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意思ある享楽

 「もっと苦しもう!」という主張はわりと、通りがいい。何を言ってるかわからないと思うのだけれど、例えば「苦しんでいる人々のために、夕食のコストを1000円から700円に切り詰めよう」みたいな話は、けっこう世の人から賛同を得られるという話。それに引き換えると、「もっと楽しもう!」という主張、具体的に言うと「夕食にギョウザと半ラーメンを追加しよう」みたいな話はなかなかムーヴメントになったりはしない。炭水化物系追加メニューは例として悪かったかもしれないけど、美味しいよね。

 みんな、「禁欲」の方が「消費」より好きなのだ。でも、実際のところをいうと、今求められているのは消費の方で、コロナウィルスの一挙一動に注目するよりはお気に入りの中華屋さんで定食にギョウザ、ビールまで張り切ってしまう方がずっと世界をよくする行動なのは間違いない。もちろん、不要不急の集まりは避けよというあれが出てしまったので、みんなでワイワイは気が咎める人も多いかもしれないけれど、それでもあなたの夕食は間違いなく急を要するのだから、しっかり出かけて食べた方がいいに決まっている。あなたの夕食より急を要することが果たしてどれだけあるだろうか。

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発達障害ライフハックのような実用文章ではなく、僕がライフワークとして書きたい散文、あるいは詩に寄っていくような文章を書いております。いろいろあって、「善い文章」を目指して書くようになりました。ご興味ありましたら是非。

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