赤い線か青い線かじゃないよね
世界がすごい勢いで悪くなっているという話をよく見かけるようになった。それはまぁ、きっとそうなんだろうなと思う。確かに、未来への希望というものはニュースを見ているとあまり見当たらない。こういう時になると出て来るのが甘美な極論とでもいうべきもので、例えば今日見かけたのは「ロスジェネ世代には国家による再分配ー平たく言うとお金を配ることー以外に救いはない」というようなものだった。
これは持論なのだけれど、世界が悪くなってきたなという感じになると「たった一つの正しい救い」があちこちからニョキニョキ生えて来る。これは、社会という大きな話でもそうだし、もっと小規模な人間の集まり(会社とかサークルとか、社会運動団体とか)でも大体そうだ。人間というのはわかりやすくて抜本的な改革、たった一つの冴えたやり方を見つけるのが好きで、大体のところそういうものはうまくいかない。でも、たまーにすごく上手くいったりすることもあって、そういうのはとても希少価値があるから映画の題材になったりする。
たった一つの冴えたやり方が存在する局面って、実はそんなに多くない。ほとんどそんなことはないと言っていいかもしれない。でも、人間はそれを追い求めて世界を爆弾解体みたいにする。赤の線か青の線かどちらかを切るしかない、そういうところに人間はわりと簡単に追い詰められてしまう。もしかしたら、周りを強い壁で覆ってでもおけばもっと低リスクで回避できる危険かもしれないのに。人間はバチンと決断して、ドカンと終わらせるのが大好きだ。
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