雨降りのこと
雨降りのこと
君はきっと、雨降りだと気分良く過ごせる人だ。昼近くなって目を覚ました君は、雨どいから垂れ落ちる雨の音に安堵する。一日をやり過ごすことには常に理由が求められている、君は眠る前に何度もそいつをひねり出そうとするが、人生の大方のようにそれは無駄なことになる。君の机はまるで未決済書類の集積所みたいだ。全てのものが然るべき場所に印を打たれて、誰かに手渡されることを求めていた。君だってそれはわかっていた、なのに雨は降り続ける。窓から光が消え、暖かさが去る。目を閉じたときに見えたあの光が、君の頭の中で何度か瞬く。それでも、いつも気が付けば何もかもが水浸しだ。君は雨の中、アスファルトに散らばった書類の前で頭を抱えている。そして雨は降り続ける、一日が過ぎていく。
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