高橋勇気
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