「隻手の音声を聞け」の公案

江戸時代中期の白隠禅師が工夫してはじめた公案として有名です。
調べてみたのですが、出典はないようです。

「両掌(りょうしょう)打って音声(おんじょう)あり、隻手(せきしゅ)に何の音声かある」

手を打ち合わせたらパンと音がします。
では、片手だけの音とは?

これ、入門するときに最初に与えられる公案です。
ですから、簡単です。

最初は何のことか分からんから、畳を叩いてみたり指パッチンをしたりといろいろと工夫します。
中には、有名なアンチョコを見つけて、その真似をする人もいます。
でも、白隠禅師の本意はそこにはないと思うのです。
これから入門してくる人に、禅とは何かを伝えるための最初の公案です。これを考えついてからずいぶんと効率が良くなった、と白隠禅師も言っています。

ヒントです。
・「隻手の音声」という言葉に捉えられていませんか?
・「隻手の音声」はいつ鳴り響きますか?

この公案は、言葉にとらわれてしまう我々の思考を変えていく最初の一歩なのです。


余談になりますが、「隻手の音声を聞いたか」と聞かれた修行僧が、「聞きました」と答えたという話があります。すると師は「どこで聞いたか」と。
すると修行僧は即座に答えたそうです。「祇園円山東山」と。

……遊郭街、いえ、建仁寺の近くです。

ずいぶんと洒落たこたえではありませんか。
(マネしちゃだめですよ!)


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