祇園祭について

7月1日になり今年も京都の街で祇園祭りがはじまった。
今年は山鉾巡行が3年ぶりに行われ露店も出るようでなかなかの賑わいになるであろう。
おそらく来年にはインバウンドも再開してるので今年がある程度はゆっくり見れる最後の年になるかもしれない。
ここでは祇園祭りの特徴や歴史を簡単にまとめるので祇園祭りに興味を持たれた方の参考になれば幸いです。

祇園祭りは東京の神田祭、大阪の天神祭と合わせて日本三大祭に数えられる大きな祭り。四条通りの東のどんつきにある八坂神社の祭礼で7月いっぱい執り行われる。その中でも17日と24日の山鉾巡行が祇園祭の目玉。

祇園御霊会が祇園祭の原型と言われている。
当時はこの世に恨みを持つ死者の霊(御霊)が疫神となり疫病を流行させるという信仰があり、御霊会は御霊を一か所に集めて接待し都の外に送るための祭りである。疫神の代表格が西方インドの祇園精舎の守護神である牛頭天王(ごずてんのう)である。ちなみに東京天王洲アイルの天王洲という地名も牛頭天王が由来である。

全国的に疫病が流行した896年に、神泉苑(京都二条城南側に規模を縮小して現存、御池通りの池はこの池)で当時の国の数である66本の矛をたてて御霊を慰撫したのが始まりとされている。当初は比較的簡素な祭りであったが御霊を接待しないといけないのでどんどんと派手になっていったらしい。
現在の祇園祭で見られる山や鉾がみられるようになったのは室町時代からである。

次に祇園祭の簡単なスケジュールを紹介する。

7月2日
くじとり式 京都市役所で山鉾巡行の順番を決めるくじ引きが行われる。一部の山や鉾は順番が昔から決まっていてこれを「くじ取らず」と呼ぶ。

7月13日
長刀鉾稚児社参 17日の山鉾巡行で先頭を勤める(くじ取らず)長刀鉾に乗るお稚児さんが八坂神社に参拝し祭りの安全を祈願する。

7月14日から16日
先祭宵山 山鉾に灯がともり祇園囃子が流れる中で山や鉾に上がることができる。この時に粽などのお守りを買うことができる。また一部の通りではその家に代々伝わる屏風などを一般公開する。(屏風祭)

*粽について
京都では厄除けのために玄関に祇園祭で買い求めた粽を飾る風習がある。粽には多くの場合「蘇民将来之子孫也」と書かれている。これは牛頭天王が旅の途中にある村で宿を求めると裕福な者が断ったのに対し貧しい蘇民将来は暖かくもてなし、断った者は不幸になりもてなした蘇民将来は子孫まで繁栄したという逸話から。

7月17日
先祭山鉾巡行 午前9時に四条烏丸に山鉾が勢ぞろいし「エンヤラヤア」の掛け声とともに動き出す。この時に13日に出てきた長刀鉾に乗るお稚児さんが注連縄を切り本格的な祇園祭がはじまる。見どころとしては四条河原町や河原町御池の交差点で行われる方向転換(辻回し)か。四条烏丸から新町通で解散しそれぞれの町に帰る。
17日
神幸祭 本来はこれが祇園祭の中心。山鉾巡行はこれに付随する出し物である。ただ観光という視点ではどうしても地味なので興味ある方はググってください。

7月21日から23日
後祭宵山 基本的に先祭と同様だが23日の夜にあばれ観音と呼ばれる神輿を担ぎ派手に駆け巡る祭りが南観音山で行われる。

24日
後祭山鉾巡行 ルートと参加する山鉾は違うが基本的に先祭山鉾巡行と同様。
24日
還幸祭
神幸祭とセットの祇園祭の中心。

31日
疫神社夏越祭 八坂神社の疫神社に大茅輪を設け夏越祭が行われる。これをもって祇園祭が終わる。

紹介した内容以外にも多くのイベントがあり7月いっぱいはほぼ毎日どこかで何らかの祭りが執り行われているといっても過言ではない。

山鉾について
鉾は多くの場合山より大型(最大で12トン)で先端に金属製の鉾頭が付くものが多いのが特徴。(船鉾、傘鉾にはつかない)
山は松がついていることが特徴。

山、鉾それぞれに特徴がありご利益も違う。独断で一部を選びをざっと紹介する。

長刀鉾
先祭の先頭を行く山鉾の代表。長刀鉾にのるお稚児さんが注連縄を切るシーンが祇園祭の象徴といっても過言ではない。くじ取らず

占出山
安産の神とされる神功皇后由来の山で占出山のくじが早いとその年のお産は安産が多いと言われる。

函谷鉾(かんこほこ)
孟嘗君の故事由来の鉾。前懸がかっこいい。昔使われていた前懸は重文指定。くじ取らず

月鉾
山鉾の中で最大。前懸、後懸にはインド絨毯を使い、胴懸にはインド、トルコ絨毯を使っている。山鉾の中でも最も豪華で華麗なものの1つ。

船鉾
前祭のトリを務める鉾。鉾全体が船の形をしている。占出山同様神功皇后を由来とし安産のご利益がある。くじ取らず

鷹山
令和4年の祇園祭最大の見どころである山。応仁の乱以前より巡行していた山鉾の1つだが文政年間に大破し巡行を取りやめその後も復活できず禁門の変の大火で大部分が消失。その後、古文書や絵画等の調査を経て令和4年に復活し約200年ぶりに山鉾巡行に復帰する。

橋弁慶山
後祭の先頭を行く山。弁慶と牛若丸の出会いを再現している。くじ取らず

と、紹介しだすとキリがないので公式ウェブサイトで押し山鉾を決めてください。

祇園祭その他について
キュウリの断面が八坂神社の神紋に似ているので7月中はキュウリを食べない。キュウリが一番おいしい時期に食べずに祇園祭の無事を願う願掛けの意味合いもある。その代わり鱧をよく食べる。祇園祭は通称鱧祭とも呼ばれる。

と思いつく限りで簡単に祇園祭をまとめてみました。祇園祭を見に来られる方の参考になれば幸いです。京都の夏は暑いので覚悟してきてください。山鉾巡行を見る場所で個人的におすすめなのは新町御池です。

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