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あとはもう、冷たいスープのことばかり考えていたい

 夏の盛りには、冷たいものを食べないようにしている。たとえば、「ひやむぎ」だとか「ざるそば」だとかそういうもの。もちろん、それらが嫌いなわけじゃない。むしろ大好きだ。でも、この年になって冷房と猛暑の温度差にやられた身体に冷たい食べ物を押し込み続けると、どんどん体調が悪くなってしまう。去年から今年にかけて、顎の骨は飛び出し血圧は230を叩き、免疫疾患の難病疑いは未だに継続中で(ついに大学病院をハシゴするハメになってしまった)、「健康管理をきちんとしなければ死ぬ、しても結構死ぬ」みたいな状況がずっと続いて来た。「いつ致命的なことが起きてもおかしくはない数字です」と静かに現状を述べる循環器内科氏の、あの落ち着いた声がとても好ましかった。挙句の果てにくそみたいな出来事が山ほどあって、やっとその落とし前もつけることが出来そうだ。ご心配とご迷惑をおかけしたすべての人々に、深くお詫びするしかない。

 八月もまた終わりに近づいて、なんとなく涼しい日が続いている。そういうわけで、生活に「冷たい麺」を解禁することにした。カレーと焼き魚を軸とした献立の組み立てに「冷たい麺」が入って来るのはとてもうれしい。

 スープを取る。親鶏(卵を産んでよく育った鶏)を軸に、モミジを継ぎ足していく。アメリカで"滋養のつく食べ物"といえばチキンスープだし、中国や韓国でもそういった文化はあるけれど(参鶏湯!)、やはり鶏スープは身体を温めて力を与えてくれる食べ物だと思う。冷凍庫に白湯スープが備蓄されていても、冷たいスープを食べるならこの清湯が欲しい。

 作り方はとっても簡単。洗ってバラした(この時モモ肉とムネ肉は食べてしまってもいい)鶏とモミジ(鶏の足)を煮込むだけ。煮込み過ぎたら香りが飛ぶのでそのあたりは適宜加減しつつ、二時間もあれば美味しいスープの出来上がりだ。この「無水鍋」はとても便利で、フタをしておけば数時間かなり高い温度を維持してくれるから温度調整の手間が少なくガス代も安く上がってありがたい。

 冷たいスープとは言ったけれど、やはり出来立ての香りが立っている時期は熱々にして食べたいのが人情というもの。もやし蕎麦も大変美味だった。生の中華麺は保存性が悪いので、自宅ラーメン(ラーメンではないけれど)は「とびきり蕎麦」あたりの乾麺を使うのも手だ。ワシワシっとした食感があり、強いスープともそれなりに戦ってくれる。 

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発達障害ライフハックのような実用文章ではなく、僕がライフワークとして書きたい散文、あるいは詩に寄っていくような文章を書いております。いろいろあって、「善い文章」を目指して書くようになりました。ご興味ありましたら是非。

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