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カネのこと、生きること、Just try to keep your head above water

 生活設計や資金管理ができず、人生が袋小路に入り込んでしまう人間。多重債務者。彼らはどうしてこうも判で押したように同じ行動をとるのだろうか? 彼らの行動は信じられないほど一様だ、働きアリほどの多様性もない。まず、借金の額を少なく申告するところからそれは始まる。最低ラインとして、申告額の3~4倍はあると考えておいて外れることはそうそうないだろう。「50万ほど借金があって、生活が苦しい」と主張する人間の負債額が実際のところ150万以下だった、そんな経験は少なくとも僕にはない。ある人はいるんだろうか。いて欲しいと思う。そんな心温まる話が聴きたい。

 「カネがない」ことの本質は「カネがない」ことにはない。それは明瞭に習慣や技術、あるいは嗜癖の問題だし、カネを借りることに成功すればその分だけ状況は悪化する。だから、そういう人にカネを貸してはいけないし、「50万借りたい」というなら「2万が限度、必ず返せ」と伝えて追い払うのがベスト。そのカネが返ってくることは絶対にないけれど、面倒を回避する手切れ金として2万は安上がりだ。そういった人間は、長期的に必ずカネを貸してくれた人間を憎むようになる、そんなことになるくらいならそこで話を終えた方がいい。「問題はカネがないことじゃない、習慣や人生設計の方にあるんだよ、それを治さないとどうにもならないよ」と伝えるなんてナンセンスをやってはいけない。薬物依存症患者に薬物をプレゼントするのが善行だと考える人はどこにもいないだろう。そんなことは当たり前なんだけれど。

 年を食うと諦めるのが上手くなるし、上手に諦めることができた自分にうんざりする。世の中にはどうやっても救われない人が存在する、そういったことを自明の事実として受け入れた時、おそらくその時が成長の終わり、あるいは老化の始まりだと感じる。もちろん、人はふさわしく老いていかなければいかない、成熟していかなければいかない。そんなことはわかっているのだけれど。

 救われなかった人間は救おうとした人間を憎むようになる

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発達障害ライフハックのような実用文章ではなく、僕がライフワークとして書きたい散文、あるいは詩に寄っていくような文章を書いております。いろいろあって、「善い文章」を目指して書くようになりました。ご興味ありましたら是非。

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