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死ぬことについて、依存症について、あるいは人間の屑について

 僕は自殺未遂を何度も起こしている。

 なので、「こうやってもまず死ねない」方法について、結構詳しい(本当に悲しい知識だ)。こういった内容の記述は基本的に避けようと思ってきたことであるのだけれど、自分自身の人生が岐路にあると感じられている今、書いてみることにささやかな意義を感じなくもない。もうあまり「生きていこう」と主張する権利は僕にはないのだけれど、「医療リソースをムダ食いする僕のような人間の屑になるな」くらいは言っておいた方がいいと思う。自分自身を戒めるために。二度と繰り返さないために。

 この文章はとても荒れたものになっていると思う。
 それは僕の人生がそういう時期にあるということで、許して欲しい。こんな文章を推敲なんて、とてもできない。これは僕が同じ失敗をあらゆる意味で繰り返さないために自分の人生に打ち込む楔で、それがあなたの人生にポジティブな意味で役立てばとてもうれしい。なので、ネガティブな意味で役に立ってしまいそうなことは書かない。それを書くのはたぶん、僕がある種の決断を終えた時になると思う。その時が近づいている今、僕の精神状態はあまり真っ当ではない。だから、こんな文章を書いている。申し訳ない。

 それではまず、睡眠薬自殺未遂のお話。最近も、舌を真っ青にした若者がニュースに出ていたけれど、あれのことだ。

睡眠薬自殺未遂、あるいは処方薬依存について

 まず、自殺失敗は途方もなく「惨め」なものだということ。
 大量の薬物を摂取し、意識を失って病院に搬入される。その後様々な処置を受け(何たる医療リソースの無駄遣い!)意識を回復する。基本的には目を覚まして(往々にして大暴れをするらしい、僕もそうだった)碌なことにはならないので全身が拘束されており、言うまでもなく導尿管が性器に接続されている。これを引き抜く時がまた、猛烈に痛く、恥ずかしい。

 これが全身麻酔の後だとかそういうことなら同情の余地もあるのだけれど(全身麻酔の場合は持続時間がコントロール可能なせいか、目を覚ます前に導尿管が抜かれていた覚えがある)、睡眠薬自殺(最も多く、最も成功しないことで知られる)未遂の場合、朦朧とした意識が戻って来た頃にグイっと引き抜かれる。人生でn回もそんな経験をしている奴はいない方がいいと思うのだけれど、いるのだから本当に惨めだ。こんな人間になってはいけない。

 睡眠薬自殺未遂を起こす人間は往々にして睡眠薬依存(加えてアルコール依存)症患者とイコールだ。僕の場合もそうだった。なので、「あなたは自殺未遂を起こした挙句、意識を取り戻したと思ったら『何故死なせてくれなかった』と大暴れをした上、再度昏睡した」と言われても、あまり自覚はない。当たり前だ。大量の薬物とアルコールでハチャメチャなハイになった状態で「やらかし」ているのだから、睡眠薬の健忘作用も伴って記憶なんて大体残ってない。大体は書き散らかした意味すら読み取れない「遺書」がある。これを読みかえす時の気分がまた、どうしようもない。

「おれみたいな奴は死んだ方がいい」

と思うのだけれど、たった今それに失敗したばかりなのだ。目を覚めた後は、おそらく脳の機能(都合の悪いことは思い出したくない!)も加味された強烈な健忘が伴う。所謂「記憶喪失」が起きることもある。自分が誰かすらわからない状態になるかもしれない。でも、それもおおよそ数日で戻って来る、僕の場合もそうだった。すいませんでした、本当に申し訳ありませんでした、僕みたいな人間は死んだ方がいいと思います。たった今それに失敗して世間に大迷惑をかけたんだろうがこのクズが。
 その通りです、返す言葉もありません。

「睡眠薬ではどうやっても死ねない、あれらの薬はどれも、驚くほど安全な薬だ。致死量はとんでもなく多いから、そんな量は飲めない」

「ただし、変な態勢で長時間動かないでいると筋肉が壊死することはある。腹筋とかその辺が壊死してるとえらいことになる、死なないけど」

 これは覚えておいて欲しい。お医者さまがそのように教えてくれた。
 なので、睡眠薬を大量に所持している、かつそれを不適切な用法で使用してしまっているみなさんは、ただちにお医者さまに相談した方がいい。ちなみに、「不適切な用法」の範囲は、多くの人が想像するよりもずっと広い。

「朝起きてコンサータを72ミリ飲み、昼は食べると眠気に襲われるからブドウ糖を山盛り投げ込んだコーヒーで凌ぎ、夜になると酒と眠剤を同時に飲む、すると強烈な食欲がやってくるのでガンガン食べて飲む、そのうち意識が途切れて朝がやってくる」

 こんな生活をしているADHD患者、あるいは健常者ですら少なくはないだろう。朝はコーヒー、昼はブドウ糖とコーヒー…でも辿り着くところは結局同じになる。これはもう、「依存症」のとばぐちどころか、「これ以上は社会的にも身体的にも危うい」状況に膝まで嵌まり込んでいる。立派な「依存症患者」と言っていいだろう。

 こんな生活をしていても、20代や30代くらいまでは「もってしまう」人もいて、ろくなことにならない。かくいう僕も、コンサータでこそないものの「目を覚ますとロヒプノールとウォッカをショットで一つ胃に放り込み、匂い隠しのガムを噛んで職場に行く」を繰り返していた時期があった。

 この知識を広めるか、あるいは隠すかは難しい問題だけれど「毎晩、眠剤をツマミに晩酌している」人の多さを考えると、やはりきちんと知られるべきだと思う。ある種の睡眠薬とアルコールを合わせると、効果は逆転してむしろ「ハイ」になるのだ。満腹中枢が麻痺して食欲が増進する効果も強い。おそらくこの文章を読んでいる人の中にも「それ、私のことですか?」となっている人はいるだろう。そう、あなたのことです。もし、あなたの周囲の人がこんな生活をしていたら(もし、その人があなたにとって大切な人であればということだけれど)、この文章で得た知識を教えてあげてください。

 それは短期的にそうそう死なないですが、中長期的には依存症のドブ底へ突っ込んでいくやつなんです。僕自身、ドブ底からの帰還組(お医者様に言わせると、とてもレアケースらしい)なのです。未だに睡眠薬は自分で管理せず、毎月残量をお医者様に報告し続ける生活をしています。いつまたあの依存の泥沼に戻る(これをスリップといいます、何度もしました)か正直わかりません。依存症は不治の病気で、治療は死ぬまで続くことだけがわかります。なので、依存症は基本的に「なったら負け」なんです。

 僕の場合、アルコール依存がさほど強くなく、睡眠薬依存のあくまでブースターとしてアルコールが作用していたこと、加えて遺伝的に「肝臓がバカみたいに強い」ところがある。この体質に救われたのか、「そのせいでこんなところまできてしまった」のか、未だにわからない。そう長くない先で決着がつくことになったら、盛大に笑って欲しい。

 noteさんに怒られるのはイヤなので、ここから先はフィクションなのだけれど。別に有料にする必要もないけれど、人生のこんな時期に追加の面倒はごめんだから、そんなにたくさんの人に読まれたくない。この先は読まなくていいと思います。

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発達障害ライフハックのような実用文章ではなく、僕がライフワークとして書きたい散文、あるいは詩に寄っていくような文章を書いております。いろいろあって、「善い文章」を目指して書くようになりました。ご興味ありましたら是非。

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