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にじ にじ にじ

’70年代フォーク・ニューミュージックの鉄板曲(あくまでも個人差はあります)からの、当時の思い出というにはどうでも良すぎる話を独断と偏見で美化して?(笑)語ります。

その②「僕にまかせてください」
作詞・作曲さだまさし 歌クラフト
(ドラマ『ほおずきの唄』の主題歌)


初めて見たフォークコンサートがたまたまクラフトでした。

76年頃、玉川高島屋ショッピングセンターの屋上でのミニコンサート、というかキャンペーンみたいな感じだった。

その日、ここに甲斐バンドが来ると知り行ってみたら、甲斐バンドの出番はもう終わっていてお客さんもまばら?になっていた。
せっかくなのでと次のクラフトのステージを見ることに。

クラフトはグレープと同じ事務所、ザ・バードコーポレーション(赤い鳥がいたところ)のバンドだった。
その頃、グレープは解散したばかりで、グレープ最後のセイヤングの放送からもまだ日が浅かったから、
私は何かとグレープの余韻に浸って過ごしてた。

屋上ステージの周りは今じゃ考えられないくらいオープンで、客席の後ろの方のスタッフエリアに仕切りも無くて、邪魔にならない程度の所まで自由に行けた。

その会話が聞けるくらいの距離の、PA席のそばから私がクラフトのステージを見てると、近くには、ちょうど昼休みだから見に来たみたいな、ショッピングセンターの店員さんたちも2、3人いた。

お姉さんたちは最初は、
「あの人達、誰なの?」とか
「ドラムの子がカワイイね」

などと、ロン毛のドラマー松藤君を指差してお喋りしながら見てたけど、
『僕にまかせてください』が始まると、
「あ~、これ知ってるわ~」
と声を上げてた。
ドラマの放送が終わってたぶん半年くらいは経ってたけど、この曲は結構ヒットしたし、ヒット曲の世の中への浸透力は今よりずっと高かったかもしれない。

クラフトはこの日、全部で3~4曲も歌ったかな。
中でも1曲、並んで振り付きで歌った曲があり、フォークバンドなのに踊らなきゃならないなんて大変だなぁとびっくりした。

それから全員?で「にじ、にじ、にじ、にじ..」と掛け合いでコーラスが入る曲があって、
何で2時なんだろう..とずっと思っていたら、『虹』という曲だった。

あれ以来1度も聴いていないので、今、また聴いてみたい曲のひとつです。


出番が終わったあと、スタッフ席でくつろぐのクラフトのメンバーはファンの人たちにサインしてあげていて、私はサインを貰うでもなくそれを間近で普通に眺めていて、なんかすごくゆるくて平和な時間だった。
ステージからは、次の、やまがたすみこさんの透き通るようで力強い歌声が響き渡っていた。あ、そういえばこの人もこの事務所だなぁと思った。

彼女も歌い終わるとスタッフエリアにやって来て、ファンの男の子達と写真に収まってあげたりしたあと、慌ただしくマネージャーと共に次の仕事に行ってしまった。やまがたすみこさんは、忙しかったみたいだ。

そのうちお客さんたちも捌けて、機材の撤収が始まったんだけど、こういう場面も私は大好きなので、スタッフさんたちが働いているのをずっと見ていた。

ああ、この人たちの中に、つい最近読んだ、さださんの『本』というエッセイに出て来たスタッフのワダさんとかナガシマさんなどがいるのかなぁ、
こういう人たちが裏方としてグレープのコンサートも作り上げていたのかなぁ、、とか、
グレープが居なくなってバードコーポレーションも活気が無くなってるんだろうなぁ、
やっぱりグレープのコンサート、見たかったなぁ、、とか、

私が勝手に1人で想像の翼を広げてしみじみしてるうちに、バードのスタッフさんたちはテキパキと片付けてあっという間に誰も居なくなった。


数日後、同じくグレープが好きだった友達が、
「これ、B面もさだまさし作詞作曲だから聴いてみて!」と言って、
『僕にまかせてください』のシングル盤を貸してくれた。

B面は『鳳仙花』という曲で、私はどちらかと言うとこっちの方が好きになった。それに、このポップなノリやすさはもしや、あの時クラフトが踊った曲はこれじゃなかったかしらん!!?
と思ったけれど、これは未だに謎です。


だから(だから何なんだ?)
私はクラフトの『僕にまかせてください』を聴くと、これも『言問橋』も『さよならコンサート』もいいけれど、
『鳳仙花』と『虹』と、『エピローグ』そして『友あり遠方ゆえ来たらず』もいいよと言いたい。
ラジオなどでも今は殆どかからないけど。

すごく聴きかじりなのに偉そうに書いて、クラフトのファンの皆様にはすみません。